私は自分の命がこの世で一番‘どうでもいいもの‘かもしれない。【完】

桜月真澄

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私は自分の命がこの世で一番‘どうでもいいもの‘かもしれない。

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――それでも私がご飯を食べるのは、生きたい、と心の奥底で思っているからなのだろうか。

いきなりの独白を失礼。

私は別に、希死念慮にかられているわけではない。

ただ単に、ふと、そう思っただけなんだ。

なのでヘンに心配しなくて大丈夫。

そもそも私は、私の心のすべてを知ることは出来ない。

私が知っている私の心は、脳が言語化したものに過ぎない。

私が思うに、本来心とは言葉にならないものじゃないかと。

しんどさが限界を超えたとき、一人になった瞬間に大泣きしてしまったこと、声を殺して泣いたことがある人もいるかもしれない。

涙は言葉ではない。

辛い、苦しい、感情を、言葉ではなく表すもの。

そして涙が出てはじめて、限界を超えていたと認識する。

涙が私の心にあったと、それまで私は知らなかった。

とまあ、それっぽいことを言ってみたけれど。

人間、限界はある。

頑張れていても、頑張れていると思っていても、まだまだ頑張れると思っていても。

ぷつり、と糸が切れてしまうことがある。

そんなあなたに、私が何かを言えたわけではないけれど。

死んだつもりで生きてみろ、なんて言わない。そんなことが出来るのはほんの少し。

可能だったら、横になって。

泣きながらでいい。

布団で涙を拭いながら、枕に涙をこすりつけながら、ただ目をつむって。

辛い辛い、苦しい苦しい、頭に浮かんでくるのはそんな言葉ばかりだよね。

無理に違うことを考えようとしなくていいよ。

明るいことを、前向きなことを考えなくちゃ、なんて思わなくていいよ。

涙が枯れるまで泣いて。

同じ言葉を繰り返すことに疲れるまで弱音を吐いて。

そう、落ち込むことに疲れたり、飽きたりするから。

泣き続けることが、泣き言を言い続けることが面倒くさくなったりもするから。

あとね、時間制限をつけるのもいいよ。

今夜はめいっぱい泣きまくる! 朝になったら気持ちを切り替える! 

そう、自分で区切りをつけておくの。

私にとって、私の命ほど軽いものはない。

そう思っている私の考えも、そのうち変わるかもしれない。

今の状況がずっと続く、なんてことはありえないから。

あと、これはやれるときでいいんだけど……こうなったらいいな、を、ノートに書きだすのもいいよ。

あなたの願いが、叶いますように。




END.


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