57 / 88
2 宮旭日の許嫁
27
しおりを挟む「中身を確認します。指紋をつけたくないので、手袋はありますか?」
「ただいまお持ちします」
主彦がすぐに部屋を出て、一分もせずに戻ってきた。
「こちらを」
袋に入った状態の白い手袋を渡されて、琴理はそれを手につけた。そして一同を見る。
「心護様はわたしに一任してくださる、という解釈でよいのですね?」
「琴理様の判断に従うように、と言われております」
言って東二が顎を引いたので、琴理はこくりとうなずく。
箱に向かいなおして、一枚手に取ってみる。
高校の制服姿の自分を、背後から撮った写真。
背中がぞくりとした。
(はっ、いけませんいけません。怯(ひる)むな、怖がるな、わたし)
唇を噛んで、一度瞼を閉じた。
(……やれます。こういうことは想定してきたはずです。新里様が仰ってくださった、学んできたことを生かすのはこういう場面なはずです)
すーっと、深く空気を吸い込む。
「何か文章など入っていないか確認します。涙子さんと主彦さんも手伝ってもらえますか?」
「はい」
「はい」
二人は仕事上必要なので、手袋も携帯している。
それぞれ、それを手に付け箱の前に集まる。
「東二さんは宅配業者に連絡を取ってください。誰から預かったか、宅配を依頼された場所などわかることは聞き出してください」
「承知いたしました」
答えて、東二は応接間を出た。
「詩さん、ここにビデオカメラなどはありますか?」
「はい、ございます」
「ではそれで、わたしたちが中を見ていく様子を撮ってもらえますか?」
「撮影するのですか?」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
処女ということを友達からバカにされ続けてきたけど、私はイケメン皇太子からの寵愛を受けて処女であることを保っているので問題ありません。
朱之ユク
恋愛
普通の女の子なら学園の高等部を卒業するまでには彼氏を作って処女を卒業すると言われているけれども、スカーレットは美人なのにずっと彼氏を作らずに処女を保ち続けてきた。それをスカーレットの美貌に嫉妬した友達たちはみんなでスカーレットが処女であることをバカにしていたけど、実はスカーレットは皇太子からの寵愛を受けていた18歳になるまで皇太子のための純潔を保っていただけだった。
いまさらその事実をしって、取り繕ってきてももう遅い。
スカーレットは溺愛皇太子と寵愛結婚をして幸せに暮らしていこうと思います。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる