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2 宮旭日の許嫁
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しおりを挟む――琴理より先に離れに戻ったらしい詩に呼ばれて応接間に入ると、そこには東二も主彦もいた。
怖いくらいピリピリした雰囲気が漂っている。
「琴理様、衝撃的なものであることをお覚悟の上、ご覧ください」
「? はい」
そして主彦が開いた段ボールから出てきたのは――琴理の写真だった。すべて盗撮の。
「え……なんですかこれ……怖……」
500ミリペットボトルの箱くらいの大きさの中に、ぎっしりと詰まっていたそれ。
琴理から取り繕わない、素直な感想が出てしまうくらい衝撃だった。
(さすがにこれは想定していませんでした……)
さーっと血の気が引くのを感じた。
「受け取ったのは私です。一般的な宅配業者からで、詩さんがいなかったので中を確認するために、涙子を呼び戻しました」
堅い声で言うのは、離れの執事である鳴上東二だ。
それに主彦が続く。
「涙子が玄関で開けたとき僕もそばにいましたが、そのまま箱をこの部屋に運んで中身には一切触れていません。今まで、涙子が再び出てから僕が部屋についていましたが、入れ替わりで入った者はいなく、みな集まってそのまま今に至ります。……琴理様をご不安にしてしまうだけだと、心護様に判断を仰いでおりました……」
――その結果が今なら、心護は琴理に伝えていいと判断したのだろう。
涙子が、琴理を淋里から助けてくれたあとも少し歩いたのは、その時間稼ぎだったようだ。
(涙子さんのあの笑顔の裏で、こんなことを抱えさせていたのは申し訳ないです……)
隙間なく綺麗に箱詰めされた写真。
一番上にある数枚は、学校に通う制服姿の琴理の横顔や、小学校低学年くらいの幼い写真もある。
正直言って、今琴理にあるのは恐怖だけだ。
ストーカー、嫌がらせ、脅迫……怖い言葉ばかりが頭をめぐる。
(――ですがわたしは、心護様の許嫁です。その立場で動きなさい、わたし)
己を叱咤して、無理矢理思考を切り換え後ろに控える使用人たちを振り返った。
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