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2 宮旭日の許嫁
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しおりを挟む「ご、ごめんなさい……」
「あれは心護様の態度が悪かったです。好きな子をいじめる男子はよくいますが、六つ七つの子どもが好きな方相手に恥ずかしくて無視する方に出てしまうなんて……私や主彦が何を言っても効果がなく、公一さまと詩さまは頭を悩ませておりました」
宮旭日邸にやってきてから聞いた話だ。
琴理はまさかそんな理由で心護に顔を背けられていたとは知らなかったので、頭で理解できていても、未だ気持ちとして追い付かないでいる。
「……話は変わってしまいますけど、新里様と琴歌様にお逢いしたとき、公一さんと詩さんに似ていると思いました」
「はい。公一さまは旦那様の従弟(いとこ)で、詩さまは奥様の妹でいらっしゃいます」
「そうなのですか」
(ごく身近な方だったのですね)
「お二人は心護様について長いと聞きました」
「心護様がお生まれになった頃からのお付きでおられます。ご当主夫妻様直々の頼みでつかれた、信頼の厚いお二人です」
涙子が自分のことのように誇らしそうに言うので、琴理もほっこりした気持ちになる。
「そういえばわたし宛ての届け物って、なんだったんですか? 花園から?」
その問いにも、涙子は一瞬黙った。涙子は色々と面に出やすい性格のようだ。そして苦々しい顔になる。
「……いいえ、花園様ではありませんでした。それにつきましては、帰ってからご説明いたします」
「そう、ですか……わかりました」
わざわざそう言うということは、単純にここでは言えない送り主か荷物だったのだろう。
琴理にやましい相手――例えば彼氏とか――はいないので、ヘンな荷物を送ってくるような相手は心当たりがない。
(何が出てきてもいいように、覚悟を決めておきましょう)
とりあえず、取り乱さないようにはしようと決めた。
+++
「え……なんですかこれ……怖……」
心護の離れに戻るなり、琴理は絶句した。
取り乱しはしなかったが、とても平常心ではいられなかった。
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