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2 宮旭日の許嫁
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しおりを挟む「!!! やっぱり一度燃やす!」
「娘も一緒に燃えるぞー」
印を組んだ心護に向かって、わはは、と笑うクマ。
「っ、琴理!」
「は、はいっ」
怒りのやり場のない心護が、印をほどいて琴理の両肩を掴んできた。
「やっぱり住むのは俺の部屋に変更しよう! 一緒にいよう! こんな危ない奴を影に飼ってる状態で琴理をひとりには出来ない」
「それはさすがに問題になりますよ!?」
実質初日にして同棲じみたことを提案されては、さすがに琴理もうなずけない。
「心護様、落ち着いてください。琴理様のお部屋には出来るだけ詩と涙子をやります。婚前に同じ部屋に住むなど、花園様の反感を買いますよ」
「………っ」
心護は苦虫を噛み潰して味わいまくっているような顔になっている。
だが、琴理も公一に一票だった。いきなり同じ部屋で生活するのはハードルが高すぎる。
「クマ殿、ひとつよろしいか」
「お? なんだ、従者(じゅうしゃ)」
呼びかけた公一に反応するクマ。
「ひとつ約しましょう。まず、宮旭日は退鬼師の宗家です。魔ではあるが鬼ではないクマ殿は、我々の範囲外です」
「だな」
「なので、宮旭日一派がクマ殿を調伏、修祓(しゅばつ)するすることはないと約しましょう」
「ほお?」
「ですがそれは交換条件です。琴理様に一切の危害――心的にも、身体的にも――加えないと貴殿が約するならば、です」
「おれが娘に手を出したら、それは反故(ほご)にしたことになる、と?」
「その通りです。貴殿は淫魔ではないようですが、琴理様は女性です。考えられる危険性はひとつずつ排除する所存です」
「うーん、まあそのくらいなら構わん。人間の小娘程度、わざわざ手を出す必要もない」
「では約定(やくじょう)は都度増やして参りましょう」
「それは面倒だからやだ」
すっと、公一が花瓶台に置いてあったトレーを手にした。
「ここに、チョコレートという甘味があります。クマ殿、おひとつどうぞ」
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