最強退鬼師の寵愛花嫁

桜月真澄

文字の大きさ
上 下
34 / 88
2 宮旭日の許嫁

しおりを挟む

+++

「もしもし? あい――」
『姉様!!!! ご無事ですか!?!?』

耳にキーンと響いて琴理は思わず携帯電話を耳から離してから、慌てて言った。

「無事よ、何もないです」

本当はとんでもないことをしでかしてしまったが、これ以上妹を悩ませることはしたくなくてそんな風に言った。

ごめんなさい、愛理、父様、母様、と心の中で謝る。

『宮旭日様の家にいらっしゃるって聞いたときは驚きました』

「ええ……騒がせてしまってごめんなさい」

朝食の前の時間に、琴理は花園の家に電話をしていた。

応接間のソファを借りて、隣には心護と、傍に公一が控えている。

『何がありましたの? 誘拐ならば宮旭日様といえど大事(おおごと)ですわ』

「いえ、違うのよ、愛理。その……わたしがちょっと家を抜け出てしまって……」

『姉様が!? 花園に何かご不満でも!?』

愛理が驚愕の悲鳴をあげる。

「そうではないわ。その……」

……なんと言えばいいのだろう。愛理のためという琴理の独りよがりを、どう説明したらいい。

「もしもし、愛理さん? 宮旭日心護です」

琴理が返事に詰まっていると、心護が隣から声をはさんできた。

『宮旭日様? ……姉様の許嫁であることは承知しておりますが、今回の件はどういうことなのでしょう?』

愛理の声がトゲトゲしていて、怒っているのがよくわかる。

「琴理と一緒にいたいので連れてきた」

『………! 誘拐ですわね!?』

心護の端的すぎる説明は、愛理の怒りの火に油を注いでしまった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処女ということを友達からバカにされ続けてきたけど、私はイケメン皇太子からの寵愛を受けて処女であることを保っているので問題ありません。

朱之ユク
恋愛
 普通の女の子なら学園の高等部を卒業するまでには彼氏を作って処女を卒業すると言われているけれども、スカーレットは美人なのにずっと彼氏を作らずに処女を保ち続けてきた。それをスカーレットの美貌に嫉妬した友達たちはみんなでスカーレットが処女であることをバカにしていたけど、実はスカーレットは皇太子からの寵愛を受けていた18歳になるまで皇太子のための純潔を保っていただけだった。  いまさらその事実をしって、取り繕ってきてももう遅い。  スカーレットは溺愛皇太子と寵愛結婚をして幸せに暮らしていこうと思います。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

皇帝陛下は身ごもった寵姫を再愛する

真木
恋愛
燐砂宮が雪景色に覆われる頃、佳南は紫貴帝の御子を身ごもった。子の未来に不安を抱く佳南だったが、皇帝の溺愛は日に日に増して……。※「燐砂宮の秘めごと」のエピローグですが、単体でも読めます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

処理中です...