弱小流派の陰陽姫【完】

桜月真澄

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4 月音の能力(ちから)

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「碧人様。不躾ながら言わせてもらいます。俺は月音ちゃんが好きです。月音ちゃんに告白したこともないし、なんだったら好きだって気づいたのもついさっきですが、もし俺を認めてくださるなら、俺を月音ちゃんを護るために許嫁でもなんでも、その場所に置いてください。ですがもし――月音ちゃんが、俺では嫌だと、ほかに好きな人がいるとかできたとかいうときは、解消できるようにしていてほしいです。……どうでしょうか?」

「若いな」

「いやお前のひとつ年下」

口をはさんだ黒藤に、白桜からツッコミが入る。

「考えが青すぎだよ煌。お前、本気でほれ込んだらそんなこと言ってらんねえぞ? 俺が白を手に入れるためにどんだけ腐心してると思って――」

「いい覚悟だ黒。今ここで殺されたいと見える」

「人ん家で刃傷沙汰やめてもらえますか!? この際お二人の噂についてはとやかく言いませんが、裏拳決まりすぎですし刀出さないでください!」

真横から顔面にこぶしを受けた黒藤はもんどりうっている。

そして白桜は、どこから取り出したのかわからないが日本刀を黒藤に突きつけていた。

(……陰陽師怖っ!)

あまりにツッコミどころが多すぎて、煌の情報処理が追い付かない。

咄嗟に脳内でその言葉しか出てこなかった。

「はあ……小田切くん、こっちで話をまとめよう。お二人のこれは終わらないから」

「は、はい」

碧人に提案されて、煌は後ろ髪を引かれつつも碧人の法を向いた。

なんだか碧人は二人の騒ぎになれているようだった。

「私としては、小田切くんが受けてくれるのはそれ以上のものはありません。なにせ、お二人が認めて推す方だから、反論もない。でもさっきのは減点。月音を譲るのではなく、自分に惚れさせるくらい言ってほしかった」

碧人の言葉に、煌は「えっ」と声を出してしまった。

「そんなこと言っていいんですかっ? だって月音ちゃんの幸せを考えたら、月音ちゃんが好きな人と一緒になる方がいいんじゃ……」

「月音が君を好きなら、なにも問題はない」

言い切った碧人に、煌は面食らった。そういうものなのか? というか、そういう理論ってまかり通るの?

「……俺、月音ちゃんに好かれてる自信ないです」

煌がうつむき気味に言うと、碧人は白桜と黒藤へ視線をやった。

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