悪役令嬢に転生かと思ったら違ったので定食屋開いたら第一王子が常連に名乗りを上げてきた

咲桜りおな

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番外編

美味しいレインボー豚①

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「レインボー豚が異常発生しているらしい」

 ある日の晩、湯あみを済ませたロブ様が少し疲れた様子で私室のソファーへと座るなりそう告げた。なにやら昼間に緊急招集をかけて軍議をされている様子だったけど、そういう事だったのね。

 南にある巨大な森――ガントの森は魔物が多く棲む事で有名だったりするのだが、いつもはガントの森の領主であるチャヴィアンス辺境伯が常に目を光らせており、すぐ近くにあるトトリアの街に被害が及ぶような話はまず聞かない。

 それが去年の夏に数週間続いた異常気象のせいで、ガントの森にレインボー豚が大量発生しているらしい。レインボー豚は雨の降っている時に交尾する習性があり、去年は雨の降る日が多かった。魔物の中でも中程度の強さなので単体相手なら旅の冒険者でも全然余裕で倒す事が出来るのだが、それが大量に居るとなると話は変わってくる。

 チャヴィアンス辺境伯が討伐隊を組んでいるが、数千を超えるレインボー豚を狩るのはなかなか簡単にはいかないらしく王家へ兵士の派遣要請が届いたという訳だった。

「明日、第二騎士団と第三騎士団をチャヴィアンス領へ送ることになった。俺もブラッドと一緒に視察がてら行って来るよ」

 ロブ様もブラッドもそこいらの騎士様よりもお強いので、今でも時折ブラッドと視察に出られたりしている。勿論、例の暗部護衛も付いているので更に安全ではあるのだけど。

「気を付けて行って来て下さいね、ロブ様」
「うん、危ない事はしないから大丈夫だよアリー」

 そう言って隣りに座るわたしの額にキスを落とすロブ様。結婚してもう何年も経つというのに、いまだにドキドキとさせられてしまう。額に落とされた口づけは頬から首筋へと場所を移動し、ちゅうっと肌を吸い上げられた。

「んっ……」
「留守中寂しくないように今夜は沢山、俺の跡を付けておこうかな」

 甘い言葉を耳元で囁かれて全身が痺れるような感覚に襲われる。

「あ、あのっ」
「うん」
「お、お手柔らかに……その、お願いします……」

 わたしは真っ赤になってそうお願いすると、ロブ様は蕩ける様な笑顔を見せる。

「そんな可愛いお願いされると、逆に歯止め効かなくなりそうだ……」
「えっ!?」
「五人目……頑張っちゃおうか、アリー」

 怪しい発言をされたロブ様に抱き上げられて寝室へと運ばれたわたしは、朝までじっくりとロブ様に甘く溶かされまくり自分の発言を後悔した。そして腰抜けにされてしまったわたしは、ロブ様の出立をまさかのベッドの中から見送る事となった。出立の身支度をされる為ベッドから出られたロブ様は、朝からとてもスッキリ爽やかな笑顔で「行って来ます、可愛い奥様」と口づけて行かれた。

 それを見送りながら、攻略対象者との結婚て色んな意味で大変だと布団の中で一人悶絶していたのは内緒だ。
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