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第一章
エバーンズかヒューか、それとも。
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学園生活が始まって二ヶ月ほどが経過していた。アレ以降、カイラード殿下とは運良く遭遇する事がなく過ぎていた。
「おはよう御座います、エバーンズ様」
教室に入ると、若草色の髪が見えたので早速朝の挨拶を交わす。エバーンズに関しては攻略するかどうかはまだ決めてないけど、取り敢えず普通にクラスメイトとしての人間関係は築いていこうとは思う。
「おはよっ、パフィット嬢」
あたしがヒロインだからだろうか。侯爵家嫡男のエバーンズの事を、ゲーム通りに馴れ馴れしく名前で呼んでるのにニコニコと挨拶を返してくれる。ただ、やはり周りの貴族令嬢からの目は冷ややかだ。うーん……やっぱり、名前呼びは風当たりが強い……。
「どうしたの?」
「あ……ちょっと馴れ馴れしかったかな、と。これからはやっぱり、マジャナン様と呼びますね」
「え、なんで? 僕は構わないよ?」
「いや、でも……」
「僕も君のことパフィットって呼ぶから、パフィットもエバーンズって呼んでよ」
「……いいの?」
「うん、勿論だよパフィット」
そう言ってクシャクシャっと目を細めて笑顔を見せてくれた。可愛いなぁ……これで腹黒とか思わないよねー。
午前中の授業を受けて、お昼ご飯をしに食堂へと向かう。ヒロインらしく天真爛漫、人懐こくすると同性の貴族令嬢たちからは眉をひそめられて距離を置かれてしまう。かと言って普通の貴族令嬢らしく振る舞うと、今度は攻略対象者から相手にされないかもしれない。だって、ヒロインの貴族らしくない所に攻略対象者たちは惹かれるのだもの。難しい……。
という訳で、今あたしは基本的にヒロインらしく振る舞っているのだけど、お陰でお昼ご飯とかはぼっち飯だ。ゲームの中では食堂でのぼっち飯が辛くて、軽食の入ったバスケットを持って裏庭とかのベンチでお昼を食べているシーンがよく出てきた。そこへ登場するのがカイラード殿下だったりする。
「これ以上イベント進めたくないからねー」
ぼっち飯がなんだ。一人ゆっくりと食事を楽しめるんだから、気にしない。前世でお一人様なんて普通だったし。それに、この学園の食堂は高級レストランとかで出て来る様な豪華な食事が無料で食べ放題なのだ。さすが王侯貴族たちが通う学校。ふとっぱら!
前世では味わえなかった様なお洒落なフレンチ料理や異国料理を手に持ったトレーに乗せて、空いているテーブルへと向かう。
「パフィット、こっちこっち」
エバーンズが窓辺近くのテーブルから手招きをしている。え……一緒に食べようって事? 恐る恐る近寄ると、エバーンズが向かい側の椅子を引いてくれた。大人しくそれに従い椅子へと座る。
「エ、エバーンズ様……」
「なぁに?」
エバーンズからは屈託のない笑顔を向けられているが、あたしは周りからの突き刺さる様な視線に精神をえぐられている。ぐうっ……エバーンズたった一人と仲良くしてるだけでこの容赦ない視線。巷のヒロインたちは逆ハー状態で侍らせているのだから、もっと酷い視線を浴びているだろうに。神経無いのかな……いや、巷のヒロインたち自体がお花畑だから感じないのか。
「いいのですか、あたしと昼食を共にしちゃって……」
「なにか問題ある? 僕はパフィットと一緒に食べたいからそうしてるだけだよ」
「そうそう、だからオレも混ぜてくれ」
そう言って、あたしの隣りの席に座ったのは脳筋ヒュー。
「ヒュー様!? どうして……」
突然現れたヒューに驚いて声を上げる。あ……一瞬だけどエバーンズがヒューの姿を見て、ムッとした顔を見せたのが見えた。すぐにいつもの笑顔へと戻ったけど。
「なんか、最近あからさまに嫌味を言ってる連中の声が聞こえてきててな。よってたかって一人の人間の陰口を叩くのは好かないんでね」
無駄なくらいに正義感の強いヒューが、孤立していたあたしの事に気付いたらしい。今のところ表だって苛められた訳じゃないのだけど、ちょっと嬉しい反面益々周りからの風当たりが強くならないか不安にもなる。
エバーンズとヒューとは、この二ヶ月ほどの間に好感度が上がるイベントを幾つかこなしてまぁまぁ仲良くなれている状態だ。というか、狙ってなくても何故か強制的にイベントが起こってしまう事の方が多かったりする。いきなり突風が吹いて吹き飛ばされた先にエバーンズが居たり、ちゃんと馬車停めの方へと歩いているのに目の前の空間が歪んで訓練中のヒューの元へとワープさせられたり。
もう、何でもアリな矯正力にゲンナリしながらイベントをこなしていた。どうやらヒロインらしく、ガツガツと攻略を進めないあたしにお怒りの様だ。……だって、萌えないんだもの。
エバーンズとヒューとでテーブルを囲み、ランチを食べ進めながら二人の顔をちらりと眺めてみる。エバーンズは若草色のクルクルとした髪と大きな深緑色の瞳の童顔で、とても可愛らしい。カッコ可愛いという言葉が似合うアイドル顔だ。そして対してヒューは橙色の短髪で、焦げ茶色のシュッとした切れ長の瞳が特徴で。騎士になるべく日々鍛錬しているその身体は、とても引き締まっていて細身だけど筋肉質な身体つきをしている。
――どちらも、とても美形なのは間違いないのよね。
だけど、何故か恋心が湧いてこない。カッコイイのは間違いないのになぁ。ゲーム画面越しでは、あんなにキャーキャー萌えてたんだけど。困ったなぁ……。このまま二人を天秤にかけたまま進めていくのは嫌だしなぁ……。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
「ねぇ、帰る前に少しだけ図書室寄ってもいい?」
授業が終わり、ブルーニクスと一緒に教室を出たところであたしはそう彼に声を掛けた。
「ん、構わないけど。じゃあ俺も何か魔術書でも借りようかなー」
彼は相変わらず魔道具作りに余念がない。先週の休日も朝から魔物狩りへと出掛けて行ってた。明日は週末で二連休なので、あたしは部屋で読む本を借りたかった。本当なら昼休みとかに借りておけば、すぐに帰宅出来るのだけど……昼休みの図書室は危険区域なのだ。昼休みの図書室といえば宰相候補のワイアットがよく出没する場所。出逢いたくないのだから、昼休みには行きたくない。
そんな訳で、ブルーニクスと放課後の図書室へと向かうあたし。ここの図書室は学校の図書室にしておくには勿体ないくらいに広く、蔵書の数もべらぼうに多い。ゲームの中でも、ここで恋愛小説を借りて読むと見た目のスキルアップが出来るシステムでよく足を運んでいたのよね。
「じゃあ、ここの入口付近に集合ね」
「りょーかい」
ブルーニクスと図書室の入口で別れて、それぞれ目当ての本棚の方へと歩いて行く。どんな小説があるんだろうな~この世界にも婚約破棄ものとかあったりするのかな。ワクワクしながら大きな棚を幾つか過ぎて行くと……なんか、違和感を感じた。
恋愛小説のある棚はこの先の右奥にあるのに、足が……身体が……そちらへと行く事を拒否する。手足に鉛でも付けてるかの様に重くて、進めなくなった。
「ぐっ……な、なんで……」
無理して行こうとしても動けない。普通に手足が進んでくれるのは、あたしの行きたい方とは真逆の左奥の方向だけだ。
「…………むうっ、これって、例のヤツ?」
もはやもう半ば諦め半分で、行きたくもない左奥の棚へと足を向ける。……うーん、何のイベントだっけ。放課後の図書室…………としょ、しつ……そして、夕焼け?
窓から差し込む夕陽の眩しさに目を細めながら、あたしはあるイベントを思い出した。そして、途端に回れ右をしたくなったけど時既に遅し――。あたしの進む先には空色の長い髪をかきあげながら、鋭い黄金色の瞳を思いっきり不機嫌そうに揺らしているマーカイルの姿があった。
「おはよう御座います、エバーンズ様」
教室に入ると、若草色の髪が見えたので早速朝の挨拶を交わす。エバーンズに関しては攻略するかどうかはまだ決めてないけど、取り敢えず普通にクラスメイトとしての人間関係は築いていこうとは思う。
「おはよっ、パフィット嬢」
あたしがヒロインだからだろうか。侯爵家嫡男のエバーンズの事を、ゲーム通りに馴れ馴れしく名前で呼んでるのにニコニコと挨拶を返してくれる。ただ、やはり周りの貴族令嬢からの目は冷ややかだ。うーん……やっぱり、名前呼びは風当たりが強い……。
「どうしたの?」
「あ……ちょっと馴れ馴れしかったかな、と。これからはやっぱり、マジャナン様と呼びますね」
「え、なんで? 僕は構わないよ?」
「いや、でも……」
「僕も君のことパフィットって呼ぶから、パフィットもエバーンズって呼んでよ」
「……いいの?」
「うん、勿論だよパフィット」
そう言ってクシャクシャっと目を細めて笑顔を見せてくれた。可愛いなぁ……これで腹黒とか思わないよねー。
午前中の授業を受けて、お昼ご飯をしに食堂へと向かう。ヒロインらしく天真爛漫、人懐こくすると同性の貴族令嬢たちからは眉をひそめられて距離を置かれてしまう。かと言って普通の貴族令嬢らしく振る舞うと、今度は攻略対象者から相手にされないかもしれない。だって、ヒロインの貴族らしくない所に攻略対象者たちは惹かれるのだもの。難しい……。
という訳で、今あたしは基本的にヒロインらしく振る舞っているのだけど、お陰でお昼ご飯とかはぼっち飯だ。ゲームの中では食堂でのぼっち飯が辛くて、軽食の入ったバスケットを持って裏庭とかのベンチでお昼を食べているシーンがよく出てきた。そこへ登場するのがカイラード殿下だったりする。
「これ以上イベント進めたくないからねー」
ぼっち飯がなんだ。一人ゆっくりと食事を楽しめるんだから、気にしない。前世でお一人様なんて普通だったし。それに、この学園の食堂は高級レストランとかで出て来る様な豪華な食事が無料で食べ放題なのだ。さすが王侯貴族たちが通う学校。ふとっぱら!
前世では味わえなかった様なお洒落なフレンチ料理や異国料理を手に持ったトレーに乗せて、空いているテーブルへと向かう。
「パフィット、こっちこっち」
エバーンズが窓辺近くのテーブルから手招きをしている。え……一緒に食べようって事? 恐る恐る近寄ると、エバーンズが向かい側の椅子を引いてくれた。大人しくそれに従い椅子へと座る。
「エ、エバーンズ様……」
「なぁに?」
エバーンズからは屈託のない笑顔を向けられているが、あたしは周りからの突き刺さる様な視線に精神をえぐられている。ぐうっ……エバーンズたった一人と仲良くしてるだけでこの容赦ない視線。巷のヒロインたちは逆ハー状態で侍らせているのだから、もっと酷い視線を浴びているだろうに。神経無いのかな……いや、巷のヒロインたち自体がお花畑だから感じないのか。
「いいのですか、あたしと昼食を共にしちゃって……」
「なにか問題ある? 僕はパフィットと一緒に食べたいからそうしてるだけだよ」
「そうそう、だからオレも混ぜてくれ」
そう言って、あたしの隣りの席に座ったのは脳筋ヒュー。
「ヒュー様!? どうして……」
突然現れたヒューに驚いて声を上げる。あ……一瞬だけどエバーンズがヒューの姿を見て、ムッとした顔を見せたのが見えた。すぐにいつもの笑顔へと戻ったけど。
「なんか、最近あからさまに嫌味を言ってる連中の声が聞こえてきててな。よってたかって一人の人間の陰口を叩くのは好かないんでね」
無駄なくらいに正義感の強いヒューが、孤立していたあたしの事に気付いたらしい。今のところ表だって苛められた訳じゃないのだけど、ちょっと嬉しい反面益々周りからの風当たりが強くならないか不安にもなる。
エバーンズとヒューとは、この二ヶ月ほどの間に好感度が上がるイベントを幾つかこなしてまぁまぁ仲良くなれている状態だ。というか、狙ってなくても何故か強制的にイベントが起こってしまう事の方が多かったりする。いきなり突風が吹いて吹き飛ばされた先にエバーンズが居たり、ちゃんと馬車停めの方へと歩いているのに目の前の空間が歪んで訓練中のヒューの元へとワープさせられたり。
もう、何でもアリな矯正力にゲンナリしながらイベントをこなしていた。どうやらヒロインらしく、ガツガツと攻略を進めないあたしにお怒りの様だ。……だって、萌えないんだもの。
エバーンズとヒューとでテーブルを囲み、ランチを食べ進めながら二人の顔をちらりと眺めてみる。エバーンズは若草色のクルクルとした髪と大きな深緑色の瞳の童顔で、とても可愛らしい。カッコ可愛いという言葉が似合うアイドル顔だ。そして対してヒューは橙色の短髪で、焦げ茶色のシュッとした切れ長の瞳が特徴で。騎士になるべく日々鍛錬しているその身体は、とても引き締まっていて細身だけど筋肉質な身体つきをしている。
――どちらも、とても美形なのは間違いないのよね。
だけど、何故か恋心が湧いてこない。カッコイイのは間違いないのになぁ。ゲーム画面越しでは、あんなにキャーキャー萌えてたんだけど。困ったなぁ……。このまま二人を天秤にかけたまま進めていくのは嫌だしなぁ……。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
「ねぇ、帰る前に少しだけ図書室寄ってもいい?」
授業が終わり、ブルーニクスと一緒に教室を出たところであたしはそう彼に声を掛けた。
「ん、構わないけど。じゃあ俺も何か魔術書でも借りようかなー」
彼は相変わらず魔道具作りに余念がない。先週の休日も朝から魔物狩りへと出掛けて行ってた。明日は週末で二連休なので、あたしは部屋で読む本を借りたかった。本当なら昼休みとかに借りておけば、すぐに帰宅出来るのだけど……昼休みの図書室は危険区域なのだ。昼休みの図書室といえば宰相候補のワイアットがよく出没する場所。出逢いたくないのだから、昼休みには行きたくない。
そんな訳で、ブルーニクスと放課後の図書室へと向かうあたし。ここの図書室は学校の図書室にしておくには勿体ないくらいに広く、蔵書の数もべらぼうに多い。ゲームの中でも、ここで恋愛小説を借りて読むと見た目のスキルアップが出来るシステムでよく足を運んでいたのよね。
「じゃあ、ここの入口付近に集合ね」
「りょーかい」
ブルーニクスと図書室の入口で別れて、それぞれ目当ての本棚の方へと歩いて行く。どんな小説があるんだろうな~この世界にも婚約破棄ものとかあったりするのかな。ワクワクしながら大きな棚を幾つか過ぎて行くと……なんか、違和感を感じた。
恋愛小説のある棚はこの先の右奥にあるのに、足が……身体が……そちらへと行く事を拒否する。手足に鉛でも付けてるかの様に重くて、進めなくなった。
「ぐっ……な、なんで……」
無理して行こうとしても動けない。普通に手足が進んでくれるのは、あたしの行きたい方とは真逆の左奥の方向だけだ。
「…………むうっ、これって、例のヤツ?」
もはやもう半ば諦め半分で、行きたくもない左奥の棚へと足を向ける。……うーん、何のイベントだっけ。放課後の図書室…………としょ、しつ……そして、夕焼け?
窓から差し込む夕陽の眩しさに目を細めながら、あたしはあるイベントを思い出した。そして、途端に回れ右をしたくなったけど時既に遅し――。あたしの進む先には空色の長い髪をかきあげながら、鋭い黄金色の瞳を思いっきり不機嫌そうに揺らしているマーカイルの姿があった。
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