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第一章
芸術家マーカイル・ロナルド
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「お嬢、立てるか?」
ブルーニクスがあたしの前に跪いて手を差し伸べてくれた。一応心配してくれてるみたいだ。素直にその手を取って立ち上がる。
「あぁ、酷い目に遭った……」
あんなにボールが自分めがけて沢山飛んでくるなんて初めての経験だわ。身体中がちょっとヒリヒリ痛い。
「……これ飲むといい」
ブルーニクスがポケットからポーションを取り出して、あたしに渡してくれた。
「ありがとう……いつも持ち歩いているの?」
「あぁ。魔道具の材料集めとかでよく魔物狩りとかに行くから」
「へぇ……」
「ポーションならオレも持ってるぞ。要るか?」
「いえ一つあれば十分ですので大丈夫です。てゆーかポーション持ち歩くの普通なの?」
この世界ではスマホみたいにポーションを持ち歩くのが当たり前なのだろうか。
「いや、オレは鍛練の時に疲労回復する為に飲むんだ。そしたらエンドレスで鍛練出来るからな」
「さすが脳筋! ポーションを栄養ドリンク代わりに使ってるし!」
「結構高いのになぁ、ポーション。……トッドスキウム様、今度ポーション売りに行っていいスか?」
「お? お前確かカルベロス商会のボンボンだよな。あぁ、上質なの頼むぜ」
なんだか勝手に商談始めてるし……。二人を眺めながら、有難く貰ったポーションをグイっと飲む。あら、苦いのかと思ったけどジュースみたいだわ。身体にすうーっと、染みわたりヒリヒリ痛かったのが嘘みたいに消えていった。おお、凄いわねポーションて。
「初めて飲んだけど、飲みやすいのね」
「ウチのポーションは改良を重ねてようやく出来たフルーツ味だからね。一般的なのはくっそ不味いよ」
「え、じゃあヒュー様の持ってるやつは……」
「これか? スライムのケツみてぇな味だ」
「いやぁあああああああ! 受け取らなくて良かったぁ」
スライムのおケツ味って、どんな味なのよっ! てか何処にあるのよ。地面に接触してる所?
「そうか? これでもマシな方だよなぁ?」
「ですね。腐った泥水味とかドラゴンの足の裏味とか、吐きそうですしね」
「あああああ、聞きたくないっ」
なんとか無事にヒューとの出逢いイベントを済ます事が出来たけど、とてもじゃないが恋愛に発展出来る様な雰囲気は今の所ない。本来なら助けて貰って“あぁ、素敵なお方”とかなるんだろうけど……今の所、あたしから見たヒューの印象はただの脳筋だ。そりゃ、攻略対象者だから顔はかなりの美形ではあったのだけど……。
あと出逢いイベントをしていないのは宰相候補のワイアット・ディラニウスと、芸術家のマーカイル・ロナルド伯爵令息の二人。ワイアットは出来れば出逢いたくないから、マーカイルとの出逢いイベントを起こしてみようかな。麗しの芸術家マーカイル様。空色の長い髪がサラサラと揺れてとてもお美しいのよね。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
放課後を待って、あたしは音楽室のある特別教室棟へと向かった。ヒューの時みたいに邪魔されると困るので、ブルーニクスには馬車に先に行って待って貰っている。ブルーニクスの事だからきっと馬車の中で居眠りでもして待ってくれてるだろう。
足取りも軽く、廊下を歩いていると遠くからピアノが奏でる旋律が聞こえてきた。おぉ、ゲーム通りだわ。うんうん、さすが芸術家だけあってピアノもお上手。そうそう、この音楽、とっても馴染が深いわぁ…………
「って、これっ、ラーメン食べたくなるやつだからぁあああああ!」
音楽室の扉を開けると同時にあたしは叫んだ。部屋の中は小さなリサイタルホールとなっていて、一番下にある舞台に向かって見下ろす様に座席が並んでいる。映画館みたいな造りだ。その舞台のピアノの前ではキョトンとした顔をしてマーカイルがこちらを見た後、何事もなかったかの様に再び鍵盤を叩き出す。奏でる音楽は先程と同じく、あの音楽。それを、さも豪華にアレンジして弾いている。
「いやっ、やめてぇ~この世界にラーメン無いんだから。食べたくなっちゃうじゃない! カレーはあるのにラーメン無いとかもはや苛めだからぁ」
あたしの嘆きを無視したまま音楽は延々と続く。ああああああ、お腹空くよぉ~。えーと、そうよ、イベント起こしたら弾くのやめてくれる筈。んっと、マーカイルとの出逢いイベントは確かこっそりピアノを弾くマーカイルを覗き見していたヒロインが、音楽を聴き惚れたまま舞台へと近付いて行きウッカリ足を滑らせて転ぶのよね。それをマーカイルが助け起こしてくれる、と。
意を決したあたしは階段状になっている通路を降りて行き、舞台の前まで辿り着くとその場で勢いよく転んで見せた。
「ぶへっ! …………?」
転んだままマーカイルの助けを待っているのに、ピアノは鳴り止まない。そして勿論、マーカイルの助けも来ない。え、なんで? 渋々起き上がり、舞台の上のマーカイルを見上げる。
「……な……い」
「え? なに?」
「転び方が……美しくない」
「は?」
しかめっ面でひたすら鍵盤を叩き続けるマーカイル。こっ、転び方にケチつけられたんですけどっ!?
「……転ぶなら美しく倒れろ」
「ぐがっ! む、むかつく……」
嫌々ながら、気を取り直して「きゃっ」と小さく悲鳴をあげながら再度転んでみせる。ほら、どうだ! 今度はヒロインらしく可愛く転んであげたわよ。
「……わざとらしくて助ける気も起きん」
「むっきー! 人の転び方に、あーだこうだとケチつけないでくれる!? もういいわよ、このイベント無し! あたし帰るっ」
「おい、待てっ」
踵を返そうとするあたしに、慌ててマーカイルが壇上から降りて来て引き留める。腕を掴まれて引き寄せられた。
「……大丈夫か、手を貸そう」
「いや、今の状況が大丈夫じゃないから! 行動とセリフが合ってないからっ」
「おれの美しさに惹かれて来たのか……浅ましい女だ。おれの名が知りたいだと? マーカイル・ロナルドの名を知らぬのか?」
「惹かれてません、そっちが寄ってきたんでしょ! 勝手にイベント進めないでっ」
もはや会話が噛みあってないのは恒例だ。いや、行動も会話も全てがおかしいのだが。
「お前の名はなんという」
「やだ、教えたくありませんーっ」
「……言わないとイベントが終わらぬだろう。早く名乗れ!」
「イヤですー」
攻略対象者自らイベントとか言っちゃうし! どうなってるのよ、この世界は。
「言わないのなら強制的に口づけて、今すぐおれとエンディング迎えさせてやるけど良いのか、ん?」
「なんて事言うの! あなたみたいな人とエンディング迎えたくないですっ!」
「なら名乗れ! おれは早く帰りたいんだ」
「あうー……パフィット・カルベロスです」
「よし、ではもう二度と近寄るな。じゃあな」
マーカイルは言いたい事だけ言ったら、その場にあたしを残してさっさと帰ってしまった。
「なんなのよ、あの俺様男! 確かにマーカイルは気難しいお方だったけど……てか何であたしが振られたみたいになってんのー」
マーカイルルートは絶対に無いな、と心に誓うあたしであった。
ブルーニクスがあたしの前に跪いて手を差し伸べてくれた。一応心配してくれてるみたいだ。素直にその手を取って立ち上がる。
「あぁ、酷い目に遭った……」
あんなにボールが自分めがけて沢山飛んでくるなんて初めての経験だわ。身体中がちょっとヒリヒリ痛い。
「……これ飲むといい」
ブルーニクスがポケットからポーションを取り出して、あたしに渡してくれた。
「ありがとう……いつも持ち歩いているの?」
「あぁ。魔道具の材料集めとかでよく魔物狩りとかに行くから」
「へぇ……」
「ポーションならオレも持ってるぞ。要るか?」
「いえ一つあれば十分ですので大丈夫です。てゆーかポーション持ち歩くの普通なの?」
この世界ではスマホみたいにポーションを持ち歩くのが当たり前なのだろうか。
「いや、オレは鍛練の時に疲労回復する為に飲むんだ。そしたらエンドレスで鍛練出来るからな」
「さすが脳筋! ポーションを栄養ドリンク代わりに使ってるし!」
「結構高いのになぁ、ポーション。……トッドスキウム様、今度ポーション売りに行っていいスか?」
「お? お前確かカルベロス商会のボンボンだよな。あぁ、上質なの頼むぜ」
なんだか勝手に商談始めてるし……。二人を眺めながら、有難く貰ったポーションをグイっと飲む。あら、苦いのかと思ったけどジュースみたいだわ。身体にすうーっと、染みわたりヒリヒリ痛かったのが嘘みたいに消えていった。おお、凄いわねポーションて。
「初めて飲んだけど、飲みやすいのね」
「ウチのポーションは改良を重ねてようやく出来たフルーツ味だからね。一般的なのはくっそ不味いよ」
「え、じゃあヒュー様の持ってるやつは……」
「これか? スライムのケツみてぇな味だ」
「いやぁあああああああ! 受け取らなくて良かったぁ」
スライムのおケツ味って、どんな味なのよっ! てか何処にあるのよ。地面に接触してる所?
「そうか? これでもマシな方だよなぁ?」
「ですね。腐った泥水味とかドラゴンの足の裏味とか、吐きそうですしね」
「あああああ、聞きたくないっ」
なんとか無事にヒューとの出逢いイベントを済ます事が出来たけど、とてもじゃないが恋愛に発展出来る様な雰囲気は今の所ない。本来なら助けて貰って“あぁ、素敵なお方”とかなるんだろうけど……今の所、あたしから見たヒューの印象はただの脳筋だ。そりゃ、攻略対象者だから顔はかなりの美形ではあったのだけど……。
あと出逢いイベントをしていないのは宰相候補のワイアット・ディラニウスと、芸術家のマーカイル・ロナルド伯爵令息の二人。ワイアットは出来れば出逢いたくないから、マーカイルとの出逢いイベントを起こしてみようかな。麗しの芸術家マーカイル様。空色の長い髪がサラサラと揺れてとてもお美しいのよね。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
放課後を待って、あたしは音楽室のある特別教室棟へと向かった。ヒューの時みたいに邪魔されると困るので、ブルーニクスには馬車に先に行って待って貰っている。ブルーニクスの事だからきっと馬車の中で居眠りでもして待ってくれてるだろう。
足取りも軽く、廊下を歩いていると遠くからピアノが奏でる旋律が聞こえてきた。おぉ、ゲーム通りだわ。うんうん、さすが芸術家だけあってピアノもお上手。そうそう、この音楽、とっても馴染が深いわぁ…………
「って、これっ、ラーメン食べたくなるやつだからぁあああああ!」
音楽室の扉を開けると同時にあたしは叫んだ。部屋の中は小さなリサイタルホールとなっていて、一番下にある舞台に向かって見下ろす様に座席が並んでいる。映画館みたいな造りだ。その舞台のピアノの前ではキョトンとした顔をしてマーカイルがこちらを見た後、何事もなかったかの様に再び鍵盤を叩き出す。奏でる音楽は先程と同じく、あの音楽。それを、さも豪華にアレンジして弾いている。
「いやっ、やめてぇ~この世界にラーメン無いんだから。食べたくなっちゃうじゃない! カレーはあるのにラーメン無いとかもはや苛めだからぁ」
あたしの嘆きを無視したまま音楽は延々と続く。ああああああ、お腹空くよぉ~。えーと、そうよ、イベント起こしたら弾くのやめてくれる筈。んっと、マーカイルとの出逢いイベントは確かこっそりピアノを弾くマーカイルを覗き見していたヒロインが、音楽を聴き惚れたまま舞台へと近付いて行きウッカリ足を滑らせて転ぶのよね。それをマーカイルが助け起こしてくれる、と。
意を決したあたしは階段状になっている通路を降りて行き、舞台の前まで辿り着くとその場で勢いよく転んで見せた。
「ぶへっ! …………?」
転んだままマーカイルの助けを待っているのに、ピアノは鳴り止まない。そして勿論、マーカイルの助けも来ない。え、なんで? 渋々起き上がり、舞台の上のマーカイルを見上げる。
「……な……い」
「え? なに?」
「転び方が……美しくない」
「は?」
しかめっ面でひたすら鍵盤を叩き続けるマーカイル。こっ、転び方にケチつけられたんですけどっ!?
「……転ぶなら美しく倒れろ」
「ぐがっ! む、むかつく……」
嫌々ながら、気を取り直して「きゃっ」と小さく悲鳴をあげながら再度転んでみせる。ほら、どうだ! 今度はヒロインらしく可愛く転んであげたわよ。
「……わざとらしくて助ける気も起きん」
「むっきー! 人の転び方に、あーだこうだとケチつけないでくれる!? もういいわよ、このイベント無し! あたし帰るっ」
「おい、待てっ」
踵を返そうとするあたしに、慌ててマーカイルが壇上から降りて来て引き留める。腕を掴まれて引き寄せられた。
「……大丈夫か、手を貸そう」
「いや、今の状況が大丈夫じゃないから! 行動とセリフが合ってないからっ」
「おれの美しさに惹かれて来たのか……浅ましい女だ。おれの名が知りたいだと? マーカイル・ロナルドの名を知らぬのか?」
「惹かれてません、そっちが寄ってきたんでしょ! 勝手にイベント進めないでっ」
もはや会話が噛みあってないのは恒例だ。いや、行動も会話も全てがおかしいのだが。
「お前の名はなんという」
「やだ、教えたくありませんーっ」
「……言わないとイベントが終わらぬだろう。早く名乗れ!」
「イヤですー」
攻略対象者自らイベントとか言っちゃうし! どうなってるのよ、この世界は。
「言わないのなら強制的に口づけて、今すぐおれとエンディング迎えさせてやるけど良いのか、ん?」
「なんて事言うの! あなたみたいな人とエンディング迎えたくないですっ!」
「なら名乗れ! おれは早く帰りたいんだ」
「あうー……パフィット・カルベロスです」
「よし、ではもう二度と近寄るな。じゃあな」
マーカイルは言いたい事だけ言ったら、その場にあたしを残してさっさと帰ってしまった。
「なんなのよ、あの俺様男! 確かにマーカイルは気難しいお方だったけど……てか何であたしが振られたみたいになってんのー」
マーカイルルートは絶対に無いな、と心に誓うあたしであった。
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