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第二章

第十八話 どうして出会うかな

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 馬車に揺られて街へと向かう。今日のお供は侍女のスワンと、最近新しく護衛に入ったカーマインだ。元々はローゼン公爵家に仕える護衛騎士だったのだけどタクト様がわざわざ、わたしの為に専属の護衛にと付けて下さったのだ。いずれはわたしと共にローゼン公爵家へ戻る事になっているらしい。なので厳密に言えば、ローゼン公爵家お抱えの騎士様という事になる。

 なんだかタクト様に大事にされ過ぎて恐れ多い……。まだわたしはデビュタントを迎えてないけれど、たまに参加するお茶会でタクト様とご一緒した時は周りのご令嬢からの視線が地味にキツイ。なんであんな冴えない女が? ……と、あからさまな嫉妬心を向けられる事も度々だ。その度に精神が削られていく気がする。

 うぅ……そんなの自分が一番分かってますよー。分かってるけど、譲れない。だって、大好きなんだもの。

「お手をどうぞ」

 到着した馬車の扉が開き、カーマインが馬車から降りるのを手伝ってくれる。先に降りたスワンも同様にカーマインのエスコートを受けた様だ。少し頬を染めてるスワンが何だか可愛い。

「ここで待っててね、カーマイン」
「畏まりました」

 今日の目的地である雑貨屋の入口でカーマインに告げてから、スワンと二人で店の中へと入った。ここはいつ来ても品揃えが豊富で、毎回何かしらの新作が入荷されている。便箋も新作が入っている様で、どれが良いかな~と吟味していると横から可愛らしいお声が聞こえた。

「あ、あの。失礼ながら、貴族の方でしょうか?」

 慣れない敬語を使っている様なたどたどしい話し方に視線をやる――と、そこにはピンクの髪を両サイドで結った一人のご令嬢が立っていた。後ろには侍女らしき女性がオロオロしながらそのご令嬢を止めようとしている。

 ――――え。なんで……ここ、に…………。

「……は、はい。ピスケリー伯爵の娘、アスチルゼフィラと申します」

 震える手を隠しながら何事も無いかの様に振る舞い、淑女の礼をする。わたしの言葉にピンクの髪のご令嬢は、ぴょこん!と跳ね返り……。

「あ! ご丁寧なご挨拶、ありがとう御座います~わたし、いえ、わたくしはパチェット男爵の娘、ミンスロッティです!」

 貴族らしからぬペコリッとした礼を見せたミンスロッティ様――に、わたしはどう対応して良いか分からず呆然と彼女の姿を見つめる。

 何故、どうして、なにゆえに! ミンスロッティヒロインがここに居るの!? 心の中でわたしは絶叫した。
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