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第二章
陛下の御前にて③
しおりを挟む*めちゃ、短いです。
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「まずはバーベンス公爵。……貴殿はアーサーをそそのかし、配下にある貴族達を巻き込んでクーデターを起こした。これはもう言い逃れも出来ぬ事実である。よって身柄を拘束し、尋問の後に裁判へとかけさせて貰う」
「……ちがっ、これは! わ、わたしこそアーサー殿下にたぶらかされたのだ!」
バーベンス公爵は怒りと悔しさで額に血管を浮き上がらせながら、アルスト殿下とその後ろに鎮座するトワイス国王を睨みつけ喚き散らした。用意周到に動いていた筈だったのにアーサー殿下の芝居を見抜けなかった自分の不甲斐なさを悔やむが、そんな事は今はどうでも良い。なんとかこの場をやり過ごそうと必死だ。
「ええい、見苦しい! この期に及んでたわけた言い訳を申すな!」
言い訳を並べ立てるバーベンス公爵にトワイス国王が一喝する。
「陛下っ、わたしは……」
「よもや先ほどこの私に剣を突き立てた事を忘れたか!? もう良い、連れて行け!」
トワイス国王の指示で兵士達に無理矢理立ち上がらされ、尚も喚きながらバーベンス公爵の姿は廊下の奥へと消えて行った。
「さて、キューバレー伯爵にワードナ―伯爵。そなたらは、バーベンス公爵に加担してクーデターに加わった。更に密輸の噂に関しても色々と聞きたい事があるからな。これからじっくりと聞かせて貰うから楽しみにしておくが良い」
アルスト殿下からの合図でキューバレー伯爵とワードナー伯爵もガックリと項垂れながら、王の寝室から地下牢へと続く道を兵士達に囲まれながら連れて行かれた。残った数名の貴族達と、バーベンス公爵家が用意した傭兵達も兵士達に囲まれながらゾロゾロとその後へと続いた。
その先々で自分達が斬りつけて倒した筈の兵士らが、真っ赤な血をポタポタ落としながら元気に起き上がるものだから、幾度となく悲鳴を上げた。どうやらわざと斬りつけられては〝血のり”を撒き散らして倒れたフリをしていたらしい。その様子を顔をひくつかせながらアーサー殿下は遠い目をして見送った。
「……なんと悪趣味な」
そうポツリとアーサー殿下が呟くと、アルスト殿下はとても爽やかな笑顔を向ける。
「絶対面白がってますよね、兄上」
「さて、何の話かな? それよりアーサー、そろそろザッカリーが此方へ到着する頃合いだぞ」
「……分かりました。それでは父上、一旦失礼致します。ジョエル、行くぞ」
傍に控える側近と共にアーサー殿下は部屋を後にした。
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