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第二章
休学中…… エイダン王子Side
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「……なんで私まで一緒に休学しなければなりませんの!?」
僕の部屋へと入って来られたエスメイジー姉上は、荒々しい態度のままソファーへと座った。こっちを恨めしそうな顔をして睨んでくる。
「仕方ないだろ、アーサー王子の邪魔が入ったんだ」
僕も苛立ちを隠さず、唇をとがらせる。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
昨夜、夕食を終えて部屋に居たら突然アルスト殿下が王宮お抱えの医者数名と従者を引きつれて押し掛けて来た。その手には何故か花束を抱え、従者はフルーツの入った籠を持って居た。図書室でアーサー殿下に邪魔されたから、アルスト殿下が文句を言いに来るとは思っては居たけど……どうも様子がおかしい。メチャクチャ笑顔だったのだ。
戸惑いながら出迎えると、アルスト殿下は眉を下げて心配そうな声を上げた。
「具合が悪いと聞いてね、見舞いに来たよ」
「は?」
言葉の意味が分からず、間抜けな声を出してしまう。そんな僕を全く気に留める事もなく、アルスト殿下は手に持っていた花束を差し出してきた。条件反射でそれを受け取るものの、どうしていいか分からない。するとアルスト殿下は僕付きの侍女に花束を花瓶へと活けるように指示し、応接セットのテーブルの上に従者から受け取った籠を置いた。
「見舞いには花と果物だからな」
「え……」
僕が籠へと視線を動かすと、殿下の後ろに控えている従者の男が「メロンです」と告げた。いや、果物の種類はどうでも良いのだけど……。メロンは好きだよ? でも今は意味が分からない。
「ほら、起きていては身体に悪いだろう。私の事は気にせずベッドで横になると良い」
「僕、いえ私はどこも悪くなど」
「身体を支えられない程に弱っていて、それで本棚へと手を突かれたのであろう?」
笑顔のまま寝室へと案内されて、付いて来た医者たちに無理矢理ベッドへと寝かされる。
「あ、こら、私に触れるな。どこも悪くはないと言って……あっ! そんな所に聴診器当てるな! くすぐった……うひゃっ!」
複数の医者たちから身体のあちこちへと聴診器を当てられ、冷たいやらくすぐったいやら恥ずかしいやら大変な事になる。それをアルスト殿下が冷めた表情で見ているのが視界に映る。
「ちょ……ある、ストっ殿下! やめさせてくだっ……うわっ、ズボンを脱がすのはやめろ! ぱ、パンツはだめっ…………うわわっ」
「一番具合の悪そうなのはその辺りらしいからな、よく診察して貰うんだぞ」
「な、なにをっ……」
アルスト殿下へと抗議の視線を向けると「ふっ」と冷笑される。
「人の婚約者にちょっかい出したくなるのは、その辺りが制御出来ずに不具合を起こしているからだろう? あぁ、それと頭の方もちゃんと診て貰う方が良いだろうな。そこも故障しているから他も不具合を起こすのだろうしな」
「……っ!?」
やっとアルスト殿下の行動の意味を理解した僕は青ざめた。図書室での事をただ口で文句を言うのではなく、こんな形で非難されているという事だ。
「暫く学園も休学した方が良いだろうな、具合が悪いのだからな」
「そ、そんな……」
「あぁ、ちゃんと休学中は家庭教師を用意するから安心して良いぞ。姉君も頭の具合が悪いからな、一緒に城で勉学に励むと良い」
「なっ……いくらアルスト殿下でも、他国の王族にそんな無茶な事して良いと思っているのか!」
僕は反論した。こんな事許される訳がない。国交問題に発展するぞ。
「叔母上からは既に許可を頂いているし、この国でのお前達姉弟への“躾”に関しては私が全権任されているのを知らないのかな?」
「え……」
そういえば留学前に母上から「アルスト殿下の言う事は絶対に聞きなさいね」とは言われてはいたけど……。てか、躾ってなんだよっ。
「だからって、こんな事して……」
「従兄弟だからこれくらいで済ませてやってるのだが、まだ理解が及ばないのなら直接叔母上の元へ送り届けてやるが……如何する?」
「うっ…………きゅ、休学させて頂きます……」
「そうか。では、ゆっくりと休まれよ」
アルスト殿下が踵を返して部屋を出て行くと、その後に従者と医師たちが続いて帰っていく。そして侍女から「許可がでるまで部屋で静養されるようにとのオルプルート国王陛下からのご通達です」と聞かされ、そして現在に至る。
昔から気に入らなかったが、どこまでも癪に障る男だ。婚約者の一人や二人、譲ってくれても良いだろうに。ムカつく。
僕の部屋へと入って来られたエスメイジー姉上は、荒々しい態度のままソファーへと座った。こっちを恨めしそうな顔をして睨んでくる。
「仕方ないだろ、アーサー王子の邪魔が入ったんだ」
僕も苛立ちを隠さず、唇をとがらせる。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
昨夜、夕食を終えて部屋に居たら突然アルスト殿下が王宮お抱えの医者数名と従者を引きつれて押し掛けて来た。その手には何故か花束を抱え、従者はフルーツの入った籠を持って居た。図書室でアーサー殿下に邪魔されたから、アルスト殿下が文句を言いに来るとは思っては居たけど……どうも様子がおかしい。メチャクチャ笑顔だったのだ。
戸惑いながら出迎えると、アルスト殿下は眉を下げて心配そうな声を上げた。
「具合が悪いと聞いてね、見舞いに来たよ」
「は?」
言葉の意味が分からず、間抜けな声を出してしまう。そんな僕を全く気に留める事もなく、アルスト殿下は手に持っていた花束を差し出してきた。条件反射でそれを受け取るものの、どうしていいか分からない。するとアルスト殿下は僕付きの侍女に花束を花瓶へと活けるように指示し、応接セットのテーブルの上に従者から受け取った籠を置いた。
「見舞いには花と果物だからな」
「え……」
僕が籠へと視線を動かすと、殿下の後ろに控えている従者の男が「メロンです」と告げた。いや、果物の種類はどうでも良いのだけど……。メロンは好きだよ? でも今は意味が分からない。
「ほら、起きていては身体に悪いだろう。私の事は気にせずベッドで横になると良い」
「僕、いえ私はどこも悪くなど」
「身体を支えられない程に弱っていて、それで本棚へと手を突かれたのであろう?」
笑顔のまま寝室へと案内されて、付いて来た医者たちに無理矢理ベッドへと寝かされる。
「あ、こら、私に触れるな。どこも悪くはないと言って……あっ! そんな所に聴診器当てるな! くすぐった……うひゃっ!」
複数の医者たちから身体のあちこちへと聴診器を当てられ、冷たいやらくすぐったいやら恥ずかしいやら大変な事になる。それをアルスト殿下が冷めた表情で見ているのが視界に映る。
「ちょ……ある、ストっ殿下! やめさせてくだっ……うわっ、ズボンを脱がすのはやめろ! ぱ、パンツはだめっ…………うわわっ」
「一番具合の悪そうなのはその辺りらしいからな、よく診察して貰うんだぞ」
「な、なにをっ……」
アルスト殿下へと抗議の視線を向けると「ふっ」と冷笑される。
「人の婚約者にちょっかい出したくなるのは、その辺りが制御出来ずに不具合を起こしているからだろう? あぁ、それと頭の方もちゃんと診て貰う方が良いだろうな。そこも故障しているから他も不具合を起こすのだろうしな」
「……っ!?」
やっとアルスト殿下の行動の意味を理解した僕は青ざめた。図書室での事をただ口で文句を言うのではなく、こんな形で非難されているという事だ。
「暫く学園も休学した方が良いだろうな、具合が悪いのだからな」
「そ、そんな……」
「あぁ、ちゃんと休学中は家庭教師を用意するから安心して良いぞ。姉君も頭の具合が悪いからな、一緒に城で勉学に励むと良い」
「なっ……いくらアルスト殿下でも、他国の王族にそんな無茶な事して良いと思っているのか!」
僕は反論した。こんな事許される訳がない。国交問題に発展するぞ。
「叔母上からは既に許可を頂いているし、この国でのお前達姉弟への“躾”に関しては私が全権任されているのを知らないのかな?」
「え……」
そういえば留学前に母上から「アルスト殿下の言う事は絶対に聞きなさいね」とは言われてはいたけど……。てか、躾ってなんだよっ。
「だからって、こんな事して……」
「従兄弟だからこれくらいで済ませてやってるのだが、まだ理解が及ばないのなら直接叔母上の元へ送り届けてやるが……如何する?」
「うっ…………きゅ、休学させて頂きます……」
「そうか。では、ゆっくりと休まれよ」
アルスト殿下が踵を返して部屋を出て行くと、その後に従者と医師たちが続いて帰っていく。そして侍女から「許可がでるまで部屋で静養されるようにとのオルプルート国王陛下からのご通達です」と聞かされ、そして現在に至る。
昔から気に入らなかったが、どこまでも癪に障る男だ。婚約者の一人や二人、譲ってくれても良いだろうに。ムカつく。
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