完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな

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第二章

進級しました

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「おはよう、ティアナ」

 教室に入ると、短めに刈り上げた銀髪に黄金色の瞳の美青年が声を掛けて来た。

「おはよう御座います、エイダン殿下」

 エイダン王太子殿下は友好国であるグラリエット王国から、姉のエスメイジー王女と共に二年間の留学に来られたグラリエット王国の王太子様だ。二年生に進級したあたしは、エイダン王太子殿下とクラスメイトとなった。

 第一王女であるエスメイジー王女は三年生なのでアルスト殿下やタクトお兄様と同じクラスに編入されている。ストレートロングの銀髪に黄金色の瞳の美少女。一足先に学園を卒業される予定のエスメイジー王女は、残りの一年間を学園の研究棟に通われる。この国では貴重な魔法学や、学園で学びきれない専門分野などが研究棟では引き続き学ぶ事が出来る様になっている。毎年数パーセントの学生が、こちらの研究棟へと進学している。

「先日お薦めして頂いた本、とても勉強になりました。お時間があれば、またお願いしても宜しいですか?」
「ええ、勿論ですわ。放課後で宜しければ、いつでもお声を掛けて下さいませ」

 王宮でエスメイジー王女とエイダン王太子に引き合わされてから、あっという間にエイダン殿下には懐かれてしまったみたい。何処へ行くにも、エイダン殿下はあたしに付いて来る。それに戸惑いつつも、王太子妃になる身としては公務として無下に扱う事も出来ずにいる。

「今日も昼食はアルスト殿下とご一緒されるのかい?」
「ええ、アルスト殿下と過ごせる数少ない時間ですから」
「そっか」

 とても残念そうなお顔をされるエイダン殿下に、何故だか悪い事でもしてるような気持ちになる。

「あ、じゃあ今度の休日にどこか食事に出掛けない? たまには僕と食事しようよ」
「えっ……」
「この国に来てからまだ王都の街へ行った事ないんだよね。案内してよ、ティアナ」
「あ……えっと、アルスト殿下やお兄様たちから許可を得てからのお返事で宜しいですか?」
「え、許可が要るの? なんで?」
「警護の関係もありますし、それとアルスト殿下以外の殿方と出掛ける事は止められてますので」

 実際、アルスト殿下以外の殿方と出掛けた事は今まで皆無だ。アルスト殿下と婚約を結んですぐに、殿下から自分以外の男性と出掛ける事は禁止された。勿論今までそれで不自由を感じる事も無かったし、あたし自身も殿下以外と出掛けようとも思った事さえも無かった。それにこうやって誰かに誘われる様な事も無かった。

「……なんか、アルスト殿下って過保護だよね」
「そ、そうでしょうか」

 どちらかといえばアルスト殿下より、タクトお兄様の方が過保護に感じるのだけど。そりゃあ、アルスト殿下は愛情表現の仕方が少し変わっておられるけど……。

「うん、僕から見たら異常だよ。もっとティアナを自由にしてあげたら良いのに」
「はあ……」

 自由? あたしは今でも十分、自由だと思うのだけど……。

「じゃあ、その許可とやらが出たら一緒に街へ行こうね」
「あ、はい」
「約束っ」
「?」

 エイダン殿下が小指を差し出された。意味が分からずその指を見ていると「僕の国では約束を交わす時は、こうするんだよ」とあたしの手を取り、互いの小指同士を絡めてみせた。

「ゆびきりげんまん、って言うんだ」

 にこやかに笑いながら軽く小指同士を絡めた後、その手は離れた。異国の文化に触れて驚いてキョトンとしていたあたしに「可愛いなぁ~もうっ」と言って、あたしの髪をくゃっと撫でた。

「なっ、何をなさるんですかっ」

 思わず飛びのいて距離を取るあたし。顔が熱くなってるのが自分でも分かる。周りで見ていたクラスメイト達の間にも、ざわめきが広がる。

「ごめんごめん、ティアナが仔犬みたいに可愛かったからつい。もうしないから、警戒しないでよ」
「……気を付けて下さいませ。ダメですよ、こんなの」
「うん、分かったから。ビックリさせてごめんね」

 仔犬扱いって……エイダン殿下の言動には驚かされてばかりだ。まだエイダン殿下の留学は始まったばかりだというのに、なんだか先が思いやられる気がする。ちょっと苦手な方だなぁ……なんてコッソリと心の中で呟いた。
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