露店の灯りに輝く、欠けた林檎飴片手

小春佳代

文字の大きさ
上 下
3 / 4

しおりを挟む
大木に茂る葉でちょうど花火が隠れて目にすることができない、そんなコンクリートの階段に腰掛ける。

暗く染まった葉と葉の間から溢こぼれる火の粒。

アルコールの力が働いた。

「わたし、ずっと瀬古くんと飲みたいなぁと思っとったんよ」

「へ~。まぁ仲さん、他のバイトの前やとめっちゃ猫かぶっとるもんな……ぶはっ」

「ちょ、何よ、急に笑って」

「やばい、思い出した、今日の入江さんの『今度みんなでバレーやろよ!』って発言の時の仲さんの顔っ……」

「だってそんなの全然やりたくないもん……!」

笑ってしまう、どんな話でも。





木の陰から火の粒を見ていると、すぐに終わってしまう線香花火の粒が散っているかのように見えた。

そして、考えが見透かされたように、いつの間か花火が終わっていた。

「近いうちに飲みに行く?」

なんだか私からは誘えなかったから。

その言葉を聞いた瞬間、何かが弾けた。

あぁ、もっといっぱい喋っていいんや……!

「……彼女さんは気にする?」

「……遠距離やしな。別に」

君は最後のビールを飲み干した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

〜ジャンクフードは恋味〜

古波蔵くう
恋愛
痩せ細った圭吾は、太るために週四日ジャンクフード店に通い、店員の芋淵小乃果に覚えてもらうことを目指す。1ヶ月後、圭吾は番号札に自己紹介を書き、小乃果とメッセージを交換し始める。二人は番号札を通じて仲を深め、圭吾はLINEのQRコードを渡すことに成功する。 夏休み、小乃果はエリアマネージャーの甘粕翔羅からセクハラを受け、シフトを強制される。最終的に店を辞めることになるが、圭吾は真相を知り、被害女性たちの証言を集めて甘粕を逮捕させる。小乃果は圭吾に感謝し、二人の絆はさらに深まる。 クリスマスにデートをし、圭吾は小乃果に告白してOKをもらい、正式に付き合い始める。困難を乗り越えた二人の物語は、幸せな結末を迎える

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ベルガモットの空言

小春佳代
恋愛
好きになってはいけない人への想いを綴った詩のような物語です。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。 柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。 そして… 柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...