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大木に茂る葉でちょうど花火が隠れて目にすることができない、そんなコンクリートの階段に腰掛ける。
暗く染まった葉と葉の間から溢こぼれる火の粒。
アルコールの力が働いた。
「わたし、ずっと瀬古くんと飲みたいなぁと思っとったんよ」
「へ~。まぁ仲さん、他のバイトの前やとめっちゃ猫かぶっとるもんな……ぶはっ」
「ちょ、何よ、急に笑って」
「やばい、思い出した、今日の入江さんの『今度みんなでバレーやろよ!』って発言の時の仲さんの顔っ……」
「だってそんなの全然やりたくないもん……!」
笑ってしまう、どんな話でも。
木の陰から火の粒を見ていると、すぐに終わってしまう線香花火の粒が散っているかのように見えた。
そして、考えが見透かされたように、いつの間か花火が終わっていた。
「近いうちに飲みに行く?」
なんだか私からは誘えなかったから。
その言葉を聞いた瞬間、何かが弾けた。
あぁ、もっといっぱい喋っていいんや……!
「……彼女さんは気にする?」
「……遠距離やしな。別に」
君は最後のビールを飲み干した。
暗く染まった葉と葉の間から溢こぼれる火の粒。
アルコールの力が働いた。
「わたし、ずっと瀬古くんと飲みたいなぁと思っとったんよ」
「へ~。まぁ仲さん、他のバイトの前やとめっちゃ猫かぶっとるもんな……ぶはっ」
「ちょ、何よ、急に笑って」
「やばい、思い出した、今日の入江さんの『今度みんなでバレーやろよ!』って発言の時の仲さんの顔っ……」
「だってそんなの全然やりたくないもん……!」
笑ってしまう、どんな話でも。
木の陰から火の粒を見ていると、すぐに終わってしまう線香花火の粒が散っているかのように見えた。
そして、考えが見透かされたように、いつの間か花火が終わっていた。
「近いうちに飲みに行く?」
なんだか私からは誘えなかったから。
その言葉を聞いた瞬間、何かが弾けた。
あぁ、もっといっぱい喋っていいんや……!
「……彼女さんは気にする?」
「……遠距離やしな。別に」
君は最後のビールを飲み干した。
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