露店の灯りに輝く、欠けた林檎飴片手

小春佳代

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「林檎飴なんか食べたいと思ったことないわ」

君の一言と同時に、私は赤い硝子玉のような林檎飴にかじりつく。

「……私も子供の頃は食べたいと思わんだけど、最近やっとこの素晴らしさが分かったんよ。ジューシーさと甘さの融合とゆうか」

「まぁ何でもいいけどな!俺、ビール飲もかな」

「え!私も!」

夏の夜に夢がひとつ叶った。





「彼女と祭り行かんの?」

露店の灯りに輝く欠けた林檎飴片手、紙コップの中でたゆたうビール片手の不安定さ。

「うん、なんかあんまり好きじゃないらしい。ってゆうか、どっか座らん?」

「座ろー!すいとるとこあるかな?」

「もう花火終わるやろし、花火見えんとこでええやろ?」

「うん、ビール飲めたら何でもいいわ」

「林檎飴食べに来たんと違うんか」

居心地が良かった。
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