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悪役令嬢、胸を撫で下ろす

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 まさか王妃様が転生者だったなんて!

 そりゃ、モブが転生者じゃ駄目ってわけじゃないけど、エイミも転生者だったし、多すぎでしょ!

 王妃様ってば、いくらなんでもここがラノベの世界だとかダミアンたちに話すなんて無茶苦茶だわ。

 私だって、エイミが転生者だと分かったから話したのであって、カイルやメロディにラノベだとか攻略だとか話すつもりはないわよ。

 頭がおかしくなったのかって思われるわ。

 それが理解できないなんて・・・
あのエイミですら理解したわよ。

 ダミアン曰く、学園入学前に王妃様が高熱で三日ほど寝込まれたそうなの。

 あー。
多分その時に、前世の記憶を思い出したか、転生した魂が王妃様に入ったのね。

 目覚めた後に、急にアデライン公爵家のアナスタシア、つまり私とダミアンの婚約を打診したりし始めたそうなの。

 私やダミアンのこと以外は、それまでの王妃様と変わらなかったそうだから、おそらくは転生して王妃様になったけど、その時までは記憶が表に出て来ていなかったのね。

 私がアナスタシアとして目覚めたのも学園入学前だから、同じ時期なのかもしれない。

 それにしても・・・
王妃様として今まで生きて来たのだから、もう少しやりようがあったでしょうに。

 まさか、お母様とダミアンの前で、ラノベだの悪役令嬢だの発言するとはね。

 おかげで私は納得できたけど、王妃様の中身の人、何考えてるのかしら。

 離宮に幽閉されてもまだ、物語は正さなきゃとか言ってるらしいのよ。

 中身の人、子供とかなのかしら。
離宮に隔離された時点で、ちょっと気絶でもして、自分が言ったことを全く覚えてないをして誤魔化せば良かったのに。

 ここはラノベの中と同じじゃないんだって理解して、私を悪役令嬢にすることを諦めれば、幽閉されることはなかったのに。

 さすがに、いまだに繰り返してるようでは、王妃として表舞台には置いておけないわよ。

 王妃様は、しばらく幽閉される。

 少なくとも、私やダミアンが結婚するまでは幽閉は解かないと国王陛下はおっしゃった。

 陛下もだけど、ダミアンが正しい判断をしてくれたことに安堵した。

 王妃様の中の人だって、少し考えれば理解るはずなのに。

 ダミアンが私に懸想していない現在なら、ダミアンの治世は荒れるってことくらい。

 アデラインうちとローレンス公爵家にそっぽ向かれたら、国が傾くわよ。

 ラノベの中で上手くいったのは、アナスタシアがメロディに嫉妬して、からよ。

 ダミアンは少し元気がないけど、メロディがきっと支えてくれる。

 私は、胸を撫で下ろした。

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