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攻略対象、冷や汗をかく
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アデライン公爵夫人・・・つまりアナスタシア嬢の母君が、母上に会いに来た。
理由はカイルから聞いている。
メイソンに要らぬことを言ったのが母上だと分かり、その抗議にいらしたのだ。
僕としては、カイルと揉めてまでアナスタシア嬢を婚約者にと望むつもりはない。
というか、カイルに睨まれたくない。
だから、アナスタシア嬢の勧めもあって、メロディ・ペイジ男爵令嬢と婚約を念頭において距離を縮めた。
アナスタシア嬢の言う通り、メロディ嬢は優秀で、しかも性格も良くて・・・あとは家格さえ高ければアデライン公爵令嬢と同じように僕の婚約者候補の筆頭になっていただろう。
我が国では王族に嫁ぐのに重点を置くのは、家格ではなく本人の資質だ。
その点では、メロディ嬢はなんの問題もない。
僕も彼女を婚約者にしたいと、両親に話した。
父上は賛成してくれたのだが・・・
母上が、そんな真似をしているとは思わなかった。
だから、アデライン公爵夫人との話し合いに、僕も参加させてもらうことにした。
父上もずっとは無理だが、途中参加すると言っていた。
それくらい・・・
重要なことだ。
アデライン公爵家とローレンス公爵家。
このニ家にそっぽを向かれたら、王家は立ち行かなくなる。
「わたくしは、王家からの婚約の申し入れに関しては、うちの可愛いアナスタシアがローレンス公爵家の息子を好きだから、お断りしますとお伝えしましたわよね?もしかして、たかが公爵夫人風情が王妃殿下の申し出を断るなんてと思われているのかしら?あらあらあら。王家は筆頭公爵家など軽く見ているということかしら」
「そっ、そういうわけでは・・・」
「では、どういうわけですの?わかるようにご説明くださるかしら?わたくしはかまいませんのよ?別にアデルバード王国にいなければならない理由などありませんから、可愛いアナスタシアのためなら若夫婦と一緒にどこへでも参りますわ」
「!」
アデライン公爵家は、王家に多額の納税をしている。
それだけの資本金があり、多くの商会を運営していて、アデライン公爵家が我が国から手を引けば、国が滅びるわけではないが衰退することは確実だ。
食料品を扱う商会にドレスなどの服飾の商会、果ては街道整備など土木関係も取り扱っている。
間違いなく、国自体が立ち行かなくなる。
「母上!何故、そうアデライン公爵令嬢にこだわるのです?僕は彼女を望んでいない。彼女にはカイルが似合いだと思っています。確かに、彼女は優秀で文句なしの王太子妃になるでしょうが、本人がそれを望まず、僕も望んでいません。なのに、どうしてなのです!」
どうにかしなければ、僕の治世は暗雲が立ち込めることになる。
理由はカイルから聞いている。
メイソンに要らぬことを言ったのが母上だと分かり、その抗議にいらしたのだ。
僕としては、カイルと揉めてまでアナスタシア嬢を婚約者にと望むつもりはない。
というか、カイルに睨まれたくない。
だから、アナスタシア嬢の勧めもあって、メロディ・ペイジ男爵令嬢と婚約を念頭において距離を縮めた。
アナスタシア嬢の言う通り、メロディ嬢は優秀で、しかも性格も良くて・・・あとは家格さえ高ければアデライン公爵令嬢と同じように僕の婚約者候補の筆頭になっていただろう。
我が国では王族に嫁ぐのに重点を置くのは、家格ではなく本人の資質だ。
その点では、メロディ嬢はなんの問題もない。
僕も彼女を婚約者にしたいと、両親に話した。
父上は賛成してくれたのだが・・・
母上が、そんな真似をしているとは思わなかった。
だから、アデライン公爵夫人との話し合いに、僕も参加させてもらうことにした。
父上もずっとは無理だが、途中参加すると言っていた。
それくらい・・・
重要なことだ。
アデライン公爵家とローレンス公爵家。
このニ家にそっぽを向かれたら、王家は立ち行かなくなる。
「わたくしは、王家からの婚約の申し入れに関しては、うちの可愛いアナスタシアがローレンス公爵家の息子を好きだから、お断りしますとお伝えしましたわよね?もしかして、たかが公爵夫人風情が王妃殿下の申し出を断るなんてと思われているのかしら?あらあらあら。王家は筆頭公爵家など軽く見ているということかしら」
「そっ、そういうわけでは・・・」
「では、どういうわけですの?わかるようにご説明くださるかしら?わたくしはかまいませんのよ?別にアデルバード王国にいなければならない理由などありませんから、可愛いアナスタシアのためなら若夫婦と一緒にどこへでも参りますわ」
「!」
アデライン公爵家は、王家に多額の納税をしている。
それだけの資本金があり、多くの商会を運営していて、アデライン公爵家が我が国から手を引けば、国が滅びるわけではないが衰退することは確実だ。
食料品を扱う商会にドレスなどの服飾の商会、果ては街道整備など土木関係も取り扱っている。
間違いなく、国自体が立ち行かなくなる。
「母上!何故、そうアデライン公爵令嬢にこだわるのです?僕は彼女を望んでいない。彼女にはカイルが似合いだと思っています。確かに、彼女は優秀で文句なしの王太子妃になるでしょうが、本人がそれを望まず、僕も望んでいません。なのに、どうしてなのです!」
どうにかしなければ、僕の治世は暗雲が立ち込めることになる。
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