38 / 56
悪役令嬢、煽る
しおりを挟む
「女子供に手をあげるなんて、騎士どころか男の風上にも置けない方ですこと」
メイソンが振り上げた手は、私の発言と共にピタリと止まった。
「なっ・・・」
「きっとワイアット騎士団長様も、お褒めくださるでしょうね?」
嫌味たっぷりに言うと、メイソンは顔を顰めたけど、さすがに私に言い返す度胸はなかったみたい。
そりゃそうでしょ。
メイソンも一応?ワイアット侯爵家の嫡男だけど、私は筆頭公爵家の娘。
それにワイアット侯爵様は、清廉で騎士の中の騎士と言っていいくらいまっすぐな方。
女子供に手をあげたなんて知ったら、メイソンはボッコボコに殴られた上に、剣も取り上げられるだろうし、廃籍もされるでしょうね。
私に父親に自分の所業をバラされたら、とビビってるってこと。
もちろん、バラすわよ。
シシリーがメイソンと婚約したのは、ワイアット侯爵家からの申し込みで、身分が上の侯爵家からの申し込みを断り辛かったのと、ワイアット侯爵夫妻が立派な方だったから。
この両親の息子なら、と思えたのと、メイソンが騎士になる夢を持っていることで、プライウッド家当主になれなくても腐ることはないだろうと思えたからだそう。
確かにメイソンは脳筋だから、当主業は無理だと思うし、剣の腕は確かに良い。
一応は、乙女ゲームの攻略対象だから、ちょっと直情的なところはあるけど、その分まっすぐな愛情を向けていた・・・ヒロインには。
そう。
メイソンの良さは、ヒロイン限定なのよ。
乙女ゲームの場合は、それで良いと思う。婚約者がいない状態だもの。
でもラノベ版になって、悪役令嬢を出すためなのか婚約者が出来ると・・・
総じて全員が、屑になったわ。
当然よね。婚約者がいながら他の女性に傾倒するんだもの。
挙げ句に、婚約者に婚約破棄を突きつけるのよ。
悪役令嬢がしたことは正しくないかもしれないけど、発端はお前らだ!って言いたいわよ。
浮気しておきながら、自分の行動を正当化するんじゃないわよ。
そんなことを考えていたからだと思う。
少々、辛辣な言い方をしてしまった。
「ワイアット侯爵様はどうおっしゃるかしら。婚約者がいながら、他のご令嬢と懇意にしているなんて人として最低ですわ。そんな殿方と婚約なんて、プライウッド様もおかわいそうに」
「ッ!ふ、ふざけるなぁっ!」
「ふざけてるのはどっちだい?」
怒りから私に向かって振り上げられた手が、私に当たる前に掴まれた。
「メイソン。きみ、誰に向かって手をあげてるの?」
冷ややかな声と裏腹に、掴まれた腕はギリギリと捻りあげられていく。
「いっ・・・イダダダダダダ!はっ、離せっ!う、腕が折れるっ!」
体格差で言うなら、メイソンの方ががっしりしているのに、カイルは容易くメイソンの腕を捻りあげていた。
おおっ。かっこいい。
メイソンが振り上げた手は、私の発言と共にピタリと止まった。
「なっ・・・」
「きっとワイアット騎士団長様も、お褒めくださるでしょうね?」
嫌味たっぷりに言うと、メイソンは顔を顰めたけど、さすがに私に言い返す度胸はなかったみたい。
そりゃそうでしょ。
メイソンも一応?ワイアット侯爵家の嫡男だけど、私は筆頭公爵家の娘。
それにワイアット侯爵様は、清廉で騎士の中の騎士と言っていいくらいまっすぐな方。
女子供に手をあげたなんて知ったら、メイソンはボッコボコに殴られた上に、剣も取り上げられるだろうし、廃籍もされるでしょうね。
私に父親に自分の所業をバラされたら、とビビってるってこと。
もちろん、バラすわよ。
シシリーがメイソンと婚約したのは、ワイアット侯爵家からの申し込みで、身分が上の侯爵家からの申し込みを断り辛かったのと、ワイアット侯爵夫妻が立派な方だったから。
この両親の息子なら、と思えたのと、メイソンが騎士になる夢を持っていることで、プライウッド家当主になれなくても腐ることはないだろうと思えたからだそう。
確かにメイソンは脳筋だから、当主業は無理だと思うし、剣の腕は確かに良い。
一応は、乙女ゲームの攻略対象だから、ちょっと直情的なところはあるけど、その分まっすぐな愛情を向けていた・・・ヒロインには。
そう。
メイソンの良さは、ヒロイン限定なのよ。
乙女ゲームの場合は、それで良いと思う。婚約者がいない状態だもの。
でもラノベ版になって、悪役令嬢を出すためなのか婚約者が出来ると・・・
総じて全員が、屑になったわ。
当然よね。婚約者がいながら他の女性に傾倒するんだもの。
挙げ句に、婚約者に婚約破棄を突きつけるのよ。
悪役令嬢がしたことは正しくないかもしれないけど、発端はお前らだ!って言いたいわよ。
浮気しておきながら、自分の行動を正当化するんじゃないわよ。
そんなことを考えていたからだと思う。
少々、辛辣な言い方をしてしまった。
「ワイアット侯爵様はどうおっしゃるかしら。婚約者がいながら、他のご令嬢と懇意にしているなんて人として最低ですわ。そんな殿方と婚約なんて、プライウッド様もおかわいそうに」
「ッ!ふ、ふざけるなぁっ!」
「ふざけてるのはどっちだい?」
怒りから私に向かって振り上げられた手が、私に当たる前に掴まれた。
「メイソン。きみ、誰に向かって手をあげてるの?」
冷ややかな声と裏腹に、掴まれた腕はギリギリと捻りあげられていく。
「いっ・・・イダダダダダダ!はっ、離せっ!う、腕が折れるっ!」
体格差で言うなら、メイソンの方ががっしりしているのに、カイルは容易くメイソンの腕を捻りあげていた。
おおっ。かっこいい。
559
お気に入りに追加
584
あなたにおすすめの小説
転生先が羞恥心的な意味で地獄なんだけどっ!!
高福あさひ
恋愛
とある日、自分が乙女ゲームの世界に転生したことを知ってしまったユーフェミア。そこは前世でハマっていたとはいえ、実際に生きるのにはとんでもなく痛々しい設定がモリモリな世界で羞恥心的な意味で地獄だった!!そんな世界で羞恥心さえ我慢すればモブとして平穏無事に生活できると思っていたのだけれど…?※カクヨム様、ムーンライトノベルズ様でも公開しています。不定期更新です。タイトル回収はだいぶ後半になると思います。前半はただのシリアスです。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
モブに転生したので前世の好みで選んだモブに求婚しても良いよね?
狗沙萌稚
恋愛
乙女ゲーム大好き!漫画大好き!な普通の平凡の女子大生、水野幸子はなんと大好きだった乙女ゲームの世界に転生?!
悪役令嬢だったらどうしよう〜!!
……あっ、ただのモブですか。
いや、良いんですけどね…婚約破棄とか断罪されたりとか嫌だから……。
じゃあヒロインでも悪役令嬢でもないなら
乙女ゲームのキャラとは関係無いモブ君にアタックしても良いですよね?
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる