推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜

みおな

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悪役令嬢、悩む

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 ダミアンがメロディと話しているのを、離れた席からニマニマと見ていたのだけど・・・

 その一方で、マチルダはよからぬことを企んでいるようだった。

 マチルダのテーブルに付いている侍女からの報告よ。

 というか、マチルダって正真正銘の阿呆なの?

 王太子殿下や公爵令息が出席していて、公爵令嬢主催のお茶会なのよ?

 何か問題を起こしたら・・・
謝罪だけで済まないってこと、理解していないの?

「あの男爵令嬢に何かしようとしてるの?」

「そうみたいですわ。侍女が聞いたところによると、ドレスにお茶をかけようとしているみたいですの」  

 悪役令嬢がヒロインにお茶会で紅茶をかけるなんて、なんてど定番なことやろうとしてるのよ。

「ふーん。なんならさ、やらせちゃえば?」

「え、でも・・・」

「ドレスは、この先にあるうちの行きつけの店から買ってこさせれば良いよ。僕の侍従に行かせよう」

 カイルが目線で侍従を見ると、頭を下げてすぐに侍従が去って行った。

 カイルの侍従は、彼が幼い頃からずっと仕えてくれている人で、五歳年上だとか。

 護衛も兼ねているのに指示に従って離れてくれたのは、私の護衛が側にいるからかしらね。

「それに、一悶着あった方がダミアンとあの令嬢の距離が近くなるかもよ」

 それは確かにそうかもしれない。

 ラノベでも、悪役令嬢の嫌がらせが攻略対象とヒロインを近付けた。

 健気なヒロインを守ろうとするのよね。

 カイルの口ぶりだと、メロディへの気持ちが芽生えたとかじゃなさそうだけど、突然の態度の変化に戸惑ってしまう。

 そんな私の気持ちに気付いたのか、カイルは私の耳元に口を寄せた。

「衆人の前で、僕の愛を伝えられたい?いいよ?僕はシアに寄りつこうとする虫を追い払えるからね」

「・・・ッ!かっ、カイル様のお気持ちは良く理解していますわ!そっ、それに、愛を囁くのは二人だけの時にしてくださいませ。こ、応えたくても恥ずかしくて応えられませんもの」

「あー、僕のシアは可愛いなぁ」

 私の答えがお気に召したのか、カイルはニコニコとご機嫌になった。

 ふぅ。危なかった。
カイルが私のことを好きでいてくれている気持ちを疑うわけじゃないし、私だってカイルを攻略キャラとしてでなく、その・・・好きになりかけてるというか大事だから、いくらメロディが良い子でも譲ってあげるつもりはないけど。

 そりゃあね、メロディがカイルを好きでカイルがメロディを好きで・・・ハーレム要員とかじゃなく想い合う恋人になるなら・・・

 そんな日が来たら、私どうするんだろう。
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