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悪役令嬢、観察する

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「皆様、ごゆるりとお過ごしくださいませ」

 お茶会が始まった。

 元々大半はクラスメイトなので、私がわざわざ引き合わせる必要はない。

 それに、王太子であるダミアンなら、主だった貴族の令嬢の名前くらい知っているだろう。

 それぞれのテーブルに付いている使用人たちには、給仕をしながら様子を伺うように伝えてあるし、その総括は我が家の家令の一人であるレナードがしてくれる。

 というわけで、私は離れたテーブルでカイルとお茶を飲みながら会場を眺めている。

 ちなみにお兄様であるジュリアンは、エリザベス様にみんなのテーブルを回っている。

 すまんね、兄。
私がエリザベス様に頼んだのだよ。

 もちろん私も挨拶回りはする予定だけど、ここはやっぱり未来のアデライン公爵家の女主人として、エリザベス様のに頑張ってもらいたい。

「あら」

「どうかした?シア」

「いえ。なんでもありませんわ」

 ダミアンが、話しかけてくるゾルガー侯爵令嬢が煩わしいのか、メロディのところへと避難して行くのが見えた。

 気持ちは分かる。
前世でも、しつこいのは嫌われてた。

 追われると逃げたくなるというか。
まぁ、好きな相手だったら追われても嬉しいんだろうけど、ヒロインがタイプだったら、ゾルガー侯爵令嬢はダミアンのタイプじゃないもんね。

 メロディのいるテーブルは、エリザベス様とお兄様、そしてゾルガー侯爵令嬢が苦手なシンプソン侯爵令嬢がいる。

 え?もちろんそういう席順にした。

 メロディにまた文句を言ってきたら、ほら私キレちゃうかもしれないし?

 シンプソン侯爵家の次女であるマリアンヌ様は論理的なタイプの上、家格で人を判断しない。

 優秀なメロディのことも認めているみたいで、Aクラス落ちしているゾルガー侯爵令嬢の家格優先的な考えを嫌っている。

 でもって、実はオスカーのことを好きらしい。

 ラノベの中で、マリアンヌ様はオスカーの婚約者だった。

 あの二人、幼馴染なのよね。

 別にオスカーも、メロディに惹かれてる様子もないし、それならと思ったのよね。

 もう一人の攻略対象のメイソンの婚約者は、プライウッド伯爵令嬢。

 彼女はすっっごく大人しくて、気弱な性格。

 キツい性格のゾルガー侯爵令嬢が、ごちゃごちゃ言ってるのを聞いたことがある。

 私が行く前にマリアンヌ様が論破していた。

 気は強いけど、マリアンヌ様はお優しい人なのよね。

 正義の味方?って感じ。
そこも好感度高いところ。

 二人とも・・・ううん、メロディも入れて三人とも上手くいくといいけど。

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