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悪役令嬢、ヒロインを誘う

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「お願いしますわ!メロディ様」

「で、でも、私は男爵家の娘ですし・・・」

 何度目かになる会話を繰り返す。

 マトモな精神の持ち主のヒロインメロディには、王太子ダミアンの婚約者候補を選ぶ茶会ということで、ずっと出席を断られている。

「家格は関係ありませんし、選ぶのは王太子殿下ですから、深く考えないで下さいませ」

「でも・・・」

婚約者になれるとも限りません。王太子殿下の婚約者は、未来の王妃。それに伴う能力のない方には務まりません。ですが、殿下に相応しい方と出会える機会を作るための茶会なのです」

 家格なんてものは、養女にするなど方法はある。

 だけど、王太子妃に相応しい能力と性格は家格では補いきれない。

 ただ今の時点では、この先努力すれば相応しくなる可能性があるから・・・

 だから、ゾルガー侯爵令嬢たちの参加も認めた。

 今回のはあくまでもでしかないから、数人選ぶことになっているし、相応しくなければ今後篩にかけられて脱落するからだ。

 ご令嬢は、お茶会に参加しても候補に選ばれようとしない。

 何故なら、もし候補に入り初期に脱落したらという烙印が押されるから。

 逆に、終盤まで候補のまま残り、そして脱落した時、目ぼしい相手はほぼ婚約している状態になるから。

 候補に選ばれなければ、それは好みの問題だから問題にならない。

 メロディがどうしてもダミアンを好きになれないとか、他に好きな人がいるというのなら、私はメロディを候補にはさせないつもりだ。

 ただ、メロディは自分のことをあまり語らないし、その辺りが全く分からないのよね。

 となると、成績優秀なメロディをお茶会に誘わないという選択にはならない。

「他にお好きな方がいらっしゃるとか、どうしても殿下を好きになれないというのなら、仕方ありませんわ」

「そっ、そんな、そんなことは思っていません!王太子殿下はお優しく素晴らしい方だと思あます。それに、好きな人もいません」

「なら、参加すべきですわ。このクラスの婚約者のいらっしゃらないご令嬢は皆様参加されるのですし、ペイジ様だけ不参加だなんて、後で何か言われるかもしれませんわ」

 エリザベス様が、そう言って私の援護射撃をしてくれた。

「わたくしも、婚約者と参加いたしますの。ね?ペイジ様。アナスタシア様のお顔を立てると思って、参加されるべきですわ」

「・・・アナスタシア様の・・・。分かりました。参加します」

 おおぅ!エリザベス様、ナイスアシスト!
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