上 下
22 / 56

悪役令嬢、熱く語る

しおりを挟む
「殿下は、お好きな方も気になる方もいらっしゃらないとおっしゃいますの?」

 現在、熱くダミアンを詰問中の私。

 ダミアン本人が好きな人がいるのなら、その人にダミアンのことをどう思うか聞いてあげようと思ったのに、当のダミアンがハッキリしない。

「気になる人はいないわけでもないというか、なんというか」

「結局、どちらですの?もしかして婚約者がいらっしゃる方なのでしょうか?一応、お相手の方のお気持ちは確かめますわよ?政略結婚の場合もありますし」

「言ってみなよ、ほら」

 ああ。
私は現在、カイルの膝の上よ。

 ダミアンに好きな人はいないのか聞きに行くと言ったら、一緒に行くと言われ、何故かお膝の上に座らされた。

 良いけど。恥ずかしくないわけじゃないけど、もう慣れたし。

 で、カイルに言えと言われたダミアンは、視線を彷徨わせ・・・

「アデら・・・」

「却下」

「・・・せめて最後まで言わせてくれ。まぁ、カイルならそう言うだろうとは思っていたが。他に知り合いらしき知り合いもいないからな。そもそも挨拶以外の言葉を交わす令嬢も少ない」

 殿下が言おうとしていた言葉を、カイルが一刀両断に却下してたけど、もしかしてアデライン?私の名を言おうとしてた?

 でも、その後の殿下の言葉で納得した。

 確かに、ダミアンに挨拶する令嬢は多くいる。

 王太子に挨拶もしない人は少ないし、クラスメイトなら挨拶くらいはする。

 でも、挨拶以外の・・・
友人のような会話をできるのは、どうしても身分的に限られて来る。

 うちのクラスのご令嬢は皆優秀だから、話は合うと思うけど、逆に自分たちから話しかけたりしないのよね。

 そういう意味では、私になるんでしょうね。

「一度皆様でお茶会をしましょうか?殿下の婚約者候補を探すのだと暗に伝えて。そうすれば婚約者候補に方は参加を控えるでしょうし、逆に婚約者がいても殿下の婚約者になりたい方は参加されると思いますわ。別にすぐに決める必要はないですわ。単に知り合うキッカケだと思えば」

「しかし、男が僕ひとりだというのは・・・」

「少し気まずいですか?なら、ホストとして私とカイル様も参加しましょう。あと、お兄様にも参加させますわ、婚約者と一緒に。そういえば、側近候補の方々には婚約者はいらっしゃいますの?別に彼らにまで世話を焼くつもりはありませんけど、殿下が気まずいなら彼らも参加させては?」

 騎士団長子息と教皇子息だから、婚約者がいてもおかしくはないけど。

 というか、ラノベの中ではいたけど。
現実社会ではどうなんだろう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!

神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう....... だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!? 全8話完結 完結保証!!

転生悪役令嬢は婚約破棄で逆ハーに?!

アイリス
恋愛
公爵令嬢ブリジットは、ある日突然王太子に婚約破棄を言い渡された。 その瞬間、ここが前世でプレイした乙女ゲームの世界で、自分が火あぶりになる運命の悪役令嬢だと気付く。 絶対火あぶりは回避します! そのためには地味に田舎に引きこもって……って、どうして攻略対象が次々に求婚しに来るの?!

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)

乙女ゲームの悪役令嬢は生れかわる

レラン
恋愛
 前世でプレーした。乙女ゲーム内に召喚転生させられた主人公。  すでに危機的状況の悪役令嬢に転生してしまい、ゲームに関わらないようにしていると、まさかのチート発覚!?  私は平穏な暮らしを求めただけだっだのに‥‥ふふふ‥‥‥チートがあるなら最大限活用してやる!!  そう意気込みのやりたい放題の、元悪役令嬢の日常。 ⚠︎語彙力崩壊してます⚠︎ ⚠︎誤字多発です⚠︎ ⚠︎話の内容が薄っぺらです⚠︎ ⚠︎ざまぁは、結構後になってしまいます⚠︎

転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる

花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

処理中です...