推ししか勝たん!〜悪役令嬢?なにそれ、美味しいの?〜

みおな

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悪役令嬢、悪役令嬢?と会う

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「男爵令嬢風情が、王太子殿下と何を話していたのよっ!」

 入学式が無事終わり、帰ろうとしていた時に聞こえていた怒鳴り声。

 あれ?これって、アナスタシアの台詞じゃなかったっけ?

 確か、婚約者であるダミアンに連れられて入学式会場に現れ、何やら親しげに会話しているのを見て、嫉妬からヒロインに文句を言うのよね。

 まぁ、筆頭公爵家の令嬢であるアナスタシアは

「カイル様・・・」

「仕方ないなぁ。シアは優しいんだから」

 私が見上げると、カイルは仕方なさそうに、それでも声のする方に足を向けてくれる。

 このことで、ヒロインとカイルが出会ってしまうかもしれない。

 せっかく推しと婚約して幸せなのに、わざわざヒロインに近付くなんておかしいのかもしれない。

 だけど、アナスタシアの台詞を言っているのか、それが気になった。

 それに、令嬢が怒鳴り声を上げるなんて。

「カイル様は少し離れて見ていてください。私が行ってみますから」

「駄目だ。危険かもしれない」

「大丈夫です。私は公爵令嬢ですよ?それに、危険だと思ったら、助けてくれますか?」

「・・・助ける」

 私はカイルの優しい言葉に後押しされて、声のする方へ向かった。

 私が関わらなければ起きないと思っていたイベント。

 本来なら婚約者の王太子が止めに来るんだけど、この場合は誰が止めに来るのかしら。

「何をされていますの?」

 私の声に、一人の令嬢を囲んでいた四人の令嬢たちが振り返る。

 彼女たちに囲まれていたのは、ピンク色の髪と瞳の・・・やっぱりヒロインだった。

「あ・・・アデライン様・・・」

「ゾルガー侯爵令嬢に、シマント伯爵令嬢、それからジョーヌ子爵令嬢とナーベラル子爵令嬢。そちらの方はペイジ男爵令嬢ですわよね?皆様、何をされていましたの?」

「い、いえ、何も・・・」

「お声が遠くまで聞こえていましたわよ?ゾルガー侯爵令嬢。あまり度を越した行動はなさらない方が身のためですわ。悪い意味で殿下の目に留まりますわよ」

 そういえばダミアンは、無事にヒロインとの出会いイベントを終えたのだろうか。

 話していたとか言ってたから、出会ってはいそうね。

 この、ゾルガー侯爵令嬢。
王太子ダミアンの婚約者候補にあがっていた。

 婚約者候補筆頭はアナスタシアだったけど、私が先にカイルと婚約したことで、ダミアンの婚約者はまだ確定していない。

 他の公爵家には歳の近いご令嬢はいないから、多分この侯爵令嬢が婚約者になると思うんだけど・・・

 なる前に、候補から外されるんじゃないの?

 
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