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最終章
最終話:幸せになるために(中編)
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医師の診察を受け、私もイヴァン様も何も問題がないことが分かった。
良かったわ。
あの黒い靄に包まれたから、何か悪影響があったらどうしようかと。
神様も何も言ってなかったからあれだけど、あれってどう見ても良いものじゃない気がしたもの。
私とイヴァン様が気を失っていたのは半日ほどで、それでも全く目覚めようとしないから、お父様もお母様もみんな心配したのだと言われたわ。
あの白い世界、いたのは数十分だと思ったけど、きっと時間軸が違うのね。
「それで、あの、メルモン男爵令嬢は?」
「意味不明なことを喚き散らしていたが、レティーナたちが倒れてからは、まるで別人のように静かになったそうだ。発言はともかく、直接なにかをしたというわけではないから、一応メルモン男爵家で謹慎させている」
「レティーナ、何があったの?影の報告でも彼女に直接なにかをされたわけではないと聞いたけど」
ああ、影がいたんだったわ。
「え、と・・・メルモン様が叫ばれて、その・・・気が遠くなって・・・」
まさか、神様に呼ばれてましたなんて言えないわ。
それに多分だけど、彼女が纏った黒い靄ってイレギュラーの持つ悪意なんじゃないかしら。
だってレティーナが生きてるのが許せないなら、あの悪意で私を殺したかったのだろうから。
でも、神様はイレギュラーと融合すると言った。
もうレティーナに何があっても助けることは出来ない。
そう言ったけど、それは同時にレティーナをイレギュラーの悪意が襲うことはないということでもある。
もちろん、それ以外の・・・
王女としてのレティーナを嫌う人間もいるだろう。
憎まれることが絶対ないとは言えない。
実際、元ピスタス侯爵家の人間はレティーナを憎んでいるだろう。
だけど、それは私が自分で行ったことによる結果だもの。
自分の行いの結果は、自分で受け止める。
みんながしていることよ。
私だけがルールに反していた。
「そう。アストニア様は?何か覚えていらっしゃる?」
「・・・いや。何も」
イヴァン様の表情が暗い。
もしかしてあの白い世界の後遺症とかが?
だってあそこは長くはいられないと聞いたし、それにイヴァン様は無関係なのに私に引っ張られて行ったようなものだわ。
どうしよう。
もう、神様には手を貸してもらえないし。
いや、待って。
そもそも生きてる時には全く、手を貸してもらえないんだったわ。
抱きついていたお母様から手を離し、イヴァン様に向き直る。
「イヴァン様?大丈夫ですか?気分が悪かったり・・・」
ああ。もう、このクッション邪魔だわ。
壁を成していたクッションを、ひとつふたつと退けようとすると、イヴァン様はその手をそっと押さえて微笑んだ。
「大丈夫だよ。でももう少しだけこのまま手を繋いでいよう?すみません、少しレティと二人きりにしてもらえませんか?」
良かったわ。
あの黒い靄に包まれたから、何か悪影響があったらどうしようかと。
神様も何も言ってなかったからあれだけど、あれってどう見ても良いものじゃない気がしたもの。
私とイヴァン様が気を失っていたのは半日ほどで、それでも全く目覚めようとしないから、お父様もお母様もみんな心配したのだと言われたわ。
あの白い世界、いたのは数十分だと思ったけど、きっと時間軸が違うのね。
「それで、あの、メルモン男爵令嬢は?」
「意味不明なことを喚き散らしていたが、レティーナたちが倒れてからは、まるで別人のように静かになったそうだ。発言はともかく、直接なにかをしたというわけではないから、一応メルモン男爵家で謹慎させている」
「レティーナ、何があったの?影の報告でも彼女に直接なにかをされたわけではないと聞いたけど」
ああ、影がいたんだったわ。
「え、と・・・メルモン様が叫ばれて、その・・・気が遠くなって・・・」
まさか、神様に呼ばれてましたなんて言えないわ。
それに多分だけど、彼女が纏った黒い靄ってイレギュラーの持つ悪意なんじゃないかしら。
だってレティーナが生きてるのが許せないなら、あの悪意で私を殺したかったのだろうから。
でも、神様はイレギュラーと融合すると言った。
もうレティーナに何があっても助けることは出来ない。
そう言ったけど、それは同時にレティーナをイレギュラーの悪意が襲うことはないということでもある。
もちろん、それ以外の・・・
王女としてのレティーナを嫌う人間もいるだろう。
憎まれることが絶対ないとは言えない。
実際、元ピスタス侯爵家の人間はレティーナを憎んでいるだろう。
だけど、それは私が自分で行ったことによる結果だもの。
自分の行いの結果は、自分で受け止める。
みんながしていることよ。
私だけがルールに反していた。
「そう。アストニア様は?何か覚えていらっしゃる?」
「・・・いや。何も」
イヴァン様の表情が暗い。
もしかしてあの白い世界の後遺症とかが?
だってあそこは長くはいられないと聞いたし、それにイヴァン様は無関係なのに私に引っ張られて行ったようなものだわ。
どうしよう。
もう、神様には手を貸してもらえないし。
いや、待って。
そもそも生きてる時には全く、手を貸してもらえないんだったわ。
抱きついていたお母様から手を離し、イヴァン様に向き直る。
「イヴァン様?大丈夫ですか?気分が悪かったり・・・」
ああ。もう、このクッション邪魔だわ。
壁を成していたクッションを、ひとつふたつと退けようとすると、イヴァン様はその手をそっと押さえて微笑んだ。
「大丈夫だよ。でももう少しだけこのまま手を繋いでいよう?すみません、少しレティと二人きりにしてもらえませんか?」
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