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最終章

神様の告白

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『レティーナ・・・』

 聞こえてきた覚えのある声に振り返った。
 でも、そこに見覚えのある神様の姿はなかった。

「え?」

 そこにいたのは、ぼんやりとした

 人のような輪郭はあるけれど、ぼやけていて、今までのように男の人だと認識することはもちろん、背景の白い空間に溶け込んで存在すら認識しづらい。

「え?え?ちょ、ちょっと、どうしたんですか?」

『レティーナ、ごめん。ごめん・・・』

「いや、謝られても、一体なにがあったんですか?私、死んだんですよね?イヴァン様も?」

 今までのように人型だったなら、それこそ胸ぐら掴んで文句を言ったと思うけど、今の状態だと文句より事情を説明して欲しいわ。

 大体、どうしてそんなに存在が曖昧なの?

『いや、死んでいない。どうしても伝えなければいけないことがあって、呼んだんだ』

「伝えなければいけないこと?いえ、それよりどうしてそんな状態なんですか?」

『レティーナ。君を傷つけていた存在がわかった』

 え?私を傷つけていた・・・
私が殺される理由、イレギュラーが分かったということ?

「それは、誰だったんですか?他の神様かもって言ってましたよね?」

『ごめん、レティーナ。君を死なせる原因のイレギュラーを生み出していたのは・・・僕だった』

「・・・は?」

『レティーナ、いや礼奈を好きになった僕は、禁忌を犯した。礼奈を生き返らせたいと願った。神が、ひとりの人間を特別扱いしてはならない。なのに、僕は礼奈を特別に扱おうとした。そして歪みが生じた』

 神様の言葉に、首を傾げる。
確か礼奈は死ぬはずじゃなくて、だからこの転生はその救済処置だったのじゃなかった?

 もしかして、根本から違うの?

『他の神たちが、歪みかけた僕を封じようとして僕はふたつに分かれた。礼奈の幸せを願う僕と、神としての平等な僕に。レティーナを殺すイレギュラーは、平等を語る神としての僕の成れの果てだ。礼奈は死ぬはずだった。だから、レティーナとしての転生を認めない』

「だから・・・殺した?」

『でも、僕はレティーナに、礼奈に生きていて欲しかった。礼奈は何も悪いことをしていない。何故、死ななければならない?納得がいかなかった。でも、礼奈を守りたくても僕は神としての力を失うか、イレギュラーと再びひとつとなり平等を司る神に戻るか、どちらかしか選択がなくなった。そして僕は・・・』

 その時初めて、神様がイヴァン様を見た。

 そういえば、神様が現れてからイヴァン様はずっと黙ったままだったわ。

 隣を見ると、イヴァン様は神様をジッと見つめている。

『僕はまもなくイレギュラーとの融合が終わる』

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