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最終章

イレギュラーはいつ?

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「・・・は?」

 意味がわからないという顔で、イヴァン様が目を丸くする。

 あら?そんな表情も素敵ね。
好きだと自分の気持ちを認めたら、イヴァン様の全てにドキドキしてしまう。

「最初から、お話しますわね。私は昔、礼奈という・・・そうですわね、この世界とは違う、身分格差のない世界で生きていました」

 正確には格差はあったけど、貴族世界とは違うということだけ伝われば良いわ。

「私は十六歳の誕生日の前日に、母に首を絞められて命を落としました。病にかかっていて、母は看病に疲れ果てていたのです」

「ちょ、ちょっと待って。レティ?何の話を・・・」

「気付いたら、神様と名乗る人と対峙していました。本来なら礼奈は死ぬはずじゃなかったから、生き返らせるというのです。ただし、別の人間として」

 イヴァン様の戸惑う気持ちはわかるわ。
私だって前世の記憶がなければ、物語の世界と混同してるのかと、精神を疑うもの。

「目覚めたら、侯爵夫人と呼ばれていました。何の説明もなく、いきなりですよ?それでも礼奈として生きてきた記憶があったので、何となくですけど貴族の世界にも慣れることが出来ました。人の名前も分かりませんから、と言って」

「!」

「ええ。と同じです。私は結局夫に殺されて、次に伯爵令嬢、その次は公爵令嬢、平民の聖女と生まれ変わり、その度に殺されて、今回レティーナ・ファンブルク王女殿下として生まれ変わったのです。記憶がないのは当たり前です。私は、本当のレティーナ王女ではない。本当のレティーナがどうなったのかは分かりません。私が転生した時にはどの時も元の精神は残っていなかったので。何らかの理由で消えたところに私の精神を入れたのかもしれませんが、毎回名前はレティーナでしたから、神様とやらの力が働いているのかもしれませんね」

 改めて考えてみると、私は毎回レティーナなのだ。

 容姿も最初の頃から変わっていない。
銀髪に紅玉の瞳。

 痩せていたり、幼かったりとの差はあるけれど、基本的なところは変わっていない。

 いつも殺された後のことが気になって、そこに気付かなかったわ。

「いつもは一年も保たずに殺されてしまうのですが、今回は今のところ大丈夫みたいです。私を転生させた神様から聞いた話では、私を生き返らせるために何柱かの神様の力が働いているそうです。その中のどなたかが、私を死なせるための『障害』を放っているみたいで・・・」

 今回は珍しく発生しないのよね。
アルフレッド陛下の件で起きるかと思ったけど、普通にジュリエッタ様は良い方だったし。




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