134 / 144
最終章
イレギュラーはいつ?
しおりを挟む
「・・・は?」
意味がわからないという顔で、イヴァン様が目を丸くする。
あら?そんな表情も素敵ね。
好きだと自分の気持ちを認めたら、イヴァン様の全てにドキドキしてしまう。
「最初から、お話しますわね。私は昔、礼奈という・・・そうですわね、この世界とは違う、身分格差のない世界で生きていました」
正確には格差はあったけど、貴族世界とは違うということだけ伝われば良いわ。
「私は十六歳の誕生日の前日に、母に首を絞められて命を落としました。病にかかっていて、母は看病に疲れ果てていたのです」
「ちょ、ちょっと待って。レティ?何の話を・・・」
「気付いたら、神様と名乗る人と対峙していました。本来なら礼奈は死ぬはずじゃなかったから、生き返らせるというのです。ただし、別の人間として」
イヴァン様の戸惑う気持ちはわかるわ。
私だって前世の記憶がなければ、物語の世界と混同してるのかと、精神を疑うもの。
「目覚めたら、侯爵夫人と呼ばれていました。何の説明もなく、いきなりですよ?それでも礼奈として生きてきた記憶があったので、何となくですけど貴族の世界にも慣れることが出来ました。人の名前も分かりませんから、記憶を失くしたと言って」
「!」
「ええ。今と同じです。私は結局夫に殺されて、次に伯爵令嬢、その次は公爵令嬢、平民の聖女と生まれ変わり、その度に殺されて、今回レティーナ・ファンブルク王女殿下として生まれ変わったのです。記憶がないのは当たり前です。私は、本当のレティーナ王女ではない。本当のレティーナがどうなったのかは分かりません。私が転生した時にはどの時も元の精神は残っていなかったので。何らかの理由で消えたところに私の精神を入れたのかもしれませんが、毎回名前はレティーナでしたから、神様とやらの力が働いているのかもしれませんね」
改めて考えてみると、私は毎回レティーナなのだ。
容姿も最初の頃から変わっていない。
銀髪に紅玉の瞳。
痩せていたり、幼かったりとの差はあるけれど、基本的なところは変わっていない。
いつも殺された後のことが気になって、そこに気付かなかったわ。
「いつもは一年も保たずに殺されてしまうのですが、今回は今のところ大丈夫みたいです。私を転生させた神様から聞いた話では、私を生き返らせるために何柱かの神様の力が働いているそうです。その中のどなたかが、私を死なせるための『障害』を放っているみたいで・・・」
今回は珍しく発生しないのよね。
アルフレッド陛下の件で起きるかと思ったけど、普通にジュリエッタ様は良い方だったし。
意味がわからないという顔で、イヴァン様が目を丸くする。
あら?そんな表情も素敵ね。
好きだと自分の気持ちを認めたら、イヴァン様の全てにドキドキしてしまう。
「最初から、お話しますわね。私は昔、礼奈という・・・そうですわね、この世界とは違う、身分格差のない世界で生きていました」
正確には格差はあったけど、貴族世界とは違うということだけ伝われば良いわ。
「私は十六歳の誕生日の前日に、母に首を絞められて命を落としました。病にかかっていて、母は看病に疲れ果てていたのです」
「ちょ、ちょっと待って。レティ?何の話を・・・」
「気付いたら、神様と名乗る人と対峙していました。本来なら礼奈は死ぬはずじゃなかったから、生き返らせるというのです。ただし、別の人間として」
イヴァン様の戸惑う気持ちはわかるわ。
私だって前世の記憶がなければ、物語の世界と混同してるのかと、精神を疑うもの。
「目覚めたら、侯爵夫人と呼ばれていました。何の説明もなく、いきなりですよ?それでも礼奈として生きてきた記憶があったので、何となくですけど貴族の世界にも慣れることが出来ました。人の名前も分かりませんから、記憶を失くしたと言って」
「!」
「ええ。今と同じです。私は結局夫に殺されて、次に伯爵令嬢、その次は公爵令嬢、平民の聖女と生まれ変わり、その度に殺されて、今回レティーナ・ファンブルク王女殿下として生まれ変わったのです。記憶がないのは当たり前です。私は、本当のレティーナ王女ではない。本当のレティーナがどうなったのかは分かりません。私が転生した時にはどの時も元の精神は残っていなかったので。何らかの理由で消えたところに私の精神を入れたのかもしれませんが、毎回名前はレティーナでしたから、神様とやらの力が働いているのかもしれませんね」
改めて考えてみると、私は毎回レティーナなのだ。
容姿も最初の頃から変わっていない。
銀髪に紅玉の瞳。
痩せていたり、幼かったりとの差はあるけれど、基本的なところは変わっていない。
いつも殺された後のことが気になって、そこに気付かなかったわ。
「いつもは一年も保たずに殺されてしまうのですが、今回は今のところ大丈夫みたいです。私を転生させた神様から聞いた話では、私を生き返らせるために何柱かの神様の力が働いているそうです。その中のどなたかが、私を死なせるための『障害』を放っているみたいで・・・」
今回は珍しく発生しないのよね。
アルフレッド陛下の件で起きるかと思ったけど、普通にジュリエッタ様は良い方だったし。
4
お気に入りに追加
480
あなたにおすすめの小説
【完結】痛いのも殺されるのも嫌なので逃げてもよろしいでしょうか?~稀代の悪女と呼ばれた紅の薔薇は二度目の人生で華麗に返り咲く~
黒幸
恋愛
『あなたに殺されたくないので逃げてもよろしいでしょうか?~悪妻と呼ばれた美しき薔薇は二度目の人生で華麗に返り咲く~』の改訂版となります。
大幅に加筆修正し、更新が分かりにくくなる原因となっていた闇堕ちルートがなくなります。
セラフィナ・グレンツユーバーは報われない人生の果てに殺され、一生を終えた。
悪妻と謗られた末に最後の望みも断たれ、無残にも首を切られたのだ。
「あれ? 私、死んでない……」
目が覚めるとなぜか、12歳の自分に戻っていることに気付いたセラフィナ。
己を見つめ直して、決めるのだった。
「今度は間違えたりしないわ」
本編は主人公であるセラフィナの一人称視点となっております。
たまに挿話として、挟まれる閑話のみ、別の人物による一人称または三人称視点です。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。
もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】
青緑
恋愛
女神に今代の聖女として選定されたメリシャは二体の神獣を授かる。
親代わりの枢機卿と王都を散策中、王子によって婚約者に選ばれてしまう。法衣貴族の娘として学園に通う中、王子と会う事も関わる事もなく、表向き平穏に暮らしていた。
ある辺境で起きた魔物被害を食い止めたメリシャは人々に聖女として認められていく。しかしある日、多くの王侯貴族の前で王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。長い間、我儘な王子に我慢してきた聖女は何を告げるのか。
———————————
本作品は七日から十日おきでの投稿を予定しております。
更新予定時刻は投稿日の17時を固定とさせていただきます。
誤字・脱字をお知らせしてくださると、幸いです。
読み難い箇所のお知らせは、何話の修正か記載をお願い致しますm(_ _)m
※40話にて、近況報告あり。
※52話より、次回話の更新をお知らせします。
異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女
かなかな
ファンタジー
異世界に突然やって来たんだけど…私これからどうなるの〜〜!?
もふもふに妖精に…神まで!?
しかも、愛し子‼︎
これは異世界に突然やってきた幼女の話
ゆっくりやってきますー
次期女領主の結婚問題
ナナカ
恋愛
幼い頃に決まった婚約者は、私の従妹に恋をした。
そんな二人を円満に結婚させたのは私だ。なのになぜ「悲劇の女」と思い込むのか……。
地方大領主マユロウ伯爵の長女カジュライアは、誰もが認める次期女領主。しかし年下の婚約者は従妹に恋をした。だから円満に二人を結婚させたのに、2年経った今でも「悲劇の女」扱いをされてうんざりしている。
そんなカジュライアに、突然三人の求婚者が現れた。いずれも女領主の夫に相応しいが、野心や下心を隠さず一筋縄ではいかない人物ばかり。求婚者たちに囲まれて収拾がつかないのに、なぜかのどかな日々が続く。しかし心地よい日々の中で求婚者たちの態度が少しずつ変わっていく。
※他所で連載した「すべては運命のままに」を一部改稿したものです
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
悪役令嬢はお断りです
あみにあ
恋愛
あの日、初めて王子を見た瞬間、私は全てを思い出した。
この世界が前世で大好きだった小説と類似している事実を————。
その小説は王子と侍女との切ない恋物語。
そして私はというと……小説に登場する悪役令嬢だった。
侍女に執拗な虐めを繰り返し、最後は断罪されてしまう哀れな令嬢。
このまま進めば断罪コースは確定。
寒い牢屋で孤独に過ごすなんて、そんなの嫌だ。
何とかしないと。
でもせっかく大好きだった小説のストーリー……王子から離れ見られないのは悲しい。
そう思い飛び出した言葉が、王子の護衛騎士へ志願することだった。
剣も持ったことのない温室育ちの令嬢が
女の騎士がいないこの世界で、初の女騎士になるべく奮闘していきます。
そんな小説の世界に転生した令嬢の恋物語。
●表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
●毎日21時更新(サクサク進みます)
●全四部構成:133話完結+おまけ(2021年4月2日 21時完結)
(第一章16話完結/第二章44話完結/第三章78話完結/第四章133話で完結)。
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる