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最終章
もう六度目は無理なの
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「レティーナ?自分の気持ちに素直になって良いの。アストニア様が好きなのでしょう?」
お母様の問いに答えることが出来ない。
ううん。好きか嫌いかで答えるなら、好きだと言うことは出来る。
でも・・・
イヴァン様を好きだということを認めてしまったら、失うのが怖い。
私は過去に四回、ううん礼奈の時を含めたら五回も殺されてるのよ?
もしまた誰かの悪意を受けて、殺されてしまったら?
私を守ろうと、イヴァン様が傷つけられてしまったら?
イヴァン様と二度と会えなくなる。
そんなの耐えられない。
前回までの記憶がなくなるのなら、忘れてしまえるのなら、イヴァン様でなく私が殺されるのならまだ耐えられるけど、私には過去の記憶が残ってるの。
イヴァン様を失えば、もう二度と会えなくなれば、私は六度目なんて無理。
生きる気力を失ってしまう。
それに、イヴァン様が他の方を好きになってしまったら?
私は、侯爵夫人だったときの夫も、アズリル殿下にも、恋愛感情は持っていなかったから、誰か他の人を好きになられても平気だったけど、イヴァン様が他の方を好きだと言われたら・・・
駄目。
嫉妬でおかしくなってしまうかもしれない。
好きだと認めてしまえば、抑えきれなくなってしまいそう。
こんな重たい気持ち向けられたら、イヴァン様だって引いてしまうかもしれないわ。
「レティーナ?」
「お母様、私・・・怖いのです。イヴァン様は素敵な方で、多くのご令嬢がイヴァン様のことをお好きになる。私は・・・嫉妬で醜くなるのも、それでイヴァン様に嫌われるのも怖い」
それに、今回は殺されないなんて楽観視出来ないわ。
伯爵令嬢の時と聖女の時は、危機感というか、命の危険は感じていたけど、公爵令嬢のときなんか絶対に幸せになれると思っていたもの。
「レティーナ、大丈夫よ。もちろんアストニア様のお気持ちは未来永劫変わらないなんて言えないわ。でも、もし嫉妬して嫌われたとしてもそれは間違いではないの。好きな人が他の人に目を向ければ、誰でも嫉妬もするし悲しいわ。そうなったとしても、それはレティーナの成長に繋がるのよ」
「・・・」
駄目なの、お母様。
私はイヴァン様に嫌われたら、多分絶望してしまう。
生きていたくないと思ってしまう。
生きたいと願っていなければ、礼奈が繰り返しをしている意味がなくなる。
「レティーナ?」
「駄目なの。イヴァン様を失うくらいなら、私・・・」
「なら、僕がレティを好きじゃなくなったら、僕を殺してしまっていいよ」
聞こえてきたイヴァン様の声と共に、私は背中から抱きしめられた。
お母様の問いに答えることが出来ない。
ううん。好きか嫌いかで答えるなら、好きだと言うことは出来る。
でも・・・
イヴァン様を好きだということを認めてしまったら、失うのが怖い。
私は過去に四回、ううん礼奈の時を含めたら五回も殺されてるのよ?
もしまた誰かの悪意を受けて、殺されてしまったら?
私を守ろうと、イヴァン様が傷つけられてしまったら?
イヴァン様と二度と会えなくなる。
そんなの耐えられない。
前回までの記憶がなくなるのなら、忘れてしまえるのなら、イヴァン様でなく私が殺されるのならまだ耐えられるけど、私には過去の記憶が残ってるの。
イヴァン様を失えば、もう二度と会えなくなれば、私は六度目なんて無理。
生きる気力を失ってしまう。
それに、イヴァン様が他の方を好きになってしまったら?
私は、侯爵夫人だったときの夫も、アズリル殿下にも、恋愛感情は持っていなかったから、誰か他の人を好きになられても平気だったけど、イヴァン様が他の方を好きだと言われたら・・・
駄目。
嫉妬でおかしくなってしまうかもしれない。
好きだと認めてしまえば、抑えきれなくなってしまいそう。
こんな重たい気持ち向けられたら、イヴァン様だって引いてしまうかもしれないわ。
「レティーナ?」
「お母様、私・・・怖いのです。イヴァン様は素敵な方で、多くのご令嬢がイヴァン様のことをお好きになる。私は・・・嫉妬で醜くなるのも、それでイヴァン様に嫌われるのも怖い」
それに、今回は殺されないなんて楽観視出来ないわ。
伯爵令嬢の時と聖女の時は、危機感というか、命の危険は感じていたけど、公爵令嬢のときなんか絶対に幸せになれると思っていたもの。
「レティーナ、大丈夫よ。もちろんアストニア様のお気持ちは未来永劫変わらないなんて言えないわ。でも、もし嫉妬して嫌われたとしてもそれは間違いではないの。好きな人が他の人に目を向ければ、誰でも嫉妬もするし悲しいわ。そうなったとしても、それはレティーナの成長に繋がるのよ」
「・・・」
駄目なの、お母様。
私はイヴァン様に嫌われたら、多分絶望してしまう。
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「レティーナ?」
「駄目なの。イヴァン様を失うくらいなら、私・・・」
「なら、僕がレティを好きじゃなくなったら、僕を殺してしまっていいよ」
聞こえてきたイヴァン様の声と共に、私は背中から抱きしめられた。
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