125 / 144
最終章
ピスタス侯爵家
しおりを挟む
「貴族院の派遣した影は、王家だからといって悪事を見逃したりしない。つまりは、いくら王女殿下がやったと嘘をついてもそれが虚言であることは明白」
お父様が手を上げると、衛兵たちがピスタス侯爵夫妻、いえもう爵位剥奪しましたから平民ですわね。
そしてチェリー様を引きずって行った。
チェリー様は最後まで「こんなのおかしい」とか「私は未来の侯爵夫人なのに」とか喚いていたけど、侯爵令嬢なのは「仮」でしたのよ。
正当な血筋でないチェリー様が侯爵夫人になれるとしたら、侯爵家に嫁ぐ以外に方法はなかったと結局理解しませんでしたのね。
ピスタス侯爵たちが退出したところで、フロランス様と顔を見合わす。
結局、侯爵たちがフロランス様に謝罪することはなく、最後は見ようとすらしなかった。
あんな勝手な親のせいで、フロランス様はずっと苦しい思いをしていた。
「フロランス様はこれからどうされるのですか?」
「はい。お祖父様が所持していらっしゃる伯爵位を継げるように、お祖父様のところへ参ります。学園からは遠いので、卒業までは寮に入りたいと思います」
ピスタス前侯爵様は、伯爵位もお持ちだったのね。
学園には、王都に屋敷を持たない貴族のために寮がある。
フロランス様と一緒に王宮で過ごすのは楽しかったけど、諸々が解決した今、フロランス様だけを特別扱いするわけにはいかない。
「そうですか。でもこれからフロランス様がお心を痛めることなく学園生活を送れるのなら、良かったです」
「はい。レティーナ様・・・ありがとうございます」
自身の父親を、ずっと暮らして来た侯爵家を、それらを失ってもフロランス様はとても優しく微笑まれた。
私は・・・
過去こんなふうに笑えていただろうか。
「クレスト公爵令息様も、アストニア様も、ありがとうございました」
「僕は別に何もしてない」
「僕もだね。むしろ素敵なご令嬢をエスコート出来て、こちらがお礼を言うべきかな」
イヴァン様とロイド様の声に、自分の思考に沈みそうだった意識が戻る。
お二人らしいお答えに、クスリと笑みがもれた。
ロイド様って、本当に紳士だわ。
「さ。フロランス様。着替えに向かいましょう」
ピスタス侯爵家の処遇が決まるまで、退出するわけにはいかなかったもの。
フロランス様のドレスの裾は、チェリー様にかけられたジュースで色が変わっている。
本当に、予想通りの行動をしてくれたわ。
わざわざ葡萄ジュースの色が映える白に近いピンク色のドレスにして正解ね。
お父様が手を上げると、衛兵たちがピスタス侯爵夫妻、いえもう爵位剥奪しましたから平民ですわね。
そしてチェリー様を引きずって行った。
チェリー様は最後まで「こんなのおかしい」とか「私は未来の侯爵夫人なのに」とか喚いていたけど、侯爵令嬢なのは「仮」でしたのよ。
正当な血筋でないチェリー様が侯爵夫人になれるとしたら、侯爵家に嫁ぐ以外に方法はなかったと結局理解しませんでしたのね。
ピスタス侯爵たちが退出したところで、フロランス様と顔を見合わす。
結局、侯爵たちがフロランス様に謝罪することはなく、最後は見ようとすらしなかった。
あんな勝手な親のせいで、フロランス様はずっと苦しい思いをしていた。
「フロランス様はこれからどうされるのですか?」
「はい。お祖父様が所持していらっしゃる伯爵位を継げるように、お祖父様のところへ参ります。学園からは遠いので、卒業までは寮に入りたいと思います」
ピスタス前侯爵様は、伯爵位もお持ちだったのね。
学園には、王都に屋敷を持たない貴族のために寮がある。
フロランス様と一緒に王宮で過ごすのは楽しかったけど、諸々が解決した今、フロランス様だけを特別扱いするわけにはいかない。
「そうですか。でもこれからフロランス様がお心を痛めることなく学園生活を送れるのなら、良かったです」
「はい。レティーナ様・・・ありがとうございます」
自身の父親を、ずっと暮らして来た侯爵家を、それらを失ってもフロランス様はとても優しく微笑まれた。
私は・・・
過去こんなふうに笑えていただろうか。
「クレスト公爵令息様も、アストニア様も、ありがとうございました」
「僕は別に何もしてない」
「僕もだね。むしろ素敵なご令嬢をエスコート出来て、こちらがお礼を言うべきかな」
イヴァン様とロイド様の声に、自分の思考に沈みそうだった意識が戻る。
お二人らしいお答えに、クスリと笑みがもれた。
ロイド様って、本当に紳士だわ。
「さ。フロランス様。着替えに向かいましょう」
ピスタス侯爵家の処遇が決まるまで、退出するわけにはいかなかったもの。
フロランス様のドレスの裾は、チェリー様にかけられたジュースで色が変わっている。
本当に、予想通りの行動をしてくれたわ。
わざわざ葡萄ジュースの色が映える白に近いピンク色のドレスにして正解ね。
16
お気に入りに追加
480
あなたにおすすめの小説
異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女
かなかな
ファンタジー
異世界に突然やって来たんだけど…私これからどうなるの〜〜!?
もふもふに妖精に…神まで!?
しかも、愛し子‼︎
これは異世界に突然やってきた幼女の話
ゆっくりやってきますー
大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました
Karamimi
恋愛
2年前に両親を亡くしたスカーレットは、1年前幼馴染で3つ年上のデビッドと結婚した。両親が亡くなった時もずっと寄り添ってくれていたデビッドの為に、毎日家事や仕事をこなすスカーレット。
そんな中迎えた結婚1年記念の日。この日はデビッドの為に、沢山のご馳走を作って待っていた。そしていつもの様に帰ってくるデビッド。でもデビッドの隣には、美しい女性の姿が。
「俺は彼女の事を心から愛している。悪いがスカーレット、どうか俺と離縁して欲しい。そして今すぐ、この家から出て行ってくれるか?」
そうスカーレットに言い放ったのだ。何とか考え直して欲しいと訴えたが、全く聞く耳を持たないデビッド。それどころか、スカーレットに数々の暴言を吐き、ついにはスカーレットの荷物と共に、彼女を追い出してしまった。
荷物を持ち、泣きながら街を歩くスカーレットに声をかけて来たのは、この街の騎士団長だ。一旦騎士団長の家に保護してもらったスカーレットは、さっき起こった出来事を騎士団長に話した。
「なんてひどい男だ!とにかく落ち着くまで、ここにいるといい」
行く当てもないスカーレットは結局騎士団長の家にお世話になる事に
※他サイトにも投稿しています
よろしくお願いします
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~
Mona
恋愛
第二王子の婚約者の発表がされる。
しかし、その名は私では無かった。
たった一人の婚約候補者の、私の名前では無かった。
私は、私の名誉と人生を守為に侯爵家の当主になります。
先ずは、お兄様を、グーパンチします。
“用済み”捨てられ子持ち令嬢は、隣国でオルゴールカフェを始めました
古森きり
恋愛
産後の肥立が悪いのに、ワンオペ育児で過労死したら異世界に転生していた!
トイニェスティン侯爵令嬢として生まれたアンジェリカは、十五歳で『神の子』と呼ばれる『天性スキル』を持つ特別な赤子を処女受胎する。
しかし、召喚されてきた勇者や聖女に息子の『天性スキル』を略奪され、「用済み」として国外追放されてしまう。
行き倒れも覚悟した時、アンジェリカを救ったのは母国と敵対関係の魔人族オーガの夫婦。
彼らの薦めでオルゴール職人で人間族のルイと仮初の夫婦として一緒に暮らすことになる。
不安なことがいっぱいあるけど、母として必ず我が子を、今度こそ立派に育てて見せます!
ノベルアップ+とアルファポリス、小説家になろう、カクヨムに掲載しています。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
【完結済】逆恨みで婚約破棄をされて虐待されていたおちこぼれ聖女、隣国のおちぶれた侯爵家の当主様に助けられたので、恩返しをするために奮闘する
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
偉大な聖女であった母を持つ、落ちこぼれ聖女のエレナは、婚約者である侯爵家の当主、アーロイに人殺しの死神として扱われ、牢に閉じ込められて酷い仕打ちを受ける日々を送っていた。
そんなエレナは、今は亡き母の遺言に従って、必死に耐える日々を送っていたが、同じ聖女の力を持ち、母から教えを受けていたジェシーによってアーロイを奪われ、婚約破棄を突き付けられる。
ここにいても、ずっと虐げられたまま人生に幕を下ろしてしまう――そんなのは嫌だと思ったエレナは、二人の結婚式の日に屋敷から人がいなくなった隙を突いて、脱走を決行する。
なんとか脱走はできたものの、著しく落ちた体力のせいで川で溺れてしまい、もう駄目だと諦めてしまう。
しかし、偶然通りかかった隣国の侯爵家の当主、ウィルフレッドによって、エレナは一命を取り留めた。
ウィルフレッドは過去の事故で右の手足と右目が不自由になっていた。そんな彼に恩返しをするために、エレナは聖女の力である回復魔法を使うが……彼の怪我は深刻で、治すことは出来なかった。
当主として家や家族、使用人達を守るために毎日奮闘していることを知ったエレナは、ウィルフレッドを治して幸せになってもらうために、彼の専属の聖女になることを決意する――
これは一人の落ちこぼれ聖女が、体が不自由な男性を助けるために奮闘しながら、互いに惹かれ合って幸せになっていく物語。
※全四十五話予定。最後まで執筆済みです。この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる