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最終章

謝って欲しかったのかもしれない

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「レティーナ。もういいでしょう?」

 お母様たちがやって来た。
フロランス様の顔を見ると、コックリと頷かれる。

「レティーナ王女殿下。ありがとうございます。もう気持ちは決まりましたから」

「そう・・・そうですね。フロランス様がよろしいのなら、私がどうこういうことはありません。お父様、お母様。お任せします」

 私・・・
フロランス様に、過去の自分を重ねていたのかもしれないわ。

 ずっと虐げられていて、最後は殺されたから・・・

 こんな風に断罪されて、という結果だとしても、自分たちが悪かったと謝って欲しかったのかもしれない。

 でも、フロランス様は謝ってもらうことを諦めた。

 侯爵令嬢として、最後まで毅然とした態度で、父親を切り捨てた。

「ピスタス侯爵家の爵位を剥奪。国外追放とする。衛兵!今日中にファンブルク王国から三人を放り出せ」

「ちょっ・・・ちょっとお待ちください、国王陛下!我々は自分の娘のフロランスを躾けていただけで・・・自分の家の中のことではないですか。それを爵位剥奪の上に国外追放だなんて!」

「そうですわ!いくら国王陛下でも横暴過ぎます!」

 お父様の宣言に、ピスタス侯爵夫妻が抗議の声を上げる。

 うーん。
国王陛下の決定事項に異論を唱えること自体が問題だとは思わないのね?

 確かに、お父様だって間違うことはあるかもしれない。

 でも、国のトップが一度口にしたことを「あ。間違いだったよ」って取り消すことは出来ないの。

 誰かに何かを言われたからって、決定をコロコロ変えてたら、信用ならないじゃない。

 だから、口にする前に何度も他の人間と議論するし、証拠だってキチンと確認してから決めるの。

 それに、フロランス様のことは確かにピスタス侯爵家の中のことだけど、それで断罪されてるのじゃないのに。

「理由すら分からぬようだ。説明してやれ」

「では、私が」

 お父様の後ろから、筆頭公爵家当主であるクレスト公爵が前に出る。

「あなた方は、王族である王女殿下に対して、我儘だの横暴だのと不敬な発言を繰り返しておりました。王女殿下に対する侮辱罪です。そして、大国サウスクラウド王国の貴族アストニア様に勝手に声をかけ、ご迷惑をおかけしましたね。そのことに対して、アストニア様より厳罰を求められています」

「そ、そんな・・・じっ、実際に学園で王女殿下は我儘放題だと・・・」

「我儘放題なのは、あなたの隣にいるその阿婆擦れでしょう」

「なっ!いくら公爵といえど、可愛い娘を阿婆擦れなどと!失礼ではないですかっ!」

 あら。
血が繋がってなくても、そんなにチェリー様が可愛いのね。

 なら、可愛い娘のせいで平民になっても平気よね。




 
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