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最終章
予想通り過ぎて、びっくりなのよ
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「レティーナ姫君、今日も麗しいね」
入場して王族用のスペースで挨拶を受けていると、ロイド様が現れた。
あら?フロランス様は?
「姉上がさっさと退場させたいみたいでね。動きやすいように少し離れるよう指示を受けていたんだよ」
「そうなのですね」
「酷いわ!お姉様っ!」
私が頷くのに間を置かずに、甲高い悲鳴とグラスが割れる音が会場に響いた。
「あら、始まったみたいね」
お義姉様、嬉しそうに言わないで。
フロランス様のお気持ちを考えると複雑なのよ。
「あ。すごいよ、レティ。君の予想通りの展開だ」
イヴァン様。
そんな予想当たっても嬉しくないわ。
どうして幸せなお花畑の住人さんは、やることが同じなの?
そういうマニュアルでもあるのかしら?
私たちは、ロイド様がフロランス様の元へと向かう背中を見送る。
私たちが動くのは、ピスタス侯爵と夫人が、チェリー様と同じようにフロランス様をいじめるのを周囲に知らしめてからなの。
「どうした?チェリー」
「お父様!お母様!お姉様が・・・お姉様がぶつかってきたから飲み物をこぼしてしまったのに、私が悪いと責めるのです」
「まぁ!かわいそうなチェリー。泣かないで?可愛いチェリーを羨んで、そんな酷い真似をするのよ」
「フロランス!チェリーに謝れ!」
顔を手で覆い、嘘泣きをしているチェリー様。
アレで本当に貴族令嬢のつもりなのかしら?
貴族令嬢、特に高位貴族は人前で感情を見せることを恥だと教わる。
腹が立っても、悲しくても、口元を扇で隠して目元はにっこりと微笑んだまま、相手に感情を悟らせない。
泣いて喚くのが微笑ましいのは、小さな子供のうちだけよ。
よく乙女ゲームで、感情のまま口を開けて笑ったり怒ったり泣いたりするヒロインに、攻略対象たちが心惹かれるのは、貴族令嬢たちがそれをしないから。
でもたまにいるのよね。
ああいう、規格外の人。
「私は何もしていません」
「お前はチェリーが嘘をついていると言いたいのか!」
「私が嘘をついていると言うのですか?」
冷静に切り返すフロランス様に、ピスタス侯爵がカッとして手を上げたところで、ロイド様が間に合った。
「たとえ娘でも、手をあげるのは感心しませんね」
「ッ!」
「あっ!あのっ!姉はずっと私のことを家でも酷く罵ってて・・・私、私とてもつらくて・・・」
ロイド様の同情を誘うように、チェリー様は涙目で上目遣いにロイド様を見る。
その勢いで抱きつこうとするのを、ロイド様は華麗に避けた。
「勝手に触れないでくれないかな。僕は嘘つきが大嫌いなんだ」
入場して王族用のスペースで挨拶を受けていると、ロイド様が現れた。
あら?フロランス様は?
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「そうなのですね」
「酷いわ!お姉様っ!」
私が頷くのに間を置かずに、甲高い悲鳴とグラスが割れる音が会場に響いた。
「あら、始まったみたいね」
お義姉様、嬉しそうに言わないで。
フロランス様のお気持ちを考えると複雑なのよ。
「あ。すごいよ、レティ。君の予想通りの展開だ」
イヴァン様。
そんな予想当たっても嬉しくないわ。
どうして幸せなお花畑の住人さんは、やることが同じなの?
そういうマニュアルでもあるのかしら?
私たちは、ロイド様がフロランス様の元へと向かう背中を見送る。
私たちが動くのは、ピスタス侯爵と夫人が、チェリー様と同じようにフロランス様をいじめるのを周囲に知らしめてからなの。
「どうした?チェリー」
「お父様!お母様!お姉様が・・・お姉様がぶつかってきたから飲み物をこぼしてしまったのに、私が悪いと責めるのです」
「まぁ!かわいそうなチェリー。泣かないで?可愛いチェリーを羨んで、そんな酷い真似をするのよ」
「フロランス!チェリーに謝れ!」
顔を手で覆い、嘘泣きをしているチェリー様。
アレで本当に貴族令嬢のつもりなのかしら?
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腹が立っても、悲しくても、口元を扇で隠して目元はにっこりと微笑んだまま、相手に感情を悟らせない。
泣いて喚くのが微笑ましいのは、小さな子供のうちだけよ。
よく乙女ゲームで、感情のまま口を開けて笑ったり怒ったり泣いたりするヒロインに、攻略対象たちが心惹かれるのは、貴族令嬢たちがそれをしないから。
でもたまにいるのよね。
ああいう、規格外の人。
「私は何もしていません」
「お前はチェリーが嘘をついていると言いたいのか!」
「私が嘘をついていると言うのですか?」
冷静に切り返すフロランス様に、ピスタス侯爵がカッとして手を上げたところで、ロイド様が間に合った。
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「ッ!」
「あっ!あのっ!姉はずっと私のことを家でも酷く罵ってて・・・私、私とてもつらくて・・・」
ロイド様の同情を誘うように、チェリー様は涙目で上目遣いにロイド様を見る。
その勢いで抱きつこうとするのを、ロイド様は華麗に避けた。
「勝手に触れないでくれないかな。僕は嘘つきが大嫌いなんだ」
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