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最終章
入学式
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ファンブルク王国王立学園。
ラウルお兄様もリリアナお義姉様も通われた、自国の貴族は必ず通わなければならない学園。
十三歳から十五歳まで通うこの学園は、貴族のみが通うから、身分の上下が適用される。
他国には、学園内は身分に関係なく皆平等と謳うところもあるみたいだけど、それって建前よね。
確かに学園内では平等かもしれないけど、学園を卒業したら?
貴族の世界では、身分の上下で全てが決まるの。話しかけることすら、身分が下だと難しくなる。
当然、学園内で何か失礼な態度を取っていたら、卒業後に冷たく対応されるでしょうね。
貴族ならみんな理解しているから、そんな馬鹿なことはしないわ。
するのはラウルお兄様の側近候補だったあの二人と、それを魅了したヒロインもどきくらいよ。
そう思っていたのに、まさか私の世代にもいるとは思わなかったわ。
もしかして、転生者や転移者って定期的に投入される仕組みなのかしら?
不思議と男性の方は少ないのよね。
いたとしても、ファンタジーな世界に行かれるみたいで、ここじゃないみたい。
女性の転生者や転移者って、その転生過程で常識のほとんどを失うシステムなのかしら?
前世で乙女ゲームのラノベのざまぁ版とかを読んでないの?
結構、流行ってたと思うのだけど。
それでも、転移者なら少しは理解出来る。
元いたのが日本だった場合、身分の上下なんて縁遠かったもの。
それでも仕事とかをしてたなら、多少は身分差もわかったけど。
学生なら、部活動の先輩後輩の関係性みたいなものね。
それでも貴族社会みたいに、話しかけちゃダメとかはないわ。
貴族社会って本当に面倒なのよ。
勝手に話しかけてはダメ。名前を呼んでもダメ。
でも、そんな風に自由がないから、私たちは恩恵を受けられる。
平民たちみたいに自由じゃない分、美味しいご飯も綺麗な服も着られるの。
「どこにでも湧くんだな、ああいうの」
アストニア様の呟きに、苦笑がもれる。
湧くって、虫じゃないんだから。
でも、気持ちは分かるわ。
自国の王女と知らなくても、揃いの服を着ている令嬢が隣にいるのに、あの態度って、ヒロイン属性ってやつなのかしら。
自分にどれだけ自信があるのかしら。不思議だわ。
レティーナって、中々の美少女だと思うんだけど。
私もため息がもれそうになり、慌てて扇で口元を隠す。
隣にいたアストニア様にはバレたと思うけど、見逃してくれたみたい。
私は先程、私たちに絡んできた令嬢を思って、小さく扇の内側で息を吐いた。
ラウルお兄様もリリアナお義姉様も通われた、自国の貴族は必ず通わなければならない学園。
十三歳から十五歳まで通うこの学園は、貴族のみが通うから、身分の上下が適用される。
他国には、学園内は身分に関係なく皆平等と謳うところもあるみたいだけど、それって建前よね。
確かに学園内では平等かもしれないけど、学園を卒業したら?
貴族の世界では、身分の上下で全てが決まるの。話しかけることすら、身分が下だと難しくなる。
当然、学園内で何か失礼な態度を取っていたら、卒業後に冷たく対応されるでしょうね。
貴族ならみんな理解しているから、そんな馬鹿なことはしないわ。
するのはラウルお兄様の側近候補だったあの二人と、それを魅了したヒロインもどきくらいよ。
そう思っていたのに、まさか私の世代にもいるとは思わなかったわ。
もしかして、転生者や転移者って定期的に投入される仕組みなのかしら?
不思議と男性の方は少ないのよね。
いたとしても、ファンタジーな世界に行かれるみたいで、ここじゃないみたい。
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結構、流行ってたと思うのだけど。
それでも、転移者なら少しは理解出来る。
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学生なら、部活動の先輩後輩の関係性みたいなものね。
それでも貴族社会みたいに、話しかけちゃダメとかはないわ。
貴族社会って本当に面倒なのよ。
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でも、そんな風に自由がないから、私たちは恩恵を受けられる。
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でも、気持ちは分かるわ。
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自分にどれだけ自信があるのかしら。不思議だわ。
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私もため息がもれそうになり、慌てて扇で口元を隠す。
隣にいたアストニア様にはバレたと思うけど、見逃してくれたみたい。
私は先程、私たちに絡んできた令嬢を思って、小さく扇の内側で息を吐いた。
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