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新たな舞台へ

魔法・・・教師?

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「失礼します」

 扉に軽いノックの後、王族付きの侍女が入室して来た。

「レティーナ様。魔法学教師のイヴァン様がいらっしゃいました」

「ありがとう。お通しして」

「かしこまりました」

 王族付きの方々は、決して私を蔑んだりしない。

 心の中まで見えるわけではないけれど、それでも表面上だけでも私をファンブルクの王女として、そしてアルフレッド陛下の婚約者として扱ってくれる。

 身分の高い者が、低い者相手に低姿勢なのは正しくない。

 傲慢に振る舞うのと、高潔であるのは別なの。
 だからありがとうは伝えるけど、謙ったりしない。

 私は王族だけど、相手の方には教えを請う身。
 立ち上がって待つ。

 身分が下の者だと頭を下げて待つし、女性ならカーテシーをするのだけど、王族の場合は相手が他国の王族の時くらいね。

 入って来たのは・・・

 白金に近い銀髪に、銀の瞳をした・・・子供?

 私とほとんど変わらない年齢に見える少年は、とても整った容姿をしていた。

 子供の見た目だから、ドレスとカツラを着けたら、ご令嬢と言っても分からないわ。

 アルフレッド陛下もとても容姿の優れた方で美青年だけど、目の前の少年は精巧に作られた人形のよう。

 あまりに綺麗すぎて、血が通ってる気がしないほど。

 レティーナも綺麗な部類だと思ってたし、ラウルお兄様もリリアナ様もお綺麗だった。

 でも、目の前の少年の美しさには敵わないわ。

 神が造ったというのが正しいと思えるほどだもの。

 ハッ!
こんなことを考えている場合ではないわ!
 侍女は魔法学教師の方が見えたと言った。
 つまりは、この少年が教師?

 慌てて、でも慌てたのご分からないように、軽く頭を下げる。

 王族である私が深々と頭を下げるのは、何かを謝罪する時か、アルフレッド陛下のように強者に対してだけ。

 でも、教えを請う側だもの。
礼儀として、礼は尽くすべきだわ。

「ファンブルク王国第一王女、レティーナと申します」

「・・・僕はイヴァン。イヴァン・アストニア。ふーん。なるほど、ね」

「何か?ご教授せんせい

 含みを持したように、私を見るアストニア様に、薄く微笑って尋ねる。

 小首を傾げて可愛いフリなんてしないわ。
 それに、勝手に名前を呼んだりしない。

 このサウスクラウド王国から見れば小国でも、私はファンブルク王国の王女だもの。

 お父様やお母様、それにラウルお兄様とリリアナ様に恥をかかせるような真似はしないわ。

 背を伸ばし、気高くあるように。
それでいて、アストニア様への敬意を示すの。

 年が若いからって見下したりしないわ。
そんなの愚者のすることよ。

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