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やり直しの人生

悪役令嬢ルートを回避したら

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「ふふっ。レティーナ様に絶縁されたら、殿下は絶望で死んでしまいそうですわ」

 楽しそうに笑うリリアナ様だけど、それは確かにあり得そうだけど、そこは支えてあげて下さいな?

 大切にしてくれるのは嬉しいし、私もお父様もお母様もお兄様も大好きだけど、過度な溺愛はちょっと・・・

 今度こそは死ぬつもりはないけど、でも毎回そう思っていたわけで、もし、もしも私が四回目を終えるようなことがあれば、どれだけ家族を悲しませるのか。

 そう思うと、適度な距離感を求めてしまう。

 もちろん、家族を失えば悲しむだろうけど、でももし私がいなくなってもみんなには幸せに生きていって欲しい。

 私を殺した人たちは、それぞれ報いを受けたみたいだけど、残された私を愛してくれた人たちを悲しませたことに変わりはない。

「リリアナ様は・・・お兄様を想ってくださっているのですね」

「最初は、乙女ゲームの攻略対象。私を断罪する人だと警戒していたんです。リリアナ本人の感情では惹かれていましたけど。でも、ご一緒させていただくうちに、ラウル殿下のとてもお優しく誠実で、家族思いなところも王太子殿下として頑張っていらっしゃるところも、尊敬しお慕いするようになりました」

 そう。そうなの。
良かった。ヴァイオレット様がお兄様のことを好きになってくださって。

 ヒロイン?も排除したし、これで悪役令嬢ルートは回避したというところかしら?

 卒業までは、一応警戒しておくべきよね。
 乙女ゲームの強制力とやらが働いたら大変だもの。

「それで、あの、レティーナ様はどうして転生者であることを私に?」

「今回、たまたまお兄様は魅了されず、それゆえにヴァイオレット様がイジメをしているという噂にも惑わされませんでした。でも、卒業までは安心は出来ません。この先、ダウニー様以上の方が現れないとも限りませんし」

「それは・・・そうですわね」

「ですから、転生者として事情を知っている私と、いつでも連絡を取れるようにしておきたかったのです。まぁ、私にできることはそんなにないかもしれませんが、相談に乗るくらいは出来ると思いますし」

 魅了されてしまうと、私にも冷たくなるかもしれないけど・・・
 もしもの時はアルフレッド陛下に相談するという手もあるし。

「ありがとうございます。私もレティーナ様のお力になれるよう努力しますわ。何かあればおっしゃってくださいませ」

「ふふっ。よろしくお願いしますね、未来のお義姉様」

 私とリリアナ様は、ぎゅっと握手を交わした。
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