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やり直しの人生

参加しましょうか

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「そんな!ラウル様・・・いえ、王太子殿下、あんまりです。ディラン様もリュクール様も、私のことを心配して下さっただけなのです。それなのに、何故そんなことをおっしゃるんですか」

 アンジュ・ダウニー様が、ポロポロと涙を流しながら、お兄様に訴える。

 さすがはヒロインだわ。
乙女ゲームの中なら、きっと王太子殿下をはじめとする攻略対象たちはその魅力にメロメロになるでしょうね。

 でも、残念。
お兄様は、シスコンなところが残念な方だけど、婚約者がいながら他のご令嬢に心を揺らすような、尻軽ではないのよ。

 というか、普通はそんな人間、高位貴族にはいないのだけど。

 彼らは侯爵家の嫡男なのに、自分がしていることを理解していないのかしら?

 彼女が優秀な人間なら、侯爵夫人にすることはできる。

 王太子妃にはなれないけれど。
王太子妃になれるのは、他国の王族か、我が国の公爵家侯爵家のみだから。

 お兄様がもし、公爵家以外のご令嬢を娶るなら、王太子の座を私に譲り、その相手の家に婿に入るしかない。

 もちろん、王家から除籍されるわ。
子供ができた時に、王家の血だとか言われたら困るもの。

 でも、公爵令嬢に注意されるようでは、侯爵夫人になるのは無理ね。
 何よりあんなのに侯爵家を継がせるほど、現侯爵は馬鹿じゃないわ。

 もう詰んでいるというのに、いつまでお兄様の手を煩わせるつもりかしら。

 お兄様は「もう出仕しなくていい」とおっしゃったのよ。

 王族が、口に出したことをなかったことにすることはないわ。

 言ってしまった限り、もう決定事項なのよ。
 それなのに、自分が何か言えばこの状態をひっくり返すことが出来ると思ってる?

 ここが乙女ゲームの世界だったなら、それも可能だったかもしれないけど、ここは現実世界よ?

 ラノベのザマァされるヒロインのように、あからさまに馬鹿な言動はしないけど、やっぱりここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っているのかしら?

「陛下。少し失礼しても?」

「どうするんだい?」

「いつまでも煩わされていては、クレスト公爵令嬢様も迷惑でしょう。少し、参戦して参りますわ」

 仲裁なんてしない。
ダウニー様やクレスト様が転生者だとしても、そうでないとしても、私が幸せになるために、邪魔者には退場してもらうわ。

 私の物言いが意外だったのか、アルフレッド陛下は一瞬ポカンとして、その後クスクスと笑い出した。

「陛下?」

「姫君は本当に愛らしい。いいね、参戦。それなら僕もお供しよう」
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