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やり直しの人生

悪役令嬢?とヒロイン?

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「リリアナ様、申し訳ありません。全部全部、私が悪いんです・・・ぐずっ・・・」

 ピンクブロンドの髪をした令嬢が、俯きがちに謝罪している前に、緩やかに波を描く銀髪に、猫目な青い瞳をした令嬢が扇で口元を隠して立っていた。

 あの人がリリアナ・クレスト公爵令嬢ね。
 濃紺のワンピースは、同色のレースが付いているけど、白い襟とくるぶし丈まである長さがとても品がいい。

 そして、後ろ姿だから瞳の色や顔立ちはわからないけど、彼女が噂の男爵令嬢ね。

 なんだかぐずぐずと泣いているけど、言ってることはラノベでよく読んだヒロインとは違うわ。

 ちゃんと謝罪しているみたいだし。
着ているワンピースはパステルピンク色で、大きなリボンまで付いてて、年を疑うけど。

 あれ、恥ずかしくないのかしら?
見た目が十歳の私でも、前世とやり直しの精神年齢があるから、あんなの着れないわ。

 でも、服のセンスはともかく言ってることはマトモなのよね。
 結局、転生者どちらなのかしら?

「悪いと思っているなら、いい加減改めなさい」

 公爵令嬢が、ため息を吐くように言っているのが聞こえる。

 何が原因かはわからないけど、公爵令嬢が男爵令嬢を注意したのだと思う。
 そして、それは今回が初めてのことではないみたい。

 でも、その内容や会話が聞こえない人間からしたら、男爵令嬢が泣いていることで、いじめているように見えなくもない。

 言ってることは正しいと思えるし、別に物言いもキツいとは感じない。

 これは、周囲の誤解というやつかしら?

 離れた位置からその様子を伺っていると、その場にどこからか二人の令息が駆け寄った。

 この場をおさめるために出てきたのかしら。というか、お兄様は?

「クレスト嬢!アンジュをいじめているのかっ!」

「ああっ!アンジュ、そんなに泣いて!かわいそうに、怖かっただろう?」

「ディラン様!リュクール様!私、私・・・」

 ディラン?リュクール?
ああ。ラクドール侯爵家と、ナルシス侯爵家の子息ね。

 ディラン・ラクドール。
剣と義を重んじる侯爵家の嫡男。
 深い紅の髪に、燃えるようなルビーの瞳の、ラウルお兄様の側近候補。

 リュクール・ナルシス。
法と秩序を重んじる侯爵家の嫡男。
 新緑の髪にエメラルドの瞳の、柔らかな物腰をした、これまたラウルお兄様の側近候補。

 単なる脳筋と、ナルシスト野郎じゃないの。
 こんなのが我が国の侯爵家の嫡男?
未来の王太子の側近だなんて、許せるものではないわ。

 だって、彼らが文句を言った相手は、公爵家のご令嬢で、王太子殿下の婚約者。
 身分は彼女の方が上なのよ。

 それに、言葉を濁していじめられたなんて口にはしてないけど、あのアンジュとかいう男爵令嬢、見えないようにだけど口元が笑ってたわ。
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