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やり直しの人生

我儘だとは思うけど

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「駄目だ、レティーナ。もしものことがあったらどうする」

 まぁ、過保護のお兄様たちならそう言うわよね。

 でも、いつまでも王宮の中で守られているわけにはいかないと思う。

 時期が来れば学園にも通わなくてはいけないし、お茶会や夜会にだって出る必要がある。

 記憶喪失のせいで、過保護に拍車がかかってるのはわかっているし、アルフレッド陛下には悪いけど、これは良い機会だと思うの。

「ラウル王太子殿下。愛らしい姫君が大切なのは理解出来るが、束縛し過ぎては姫君の良いところが失われてしまうぞ」

「で、ですがっ、何かあってからでは遅いのです」

「ずっと箱庭の中に隠して、閉じ込めたままにするつもりか?姫君に自由を与えず、望みを叶えず、それでも幸せだと微笑っていろと言うのか?」

「ッ!」

 私は、お父様やお母様、ラウルお兄様が私のことを心配して外に出さないことを理解している。

 五年前の誘拐事件が、家族に大きな傷を残していることをわかっているから、私も散歩すら勝手にできないことに文句を言ったりしなかった。

 でも、今のままでいいとは思っていない。
 単に、どう言えばいいのか、どうすれば家族を傷つけずに納得してもらえるのか、それが分からなくて踏み出せなかっただけなのだ。

 痛みに耐えるような表情のお兄様に、アルフレッド陛下はため息を吐いた。

「なら、俺の全てをもって姫君をお守りすると約束しよう」

「お兄様。私のことを大切に思って下さっていること、本当に嬉しいのです。記憶を失ったせいで、心配をかけてしまって申し訳ないと思います。でも、このままでは駄目なことはお兄様たちもわかっていらっしゃるのでしょう?」

「レティーナ・・・」

 我儘を言っていると思う。
どれだけ家族がレティーナのことを大切に思っているか、それを理解しないほど愚かなつもりはない。

 それでも、我儘を押し通そうと思うのは、学園にいるお兄様の婚約者と、男爵令嬢の存在のせいだ。

 彼女たちが、私が幸せになるはずの人生の『イレギュラー』なのかもしれないから。

 私と同じ、転生者の可能性があるから。

 ごめんなさい、お兄様。
我儘を言ってる自覚はあるの。

 でも、もう私は今の幸せを失いたくない。
 また誰かに殺されて、お父様やお母様、お兄様たちと別れることになりたくない。

 だから、私は私が殺される原因を必ず見つけたいの。
 そして、今度こそ運命に抗ってみせる。

「お兄様、お願い」

「・・・わかったよ。だけど、父上や母上の許可をレティーナが取るんだ。いいね?」

「ええ。お父様たちが許可を下さったら、お兄様ご一緒してくださいね?」

 お母様はともかくお父様、また泣いたりしないかしら?

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