虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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やり直しの人生

会いたかった

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「姫に・・・会いたかった」

 アルフレッド陛下は、私の前に立つと熱い瞳で私を見つめて来た。

 会い・・・たかった?
五年前に会った子供に?

「叔父や顔見知りに命を狙われ、それでも王太子として毅然とあるべきだと思っていた。でも、当時の俺はまだ十三歳のガキで、やっぱりどこか心が折れそうになっていたんだと思う。そんな俺に姫は微笑いかけてくれた」

「それは・・・」

「分かっている。当時五歳だった姫に他意がなかったことくらい。兄であるラウル王太子と同じように、見てくれていたのだろうと思う。だけど、俺は嬉しかった。姫が慕ってくれたことで、俺は生きていても良いんだと思えた。国に戻るときに、大泣きしてくれた姫に、姫が大人になったら迎えに来ると伝えたら、約束だと言ってくれたことが嬉しかったんだ」

 それは多分、一緒に過ごした『お兄ちゃん』に懐いていただけだと思う。

 もしかしたら淡い初恋だったのかもしれないけど、レティーナは当時五歳だったそうだから、アルフレッド陛下の言葉の意味を理解していたわけではないだろう。

「陛下。レティーナは陛下のことも覚えておりません。それどころか、僕たち家族のことも、王女として過ごして来た全てのことを忘れております。ですからッ!」

「あの頃は、兄だと慕ってくれていたのに、他人行儀になってしまったな」

「そ、それは・・・アルフレッド様はすでに即位され国王陛下となられておりますから・・・」

 ラウルお兄様にとっても、アルフレッド陛下は良い『お兄ちゃん』だったのだろう。

 だけど今のアルフレッド様は、王太子殿下ではなく国王陛下。

 しかもサウスクラウド王国は大国だ。
昔のように『兄相手』の態度で接するのは難しいだろう。

 幸いにもアルフレッド陛下は親しく振る舞ってくれているけど、陛下の周囲の方々は良くは思わないだろうから。

「姫君が俺のことを忘れていてもかまわない。ほんの少しでも覚えてくれていたら、程度の覚悟はして来た。だが、姫君ももう十歳だ。そろそろ婚約者の話も出てくるだろう?」

「そ、それは・・・」

 レティーナが倒れたのは、お父様から婚約の話を聞いたときらしいから、実際に婚約者の話はあったのだろう。

 そういえば、私が倒れたからその話は流れたのかしら?

 あれ以来、全然お父様たちも何も言わないけど。

 この様子だと、アルフレッド陛下との婚約の話で倒れたのではなさそう。

 私は王女だけど、ラウルお兄様が結婚して次代の王太子が生まれるまでは、王位継承権は持ったままになる。

 あら?そういえば、ラウルお兄様には婚約者はいるのかしら?





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