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三度目の人生

公爵家の宝玉

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 今回のレティーナの身分は、公爵令嬢だった。

 ロッテンマイヤー公爵家の宝玉と呼ばれ、両親にも使用人にも愛されている。

 年齢は十五歳。
容姿端麗、成績優秀で、この国の王太子殿下と婚約している。

 父親は、マーク・ロッテンマイヤー公爵。
 金髪碧眼の美丈夫で、宰相をしているそうだ。

 母親は、サーシャ・ロッテンマイヤー公爵夫人。
 銀髪に碧眼の美女だ。

 この世界では、高位貴族は学園に通うことはないらしい。

 というのも、高位貴族はその身分に相応しい教育を各戸に学ぶ必要があって、今回のレティーナの場合は、公爵令嬢としての教育と、王太子妃教育が、それにあたる。

 前回は学校に通えなかったから、少し楽しみにしていたんだけど、残念。

 レティーナは、王太子妃教育のために毎日王宮に通っていて、どうやら王宮から戻った途端に倒れたみたいだ。

 えーと。
倒れるほどのスパルタとかじゃないよね?

「お嬢様。紅茶をお入れしますね」

 私付きの侍女、名をマリーという、が紅茶を入れてくれる。

 紅茶を飲むのなんて、久しぶりだわ。
前回は嗜好品なんて与えられなかったもの。

「ありがとう、マリー」

「お嬢様、本当に何も覚えていらっしゃらないのですか?」

「・・・ごめんなさいね?苦労をかけて。思い出せば良いんだけど」

「いいえ。いいえ!お嬢様がお目覚めになられただけで十分です。以前のお嬢様のお好みのものを準備させていただきますが、好みが変わることもあるでしょう。何でもおっしゃって下さい」

 思い出すことは無理だけど、こんな風に気遣ってくれるなんて、本当に嬉しい。

 私、今度こそ幸せなのかもしれないわ。

「レティーナちゃん、少しいいかしら?」

「お母様。もちろんです」

 マリーの淹れてくれた紅茶を楽しんでいると、お母様が私の部屋を訪れた。

 ちなみにお父様は、お仕事で王宮に行かれている。

「顔色、良くなったわね。体調はどうかしら?」

「はい。記憶は戻っていませんけど、体調は戻ったと思いますわ」

「そう。本当に良かったわ。記憶のことは、ゆっくりと考えましょう。戻らなくても、これからたくさん思い出を作れば良いのだから、気に病まないようにね」

「はい、ありがとうございます、お母様」

 ごめんなさい、お母様。
記憶が戻ることは絶対にないけれど、これからお父様やお母様を悲しませないように振る舞うわ。

「でも、どうしましょうか」

「どうかされたんですか?お母様」

「王妃殿下から、体調が戻ったら王太子妃教育に出向くようにと連絡があったのよ」

 王太子妃教育!
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