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両親の思い?
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ヴィクターの両親、つまり元国王夫妻はヴィクターと共に毒杯を賜るつもりだった。
自分たちの退職金はラティエラへの謝罪として差し出すつもりだったのだ。
だが、それに待ったをかけたのが当のラティエラである。
一番の被害者が、個人の資産を出してまで『生かせ』というならば、それに従わなければならない。
人ひとり殺しておいて何人もの人生を狂わせたのに、死に逃げるのは狡いということか。
「父上と僕は、伯父上と伯母上には生きていて欲しいのです。ヴィクターにも思うことがないわけではありません。ですが、ヴィクターには王族として処分を受けてもらわなければ、周囲に示しがつきません。伯父上たちに辛い決断をさせたとは思いますが」
「いや、ギルバート。お前とお前の両親には、面倒な役割を押し付けた。私たちがもっと厳しく教育していたら、少なくともあそこまで言葉が通じないことはなかったかもしれない。すまんな。不甲斐ない伯父を許してくれ」
「伯父上・・・大丈夫です。父も母も、それから僕もラティエラも、この国を必ず守って行きますから」
甥のしっかりとした言葉に、元国王は安心したように頷いた。
最初から・・・
弟シリウスに王太子の座を譲っておけば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
「それでは、そろそろ行くとするか」
「・・・伯父上。もうお会いすることはないかもしれませんが、どうかご健勝で」
「ああ。ギルバートもな」
そうして、元国王とその妻、そしてヴィクターは、元ヴィクターの付き人と共に王宮を去って行った。
これから向かう西の離宮で、ラティエラが雇った使用人数人の手を借りながら暮らすことになる。
元国王たちの退職金では、彼ら二人が慎ましく暮らすことしかできないからだ。
これから、ラティエラの赦しを得る日まで、ヴィクターは生きていかなければならない。
話すことも動くことも、何ひとつ自由にならない体で。
「これで・・・良かったの?」
ギルバートが伯父が去った扉に視線を向けたまま呟くと、隣の部屋の扉がゆっくりと開いた。
そこから現れたのは、紫色の髪をハーフアップにし、淡い水色のドレス姿のラティエラだ。
彼女は、新しい婚約者であるギルバートににっこりと微笑んだ。
「ええ。やむ得ませんもの。殿下・・・いえヴィクター様にこれ以上勝手気ままに行動されては、他の方々に示しがつきません。それに、あの方に危害が及んでは困りますもの。致し方ありませんわ」
自分たちの退職金はラティエラへの謝罪として差し出すつもりだったのだ。
だが、それに待ったをかけたのが当のラティエラである。
一番の被害者が、個人の資産を出してまで『生かせ』というならば、それに従わなければならない。
人ひとり殺しておいて何人もの人生を狂わせたのに、死に逃げるのは狡いということか。
「父上と僕は、伯父上と伯母上には生きていて欲しいのです。ヴィクターにも思うことがないわけではありません。ですが、ヴィクターには王族として処分を受けてもらわなければ、周囲に示しがつきません。伯父上たちに辛い決断をさせたとは思いますが」
「いや、ギルバート。お前とお前の両親には、面倒な役割を押し付けた。私たちがもっと厳しく教育していたら、少なくともあそこまで言葉が通じないことはなかったかもしれない。すまんな。不甲斐ない伯父を許してくれ」
「伯父上・・・大丈夫です。父も母も、それから僕もラティエラも、この国を必ず守って行きますから」
甥のしっかりとした言葉に、元国王は安心したように頷いた。
最初から・・・
弟シリウスに王太子の座を譲っておけば、こんなことにはならなかったのかもしれない。
「それでは、そろそろ行くとするか」
「・・・伯父上。もうお会いすることはないかもしれませんが、どうかご健勝で」
「ああ。ギルバートもな」
そうして、元国王とその妻、そしてヴィクターは、元ヴィクターの付き人と共に王宮を去って行った。
これから向かう西の離宮で、ラティエラが雇った使用人数人の手を借りながら暮らすことになる。
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これから、ラティエラの赦しを得る日まで、ヴィクターは生きていかなければならない。
話すことも動くことも、何ひとつ自由にならない体で。
「これで・・・良かったの?」
ギルバートが伯父が去った扉に視線を向けたまま呟くと、隣の部屋の扉がゆっくりと開いた。
そこから現れたのは、紫色の髪をハーフアップにし、淡い水色のドレス姿のラティエラだ。
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「ええ。やむ得ませんもの。殿下・・・いえヴィクター様にこれ以上勝手気ままに行動されては、他の方々に示しがつきません。それに、あの方に危害が及んでは困りますもの。致し方ありませんわ」
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