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王太子になれるのは?
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ジョンブリアン王国の国王夫妻は、頭を抱えた。
まさか、息子があそこまで愚かだとは思いもしなかったのだ。
ヴィクターの愚行は、年齢の近いご令嬢たちに周知され、公爵家侯爵家のご令嬢で婚約者のいないのは、最高齢で五歳。
いくらなんでも、十六歳のヴィクターの婚約者には出来ない。
ギリギリ伯爵家にいないかと検討を始めたら、婚約者候補に上がったら、修道院に行かせるとまで言われた。
なんの罪もないご令嬢を、ヴィクターの婚約者になるのが嫌だからといって修道院に行かせるわけにはいかない。
ヴィクターが自分の愚かさに気付いて、ウィスタリア公爵家に頭を下げれば、と思ったが、全くもって気付く様子がない。
ヴィクターは、確かに国王夫妻にとって遅くに生まれた子供で、唯一の嫡子。
可愛がり甘やかしもしたが、学園に入るまでは普通だったのだ。
特別優秀で、ヴィクター以外に王太子は考えられない、というほどではなかったが、ちゃんと常識はあったし、婚約者のラティエラとも上手くやっていた。
ラティエラが優秀ということもあって、卑屈になるかと思いきや、それこそラティエラの掌の上で上手く転がされて、良い国王夫妻になれると思えていたのだ。
それが、恋をしたからといってあそこまでおかしくなるとは。
別の何かに取り憑かれた、と言われた方が納得できるほどだ。
だが、いつまでもショックを引きずっているわけにはいかない。
学園を卒業するときには、婚約者と婚姻し、正式に王太子夫妻として公務を始めなければならないのだ。
ラティエラは、ヴィクターの婚約者の座からおりた。
ヴィクターの望む、リリー・マゼンダ男爵令嬢を王太子の婚約者には出来ない。
成績も悪くはないが、上位というわけではないし、マゼンダ男爵家は力のある貴族ではない。
実家の力もなく、本人の資質も普通。
とてもではないが、ヴィクターの婚約者にしたら彼女は潰れてしまうだろう。
そもそも、ヴィクターが追いかけ回しているのであって、当のご令嬢は迷惑していると聞く。
あまりに付き纏われるので、授業は五分早めに退出し、食事も教師の個室を借りているとか。
せめて、お互いが想いあっているというのならともかく、ヴィクターの独りよがりで男爵令嬢に迷惑をかけているとは、情けないことこの上ない。
マゼンダ男爵家には、王家から詫びを入れなければならないだろう。
「仕方ない。ヴァイオレット、そなたには何の咎もないが、王妃として共に責を負って欲しい」
「もちろんですわ、陛下。わたくしは常に貴方と共に」
「ありがとう」
まさか、息子があそこまで愚かだとは思いもしなかったのだ。
ヴィクターの愚行は、年齢の近いご令嬢たちに周知され、公爵家侯爵家のご令嬢で婚約者のいないのは、最高齢で五歳。
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ギリギリ伯爵家にいないかと検討を始めたら、婚約者候補に上がったら、修道院に行かせるとまで言われた。
なんの罪もないご令嬢を、ヴィクターの婚約者になるのが嫌だからといって修道院に行かせるわけにはいかない。
ヴィクターが自分の愚かさに気付いて、ウィスタリア公爵家に頭を下げれば、と思ったが、全くもって気付く様子がない。
ヴィクターは、確かに国王夫妻にとって遅くに生まれた子供で、唯一の嫡子。
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特別優秀で、ヴィクター以外に王太子は考えられない、というほどではなかったが、ちゃんと常識はあったし、婚約者のラティエラとも上手くやっていた。
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それが、恋をしたからといってあそこまでおかしくなるとは。
別の何かに取り憑かれた、と言われた方が納得できるほどだ。
だが、いつまでもショックを引きずっているわけにはいかない。
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せめて、お互いが想いあっているというのならともかく、ヴィクターの独りよがりで男爵令嬢に迷惑をかけているとは、情けないことこの上ない。
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「仕方ない。ヴァイオレット、そなたには何の咎もないが、王妃として共に責を負って欲しい」
「もちろんですわ、陛下。わたくしは常に貴方と共に」
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