その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな

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「フゴッ、フゴゴッ」

 魔法を放たれたらめんどくさいから、猿轡を噛ませたので何を言ってるのかは想像になるけど、多分・・・

「何故、魔族が聖魔法を使えるのか、ですか?」

 男がクワッと目を見開く。
うーん、目は口ほどに物を言うって本当だなぁ。

「理由は簡単。あなたが言ったんじゃないですか。私を紛いものだって」

 男が言った通り、私は魔族と人間のハーフだから、人間の使う魔法も使える。

 私にはアゼリアの魔力もあるらしいから、その関係かもしれないけど。

 そこまで説明してやる義理はない。

「さて、我が国に来た理由を聞かなきゃね。ザギ、魔封じの魔道具を取ってきてくれる?」

「オッケー」

 転移で姿を消したザギは、数分後にすぐに戻って来た。

 研究者肌のザギは、何故か魔封じの魔道具を発明していた。

 うん。意味がわからない。
魔族が魔封じの魔道具を作ってどうするの?

 でもそれが今回役に立つわけだから、意味のあることだったということだろう。

 でもザギってば、誰の魔法を封じたかったのかしら?

 男の首に魔封じの首輪を付けて、口の中に詰めた布を取ってもらう。

「じゃあ、何故我が国にやって来たのか、理由を聞かせてもらいましょうか」

「馬鹿にするなっ!我らはそんな脅しになど屈しない!」

 うーん。別に脅してはいないんだけど、えらく芝居かかった人だなぁ。

「まぁ、話したくないと言うなら別にいいですけど」

「姫様、姫様!コイツって、変態なの?そういう趣味なの?それともただの馬鹿なの?」

 目をキラキラさせて、ザギが聞いてくる。

 言いたいことも、気持ちもわかるけど、表情と一致してない。

 私はため息を吐いて頭を振った。

「単に知らないだけでしょ。メフィストの宰相としての顔しか知らないだけだと思うわ」

「そっかぁ。私はまた拷問とか大好きなのかと思っちゃったぁ」

「アマリア。そんな人いないから。二人とも、全員地下牢に放り込んでおいて。あとは、メフィストが戻ったら任せる」

「了解。メフィスト、何人か実験用にくれるかなぁ」

 ザギが全員を縄でまとめながら、ブツブツと呟いている。

 あら?首を縄で縛るのね。
なるほど。歩かないと首が締まる、と。

 転移で放り込むのかと思ってたわ。

「戻ったら、頼んでみたら?それか、ザギが聞き出す?私はどっちでも良いよ?」

「僕、メフィストみたいにSじゃないからなぁ」

「失礼ですね。マッドサイエンティストに言われたくありません」

「げ」

 ザギが顔をひきつらせて、捕虜全員と共に転移で消えた。

「あ。逃げた」

「全く。シアン様、お手を煩わせたようで申し訳ありません」

「ううん?全然」

「シアン」

 ヒョイと後ろから抱き上げられる。
 そのまま振り返って、首に抱きついた。

「パパ、おかえりなさい」
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