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不死鳥の姉妹
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不死鳥の血脈を持つターナとニーナ姉妹。
私が二人に会ったのは、魔力測定の後から行われるようになった魔法訓練の時だった。
不死鳥の血を引く彼女たちは、基本的に普通の攻撃では死なない。
頭の中にある核、人間で言うところの心臓か脳だろうか、を潰されないと死なないらしい。
潰されたことがないからわからないと、ターナニーナは笑っていた。
そりゃそうだ。
ただ心臓は胴体にないらしいから、人間とは体の作りが違うのだろう。
アゼリアだった頃に、本で読んだ不死鳥の伝承と違いすぎて驚いた。
不死鳥は寿命がくると自ら火口に飛び込んで、数百年後に再び復活する、とか書いてたのに。
そう言ったら、昔はそうだったのかもぉ、とか言ってた。
他の種族と血が混じったことで、色々と変わったらしい。
なんにしろ、見た目が私と変わらない年齢の(実際はアマリアと変わらないらしい)二人だけど、中々の実力者だ。
見た目そっくりの二人は、双子ならではの絶妙な連携で攻撃や防御をする。
火系の魔法が得意で、おまけにターナは剣、ニーナは弓が得意で魔法と組み合わせて使ってくる。
訓練を兼ねて何度か手合わせしたから、多分囮には彼女たちを使うんだろうなとすぐに分かった。
彼女たちが王子たちの身代わりを務めるに必要なもの、それはその姿を王子だと思わせることだ。
そこはザギの発明品の出番で、ブレスレットを付け、そのブレスレットに対象の血を一滴垂らすと、その姿になるという。
魔族の中には、姿変えの魔法を使える魔族もいるらしいんだけど、今回は襲撃を受けるだろうことを考慮して姉妹にお願いすることになった。
「ターナ、ニーナ、お願いね」
「もちろんなのです」
「お役に立つです」
「え、あ、あの、まさかその方々を囮にとか・・・まさかですよね」
リフト王子が戸惑ったように、声をかけてくる。
「ターナが囮なのです」
「ニーナが囮なのです」
双子はターナが右手、ニーナが左手を挙げて、にこやかに宣言する。
「ちょ、ちょっと待ってください!いくらなんでもそんな幼い女性を囮になんて・・・」
「あの、我々は魔族ですよ?」
根本的なことを忘れてない?
魔法の扱いにも慣れてるし、そもそも見た目通りの年齢ですらない。
「それにターナもニーナも、魔法を使わなくても人間に負けたりしません。ね?」
「もちろんなのです」
「当然なのです」
「すみませんが、リフト殿下とセント殿下、この針で血を一滴もらえますか?それぞれターナとニーナのブレスレットに血を垂らして下さい」
二人はまだ何か言いたそうだったけど、いつまでも付き合ってはいられない。
二人はプツリと針で指を刺し、その血をリフト王子がターナに、セント王子がニーナのブレスレットに血を付けた。
私が二人に会ったのは、魔力測定の後から行われるようになった魔法訓練の時だった。
不死鳥の血を引く彼女たちは、基本的に普通の攻撃では死なない。
頭の中にある核、人間で言うところの心臓か脳だろうか、を潰されないと死なないらしい。
潰されたことがないからわからないと、ターナニーナは笑っていた。
そりゃそうだ。
ただ心臓は胴体にないらしいから、人間とは体の作りが違うのだろう。
アゼリアだった頃に、本で読んだ不死鳥の伝承と違いすぎて驚いた。
不死鳥は寿命がくると自ら火口に飛び込んで、数百年後に再び復活する、とか書いてたのに。
そう言ったら、昔はそうだったのかもぉ、とか言ってた。
他の種族と血が混じったことで、色々と変わったらしい。
なんにしろ、見た目が私と変わらない年齢の(実際はアマリアと変わらないらしい)二人だけど、中々の実力者だ。
見た目そっくりの二人は、双子ならではの絶妙な連携で攻撃や防御をする。
火系の魔法が得意で、おまけにターナは剣、ニーナは弓が得意で魔法と組み合わせて使ってくる。
訓練を兼ねて何度か手合わせしたから、多分囮には彼女たちを使うんだろうなとすぐに分かった。
彼女たちが王子たちの身代わりを務めるに必要なもの、それはその姿を王子だと思わせることだ。
そこはザギの発明品の出番で、ブレスレットを付け、そのブレスレットに対象の血を一滴垂らすと、その姿になるという。
魔族の中には、姿変えの魔法を使える魔族もいるらしいんだけど、今回は襲撃を受けるだろうことを考慮して姉妹にお願いすることになった。
「ターナ、ニーナ、お願いね」
「もちろんなのです」
「お役に立つです」
「え、あ、あの、まさかその方々を囮にとか・・・まさかですよね」
リフト王子が戸惑ったように、声をかけてくる。
「ターナが囮なのです」
「ニーナが囮なのです」
双子はターナが右手、ニーナが左手を挙げて、にこやかに宣言する。
「ちょ、ちょっと待ってください!いくらなんでもそんな幼い女性を囮になんて・・・」
「あの、我々は魔族ですよ?」
根本的なことを忘れてない?
魔法の扱いにも慣れてるし、そもそも見た目通りの年齢ですらない。
「それにターナもニーナも、魔法を使わなくても人間に負けたりしません。ね?」
「もちろんなのです」
「当然なのです」
「すみませんが、リフト殿下とセント殿下、この針で血を一滴もらえますか?それぞれターナとニーナのブレスレットに血を垂らして下さい」
二人はまだ何か言いたそうだったけど、いつまでも付き合ってはいられない。
二人はプツリと針で指を刺し、その血をリフト王子がターナに、セント王子がニーナのブレスレットに血を付けた。
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