その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな

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戦略の勉強

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 約束通り、メフィストは五分後に連絡して来た。

 というか、やって来た。あれ?パパの補佐は?

「メフィスト、パパは?」

「現在、会談は休憩中です。さすがに陛下がいなくなると目立ちますので」

「ふぅん。あ、こちらがアザレア王国の第一王子リフト殿下と、第二王子のセント殿下」

「ジェンティアナ王国宰相メフィストと申します」

 今日のメフィストは、普段隠していない山羊のツノを隠し、普通の人間に見える。

 普通・・・ではないかも。
整った容姿は人間の前では際立っていた。

 禁欲的な、軍服に似た正装は、濃紺の服の肩に金色の房が付き、紋章がいくつも並んでいた。

 これは人間の会談に出てるパパは、悪目立ちしてるんじゃないの?

 ザギも美形だし、アマリアも可愛い。

 魔族は、魔力の強いものほど容姿が優れている傾向がある。

 その中でもパパとメフィストは別格だった。

「メフィスト。作戦は?」

「こちらから手を出せないということは、先に向こうに出させればいいのです」

「でも、それじゃあ怪我する人が出ちゃう」

「シアン様。よく考えてみましょう」

 メフィストは、私の教育係で教師でもある。

 魔力の鑑定が終わってから、戦略の勉強も始まった。

 といっても私が戦うことはないと思うけど。知識は必要だ。
 魔王の座をいずれ継ぐのなら。

「んーと、こちらからでなく向こうから手を出させる。つまりは、囮を出す?」

「正解です。それで囮は?」

「アザレア王国の・・・王族がベストかしら。できるなら後継が良いわよね、国王に脅すのなら」

 私の言葉に、リフト王子とセント王子が目を見開く。

「そんなっ!兄上を囮などっ」

「いや、囮にするなら二人ともですよ。片方が残れば囮の価値が下がります。どれだけ可愛い息子でも、国のためなら切り捨てる覚悟を持つ、それが国主ですから」

「・・・それがアザレア王国のためになるのなら、僕はかまいません。ですが弟は・・・」

「兄さんっ!兄上が囮になるのなら俺も行きます!」

 なんだか兄弟で盛り上がってるけど・・・

「お二人を囮にはしませんよ?」

「「は?」」

「いくらなんでも、そんなことをしたら寝覚めが悪いじゃないですか。メフィスト。囮はターナ姉妹、というところ?」

 メフィストの満足そうな様子に、自分の考えが正しかったと理解する。

 どうやら、合格点な答えだったようだ。

 ターナとニーナ姉妹は双子の魔族だ。

 赤みを帯びたオレンジ色の髪と真っ赤な瞳をした双子は、不死鳥の血脈だった。


 
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