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魔法を欲する理由

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「兄上を責めるなっ!兄上は国の、民のためにっ!」

「やめるんだ!セント」

 私はコテンと首を傾げる。
何を言ってるのかな?

 振り返って、ザギとアマリアに尋ねる。

「私、責めてた?」

「いや。普通に聞いてただけだね」

「お兄ちゃん好き好きなのは良いけど、被害妄想はほどほどにしないと」

 だよねぇ。
アレで責めてることになるなら、私なんて責められまくりだよ。

「説明してくれなきゃ、力になろうと思っても力になれないでしょ?別に余計なお世話だっていうのならそれはそれでかまわない」

「シアン嬢、申し訳なかった。実は・・・」

 その後リフト王子が語ったのは、この見合いの目的と思われることだった。

 隣国オーギュスト王国が、アザレア王国に攻め入ろうとしていること。

 魔法の使えないアザレア王国は、攻めいられたら勝ち目がないこと。

 だから、魔国であるジェンティアナ王国と縁を結べたらと思ったこと。

 納得したわ。
この部屋に魔法を封じる装置を設置したのは、私を人質にすることでパパに協力を強要するつもりだったのね。

 その選択は正しくはないけど、国交していないジェンティアナ王国の対応が分からなかったんでしょうね。

 んー。普通にお願いしたら、パパは願いをきいたと思うな。

 ママとのことで、アザレア王国に負い目を感じているはずだもの。

 ただ・・・
メフィストは利益がないと頷かないかも。

「いつ攻め入ってくるのですか?」

「警告状では十日後です。滅ぼされたくなければ、降伏しろと」

「はぁ。ザギ、パパに連絡取って。パパとメフィストに許可を取りたい」

 こうなると、あの発明品が役に立つわ。

 ザギは配下とは念話できるらしいけど、私はできないもの。

『シアン?どうした?』

「んーとね、かくかくしかじかでね。面倒だから、その攻めてきたオーギュスト王国の兵を倒しちゃっても良い?」

『・・・シアン姫様、おやめください。先にこちらが手を出すと問題になります。五分ほどお待ちください。策を考えます』

「分かった。あ。見合いはそのことをためだったみたいだから、パパ安心してね」

 どうやらメフィストが、策略を練ってくれるらしい。

 うん。多分えげつないのができると思う。

 確かにこっちから手を出せば、オーギュスト王国を全滅させても他国の目は厳しくなるよね。

魔国うちの宰相が、策を考えてくれるらしいので、少し待って下さい。あ、証拠としてその警告状をもらえますか?殿下たちを疑うわけじゃないですけど、うちを利用しようとする国もありますから」

 世の中、善人ばかりじゃない。
むしろ、王太子ですら自分の欲のためにアゼリアを殺したくらいだもの。
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