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対面

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「改めて、初めまして。アザレア王国第一王子のリフトです。セント、ほらご挨拶は?」

 疑問である。
何故、見合いである場に当人のセント王子はともかく、リフト王子までいるのだろう。

 扉がノックされて、見張りだか騎士だかが扉を開けた時、こうワッ!と騎士がなだれ込んできて私たちを制圧しようとするものだと思ってた。

 のに、やって来たのは王子二人。

 しかもニコニコしているリフト王子が常に仕切っていて、セント王子はブスッとしたまま、それでも悪言も吐かずに黙って座っている。

 本当に、お兄さんには頭が上がらないのね。

 一緒に来た騎士たちは、戸惑ったように顔を見合わせて、その後部屋を後にした。

 多分、私たちを制圧するつもりだったんだろうけど、王子二人が部屋に居座ったものだから、どうしたらいいか分からなくて一旦引いたのだと思う。

 国王陛下にどうしたらいいか聞きに行ったのかも。

 あの国王が息子たちをどう思っているのかは知らないけど、騎士たちがまだ子供の二人に大人の醜いところを見せるのを躊躇うというのも分からないでもない、かな。

「それで、シアン嬢はどんな魔法が使えるんですか?アザレアうちの国には魔法使いはいなくて・・・でも、隣のオーギュスト王国の王族は強い魔法を使えるんだそうです」

「殿下は魔法を使いたいのですか?」

「はい。人を傷つける魔法を使いたいわけではありませんが、魔法が使えれば民を・・・国を守れると思うので」

 穏やかに、少し気恥ずかしそうにそう言ったリフト王子の隣で、セント王子が声を上げた。

「兄さ・・・兄上は立派な方なんだっ!常に国や民のことを考えていて、そのためにありとあらゆる手段を試そうとされているんだ!」

「・・・殿下はお兄様のことを尊敬されているのですね」

「・・・ッ!とっ、当然だっ!兄上は素晴らしい方なんだ!」

 そう言って、まるで自分のことのように胸を張るセント王子に、心がほっこりする気がした。

 上から目線で偉そうで、嫌な奴だと思ってた。

 でもお兄さんのことをすごく尊敬してて・・・

 家族を大切に思う人には好感が持てる。
 私もパパのことが大好きだし、大切だから。

「私は色々と使えますけど、まだ魔法は勉強を始めたばかりなんです。私たちも種族によって得意な魔法というのは異なるので、人と同じく学んで身につけていくんですよ」

「生まれた時から使えるというわけではないんですね」

「生まれた時は、みなさんと変わりませんよ。泣いて食べて眠って。魔力はありますけど、人が剣や魔法を学ぶのと同じで、学んで制御も覚えるんです」

 寿命も魔力量も違うけど、その程度の差しかないと思う。

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