その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな

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成長

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 私の身に起きたのは、魔力暴走だった。

 あの後半日眠り続けた私が目覚めると、パパが死にそうな顔をして私の手を握っていた。

「パパ」

「ッ!シアン、目が覚めたのか」

「ごめんね、心配させて」

「親が子供の心配をするのは当たり前だ。どこか痛かったりしないか?苦しいところは?」

 ベッドから起き上がって、パパに抱きつく。

「大丈夫」

 私の体は、七歳という年齢に相応しい大きさに成長していた。

 眠っている間、夢の中であの溢れ出た魔力のが教えてくれた。

 シアンの中には、シアン自身の魔力の他にの魔力がある、と。

 どちらもあまりに大きな魔力のために、シアンの負担を防ぐために魔力はアゼリアの魔力によって抑えられていたのだ、と。

 だから体の成長が他よりも遅い状態だったのだ、と。

 それがあの魔力測定で、溢れ出た。

 シアンの中にある魔力たちは、自分たちがいなくなるのを寂しいと感じたシアンを行使者として望み、またアゼリアの魔力がシアンの中に戻ることを助けたことで、あの魔力暴走は治まったのだ。

「シアン、無事で良かった・・・」

 パパがホッとしたように、私をギュッと抱きしめた時、短いノックの後すぐに扉が開いた。

「陛下、姫様は・・・あーっ!姫様、目覚めてるっ!」

「本当だ!姫様、大丈夫?」

「姫様、良かった。お目覚めになって」

「あなた方、やかましいですよ。しかし、シアン様、お目覚めになって良かった。皆、心配していたのです」

 賑やかに入ってきたのは、アマリアにザギ、ナーガにメフィストだった。

 その後をミィを抱いたラグムが、泣いてしまったフラウの頭をポンポンと撫でている。

「みんな、心配かけてごめんね。フラウ、私は大丈夫だよ、だから泣かないで?ミィ、おいで」

「にゃー」

 ラグムの腕からぴょんと、私の元に飛び込んで来るミィを抱き止める。

「しかし・・・姫様、そのお姿は」

「魔力が馴染んだから、普通に成長できたみたい。大丈夫、もうあんなふうにはならないから。あ、ザギ。部下さんは大丈夫?」

「あ、うん。平気だよ。アイツはああいうことに慣れてるからね。さすがに姫様の魔力の威力にはびっくりしてたけど、いい経験ができたって喜んでたよ」

「そうなの?なら、良かった」

 迷惑かけたなぁ、って思ってたけど、さすがザギの部下さん。
 研究とか大好きなとこ、ザギによく似てるんだね。

「ドレスとか急いで仕立てないといけないわね」

「そうですね。フラウ、すぐに手配を」

「かしこまりました」

 フラウが涙を拭いて、急いで立ち去って行く。

 確かに五歳の服じゃ、丈がミニサイズになっちゃうもんね。
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