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魔王の娘
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*サブタイトル変更しました*
「魔力を流します。大丈夫なはずですが、もし気持ち悪かったり、異変を感じたらすぐに言ってください」
ザギの部下さんの言葉に、コクリと頷く。
部下さんは、少し緊張している様子だった。
まぁ、無理はないと思う。
魔王であるパパに、メフィスト。アマリアにラグムとナーガ。そしてザギ。
魔国の幹部全員が、凝視してるんだもの。
実は私もちょっと緊張している。
魔力はあると思うんだけど、ものすごく少なかったり、パパの魔法を継いでなかったりしたらどうしよう。
「で、では、始めます」
「お願いします」
体の中に、温かいモノが流れ込んでくるのが分かる。
これがこの人の魔力なのか。
人の魔力って、温かいんだ。
「気持ち悪くはないですか?」
「平気です」
「ええと・・・あれ?うん?いや、これは・・・」
なんだかひとりでブツブツと言い始めた。
どうしたんだろ?何か問題があったのかな?
「陛下、宰相閣下。姫様のお手をそれぞれ左右で握って下さい。それから、魔力防御がいつでも展開できるように」
「「あ、ああ」」
「ザギ様。魔道具で、我々を結界で覆って下さい」
「・・・分かった」
え?何?なんなの?
繰り広げられる会話に、私が部下さんから手を離そうとすると、ぎゅっと強く握られた。
その手の上から、パパとメフィストがそれぞれ手を重ねる。
「姫様。姫様はご自分に魔力があることは理解されていますね?」
「え、あ、うん。なんとなくだけど」
「ご自分の中にある・・・いえ、姫様の中に鍵のかかった箱があります。イメージしてみてください」
「鍵のかかった箱?宝箱みたいなもの?」
私がそう言うと、部下さんは頷いた。
「そうです。目をつぶって、その宝箱の鍵を外して箱を開けるのをイメージしてくれますか?」
「え?うん、わかった」
目をつぶった私は、部下さんとパパたちが頷き合ったことに気付かなかった。
私から色とりどりの魔力の炎が上がり、渦を巻いていたことも。
パパとメフィスト、ザギの魔道具が結界を張り、その結界に当たった私の魔力が雷撃のように光を放つ。
龍が暴れるような様子に、アマリアやナーガが驚いていたことも、パパたちが結界を維持するのに苦労していたことも、私は気付かなかった。
心地よい慣れ親しんだ魔力に身を委ねた私は、そのまま意識を手放しそうになる。
「駄目です、姫様!箱の中に戻して蓋を閉めて下さいっ!」
でも、みんなお外が気持ちいいって言ってるの。
「シアン!首輪をしないと戻ってきてくれなくなるぞ。ミィも首輪をしてるだろう?シアンのだって、わからなくなるんだ」
え?それはやだな。
みんなもそう思ってくれたのか私の中に戻ってくれる。
そこで、意識が途切れた。
「魔力を流します。大丈夫なはずですが、もし気持ち悪かったり、異変を感じたらすぐに言ってください」
ザギの部下さんの言葉に、コクリと頷く。
部下さんは、少し緊張している様子だった。
まぁ、無理はないと思う。
魔王であるパパに、メフィスト。アマリアにラグムとナーガ。そしてザギ。
魔国の幹部全員が、凝視してるんだもの。
実は私もちょっと緊張している。
魔力はあると思うんだけど、ものすごく少なかったり、パパの魔法を継いでなかったりしたらどうしよう。
「で、では、始めます」
「お願いします」
体の中に、温かいモノが流れ込んでくるのが分かる。
これがこの人の魔力なのか。
人の魔力って、温かいんだ。
「気持ち悪くはないですか?」
「平気です」
「ええと・・・あれ?うん?いや、これは・・・」
なんだかひとりでブツブツと言い始めた。
どうしたんだろ?何か問題があったのかな?
「陛下、宰相閣下。姫様のお手をそれぞれ左右で握って下さい。それから、魔力防御がいつでも展開できるように」
「「あ、ああ」」
「ザギ様。魔道具で、我々を結界で覆って下さい」
「・・・分かった」
え?何?なんなの?
繰り広げられる会話に、私が部下さんから手を離そうとすると、ぎゅっと強く握られた。
その手の上から、パパとメフィストがそれぞれ手を重ねる。
「姫様。姫様はご自分に魔力があることは理解されていますね?」
「え、あ、うん。なんとなくだけど」
「ご自分の中にある・・・いえ、姫様の中に鍵のかかった箱があります。イメージしてみてください」
「鍵のかかった箱?宝箱みたいなもの?」
私がそう言うと、部下さんは頷いた。
「そうです。目をつぶって、その宝箱の鍵を外して箱を開けるのをイメージしてくれますか?」
「え?うん、わかった」
目をつぶった私は、部下さんとパパたちが頷き合ったことに気付かなかった。
私から色とりどりの魔力の炎が上がり、渦を巻いていたことも。
パパとメフィスト、ザギの魔道具が結界を張り、その結界に当たった私の魔力が雷撃のように光を放つ。
龍が暴れるような様子に、アマリアやナーガが驚いていたことも、パパたちが結界を維持するのに苦労していたことも、私は気付かなかった。
心地よい慣れ親しんだ魔力に身を委ねた私は、そのまま意識を手放しそうになる。
「駄目です、姫様!箱の中に戻して蓋を閉めて下さいっ!」
でも、みんなお外が気持ちいいって言ってるの。
「シアン!首輪をしないと戻ってきてくれなくなるぞ。ミィも首輪をしてるだろう?シアンのだって、わからなくなるんだ」
え?それはやだな。
みんなもそう思ってくれたのか私の中に戻ってくれる。
そこで、意識が途切れた。
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