その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな

文字の大きさ
上 下
21 / 55

え?やめてください

しおりを挟む
「メフィストが・・・母親?」

 目を見開いたメフィストの横で、パパ魔王様が土下座の姿勢からあげた顔を引き攣らせている。

 え?そんな嫌な顔をしなくても。

「やめてください。こんな手間のかかる旦那など要りません」

「ちょっと待て、メフィスト。不敬だろうが」

「不敬かもしれませんが、嫌なものは嫌です。事実は曲げられません」

「いや、俺だってお前みたいな嫁は要らん」

 言い合う二人に、コテンと首を傾げる。

「魔族って、男の人でもお嫁さんになれるの?」

「は?いえ、魔族も人と同じで男性体女性体がありますから、基本的に結婚は男女でしますね」

「ふぅん。基本的ってことなら、メフィストはパパのお嫁さんになるの?」

「シアン様・・・勘弁してください。シアン様のことはとても好ましいと思いますが、陛下を恋愛対象には見れません」

 メフィストが申し訳なさそうにそう言うと、パパ魔王様はがばりと起き上がった。

「俺がフラれたみたいな感じはやめろ。俺だってお前を恋愛対象に見たことなんかないわ!」

「ねぇ」

「「なんだ(です)?」」

 揃った声に、なんだかんだ言いながら仲がいいのでは?と首を傾げる。

「私はメフィストを母親って言ったけど、パパのお嫁さんとは言ってないよ?」

「「・・・」」

 そもそも、そこが違うことに気付かないから、家出騒動になったのに。

 私には母親に対する感情が欠落している。

 多分、アゼリアが孤児だったせいもあるのだろう。

 まぁ、恋愛感情もある意味欠落しているけど。
 それはまぁ、まだ五歳だし?そのうちになんとかなると思う。

 幸いにもパパ魔王様が愛情を注いでくれるから、父親に対する感謝の気持ちはある。

 ちょっと口煩くて、いつもパパ魔王様を支えてて、私の世話も焼くから、なんとなくメフィストが母親っぽいなって思っただけなのだ。

「だから、パパが再婚するのは反対じゃないよ。私の母親になる必要もない。私には、パパもいるし、フラウもいるし、メフィストもザギもアマリアもナーガもラグムもいる。だから、ママはいらない」

「「そうか(ですか)」」

 頷いたパパ魔王様とメフィストを見て、最初からこう言えばよかったのだと理解した。

「それから・・・心配かけてごめんなさい。もうしない(多分)」

 心のなかだけで付け加える。

 アゼリアの時はそうじゃなかった、と思うんだけど、シアンは短絡的というか直情型というか、思い立ったら即行動なのよね。

 今回はザギとフラウが手を貸してくれたからいいけど、今度からはもう少し考えて行動しなきゃ。

 私は、半分は魔族で半分は人間だ。
どちらにも私を厭う者はいるはずなんだから。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。 家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。 そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。 というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。 けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。 そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。 ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。 それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。 そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。 一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。 これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。 他サイトでも掲載中。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

処理中です...