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メフィストが・・・母親?

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 土下座したパパ魔王は、私の発言に顔を青くしていた。

 まさか五歳の娘に、ここまで拒否されるとは思わなかったんだろう。

 子供の方が、自分の感情に素直というか、我儘いうものだけど、アゼリアの精神が三歳の頃から表に出ているせいか、シアンはこれほどまでに意思を露わにしたことがない。

「お父様が再婚するのを、反対するつもりはない。でも、その人はお父様の奥さんであって、私のお母様ではないわ。その人を拒否するつもりはないけど、母親だと思わないでもらって!ちゃんと魔王妃様として尊重はするけど、それ以上を求めないで」

「し、シアン。俺は妻が欲しいわけでは・・・」

「魔王として、魔王妃がいないのは大変だと思う。だから、再婚に文句はないの。ただ、その理由に私を使わないで。お父様が好きな人ができたからって、私はお父様を嫌になったりしないし、お父様の奥さんを嫌ったりはしない。あ、いや、嫌いなタイプの人だと嫌うかもしれないけど、意地悪したりはしないから」

 今日会った子供や、アゼリアを殺した王太子みたいな性格の相手だと、好きにはなれないと思うけど・・・

 嫌がらせしたり、話しかけられても返事しなかったりみたいな、意地悪はしないつもり。

 お互い好きになれないなら、適度な距離感を持てばいいと思うし、嫌われてないなら、私は好きになれなくても、ある程度は努力しようと思う。

 私の言葉に、パパ魔王様は項垂れてるし、メフィストは深々と頭を下げた。

 パパ魔王様、本当に萎びた野菜みたい・・・

「シアン様、申し訳ございません。私の考慮が足りませんでした。魔王妃様がいらっしゃらないことには、なんの問題もありません。陛下はまだお若く、ご自身が魔王妃様をお望みになる場合もあるでしょうが、現在はご自身のお望みではありません。全ては私たちのです。どうか、処罰は私に」

「それはメフィストが進言したってこと?」

「私がそれを認めたことに違いはありませんので」

 メフィストが勧めたわけではないけど、結論として認めたからってことかな?

「分かった。そのことを責めるつもりはないから。その代わりというのは変だけど、ザギを責めたりしないでね。ザギは、私のために連れ出してくれたんだから」

「それは・・・はい、わかりました」

「お父様・・・パパ。私はパパが望むなら再婚することはかまわないよ。でも、私の母親を作るのが目的なら、それは少なくとも現在いまは必要ない。なんていうか・・・メフィストが母親みたいなものだもの」

 私の言葉にメフィストが目を見開いた。
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